多発する強盗事件。今すぐできる対策を!
このところ相次いでいる強盗事件。報道によれば、9月30日に国分寺市で起きた事件と、10月1日に所沢市で起きた事件では、勝手口の窓ガラスを割って侵入するという手口が共通していました。しかも、この二軒の勝手口の窓は網入りガラス、という点も共通していました。
網入りガラスは、犯罪者に都合のいいガラス!?
この網入りガラスについて、改めてみなさんに知っておいてほしいことがあるんです。防犯アドバイザーの京師美佳さんのお話です。
防犯アドバイザー 京師美佳さん
「みなさんよく勘違いされがちなんですけれども、網入りガラス、ワイヤーが入ってるガラス、ちょうど中で格子みたいになっているものですね。これ防犯的にはまったく効果が無く、実は犯罪者からは狙われやすいガラスなんですね。
ワイヤーが入ってることで、実は割るときに音が立ちにくく、あまりそんなに力も、普通のガラスを割るのと同じくらいの力で割れる、というのもあって、犯罪者は好んでこのガラスを狙います。
確かに、ワイヤーが入ってるっていうだけで、ちょっと強そうには見えますよね。ただ、まったく強度は無くてですね、これ、もともとは、火災のとき、地震のときに、割れたガラスで足を怪我しないように、ワイヤーは入れてあるので、役に立つガラスでは、間違いないんですけれども、針金が入っているから防犯にも効果があるっていうのは大きな間違いです。」
ワイヤーが入ってるのに、強度は無い、というのはちょっと意外ですよね。
ワイヤーが入っていることで、ガラスが割れても飛び散らず、地震や火災で逃げる時に足を怪我しないように、という防災のためのガラス。しかし、それがゆえに、ガラスを割ってもガシャーンと落ちないし、大きな音を出さずに割れて犯罪者にとって都合のいい窓ガラスになってしまうのです。
最近の建物では、防犯ガラス(網入りのものもある)が使われることも増えていますが、古い戸建てなどでは、勝手口やトイレなど周りから見えにくい場所の窓に、使われていることも多く、それを狙われている可能性もある、ということでした。
窓には防犯フィルムを!ただし、厚さにはこだわって!!
うちにも網入りガラスあるな、という方も多いかもしれません。怖いですよね。とはいえ、窓ガラスを替えるのは大変なので、すぐに出来る対策を教えて頂きました。再び、京師さんのお話です。
防犯アドバイザー 京師美佳さん
「例えば防犯フィルムを貼っていただくのも一つかと思います。
ただ、厚みにはこだわっていただきたくて、フィルムの厚みを350ミクロン以上のものを選んで貼っていただきたいんですね。これで5分、犯罪者の侵入に耐えることができます。
200ミクロン以下のものとかも売っているんですが、これは防災フィルムで、網入りガラスと同じように、割れたガラスで足を怪我しないようにガラスに貼るものなので、30~1分くらいしかもちません。
警察庁のデータに「5分かかれば7割、10分かかれば9割、犯罪者が侵入をあきらめる」というのがありまして、やはり未遂に終わらせるとか、自分の身を守るために逃げる時間を稼ぐっていうことを考えると、とにかく時間がかかるようにという対策が重要です。
あと、100円ショップに補助錠100円で売ってたりしますし、窓に付ける補助錠ですね。サッシの間に挟み込んでいただいて、圧をかけて開けなくするようなものであったり、これ、防犯フィルムとセットにしていただくと、より時間かかりますので、年末お掃除したついでに、そういった新しい防犯グッズも、ちょっと仕入れてきていただいて、設置していただくといいかと思います。」
窓に、防犯フィルムを貼る。
フィルムを窓の内側に貼ると、ガラスは割れてもフィルムの膜があるので、貫通するのに時間がかかるようになります。そこで、覚えておいていただきたいのが、フィルムの厚さは350ミクロン(0.35ミリメートル)以上のものを使う、ということ。
そして、窓ガラス全面に貼るのがベストですが、最低限、鍵の周り=割って手を入れた時にカギに届くエリアに貼るといいそうです。(フィルムの厚さは外袋などに表示してあるので、確認して購入してください!)
これからの時期、大掃除もあるので、綺麗に掃除してフィルムを貼るといいですね。
ちなみに、そのほかの大掃除の際のチェックポイントとして、
・雨戸やシャッターなどの建具がきちんと開閉するかなど動きを確認する。
・トイレやお風呂の窓の外の格子を外されて、窓を割って侵入というのも良くあるので、格子のねじ山をつぶしておくと良い。
・死角が多いと犯罪者は近寄りやすくなるので、植木の手入れも大事。
他にも、玄関先に綺麗な鉢植えなどを置くと、通る人が「綺麗ね~」と見ますよね。こんな風に人の目が行くだけでも犯罪者が近づかない環境になるので、手を出しやすいことから始めるのがいいですね。
昼間の人の目を「井戸端会議」で増やして防犯!
その「人の目」という対策で、こんなことを始めようとしている人がいます。千葉県市川市南大野一丁目自治会の会長、淡路洋さんのお話です。
千葉県 市川市南大野一丁目自治会長 淡路洋さん
「昔風に、井戸端会議を路地路地でやってもらえると、泥棒さんは人の目、気になりますから、あれを復活させようかなと思ってます。おうちの前で、5、6人、ワイワイ、ガヤガヤ話してれば、泥棒さんは、あ、この町は入れないな、と思うんじゃないかと思うんですよ。
そうです、そうです、しておれば、ねえ、『あれ、ちょっと見慣れない人がいるわよ』なんて言う風に見られれば、泥棒さんは、この町はちょっとヤバイなって感じになるんじゃないかと思いますので、それをちょっとやろうかな、と思ってます。
彼らは下見に来ますから、下見は昼来るでしょうから、そういう感じでやっていただければと思うんですけれど、やっぱり人さまの繋がりが希薄化してますから、そこをなんとか自治会として、盛り上げられればいいかなっていうことで、考えてはおります。」
淡路さんたちは、週に一度、町内を回ってパトロールしていましたが、市内で強盗事件があり、より目立つように「パトロール中」というのぼり旗を持つことにしました。
そして、さらに、井戸端会議を復活させて、昼間の人の目を増やすという対策をしようとしています。ただ、問題は、ご近所付き合いが希薄になっていたり、共働き世帯も多く、井戸端会議の担い手が足りるかどうか、ということ。
しかし、一人暮らしのお年寄りが話し相手も出来るし、防犯にもなるし、一石二鳥以上になるとも思うので、なんとか実現できるように頑張りたいということでした。
みなさんも、ぜひ今年の大掃除の際には、防犯チェックも一緒にしてみてください!
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:近堂かおり)