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「24の性格的な強み」から発見!子どもの強みを育てるポジティブ子育て【専門家監修】

こそだてまっぷ

保護者のかたがお子さんの強みを知って適切な言葉かけを行うことで、子どもの自己肯定感が高まります。

「お子さんの強みは何ですか?」と聞かれたら、すぐに答えられるでしょうか。保護者のかたがお子さんの強みを知って適切な言葉かけを行うことで、子どもの自己肯定感が高まります。ここでは、「好奇心」「創造性」「がまん強さ」など、ポジティブ心理学における研究成果により特定された24の性格的な強みを紹介。わが子の強みを発見し、伸ばすための方法を、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美先生に伺いました。

子どもの強みを知ることで、どんなメリットがある?

自己肯定感を高める=自分の強みを知ること

「日本の子どもの自己肯定感は、他国の子どもと比べて低い」と言われます。最近の調査でも、「自分自身に満足しているか」の質問に「そう思う」と答えた割合が日本では57%と、米国、ドイツ、フランス、スウェーデンより14ポイント以上低い結果となりました(出典:令和6年版こども白書)。 では、自己肯定感が高いと、どんなメリットがあるのでしょうか。
「自己肯定感が高い子どもは、困難なことがあっても立ち向かえる力が強くなる」と言われます。「自己肯定感を育てる」ということは、「自分の強みと弱みの両方を理解し、受け入れていく」ということ。つらいこと、大変なことがあってもたくましく生き抜くためには、心の支えとなるような「自分の強み」を知ることが重要です。
保護者のかたがお子さんの「強み」を発見し、効果的な声かけやサポートを行うことが、子どもの自己肯定感を高めることにつながります。

「強み」にはどんなものがある?

「お子さんの強みは?」と聞かれると、「やさしいところ」と性格的な長所をあげることもあれば、「絵がうまい」「足が速い」などと能力的な長所をあげることもあるでしょう。
アメリカの心理学者のライアン・ニーミック博士によると、強みは以下の6つに分類されます。

1 才能
2 スキル
3 興味・関心
4 リソース
5 価値観
6 キャラクター・ストレングス

この中でも、自己肯定感との関連が高いのが「キャラクター・ストレングス」と呼ばれる「性格的な強み」です。
この性格的な強みを意識的に活用することで、子どもの心の成長や学習面によい影響が出ることが、これまでの科学的な研究によってわかっています。親が子どもの強みを知り、強みを特定するような声かけをすることや、強みを使えるような機会を与えることで、子どもの心が安定し、ストレスが軽減されることにもつながるのです。

24種類の「性格的な強み」

まずは、親が子どもの性格的な強みを理解することが大事です。
「VIA(Value in Action)プロジェクト」と呼ばれる研究によって、性格的な強みは以下24に分類されます。お子さんに当てはまると思われる項目をチェックしてみましょう。
□1 好奇心(何にでも興味を持ち、情報収集や発見ができる)
□2 向学心(新しい知識・能力を身につける意欲が高い)
□3 創造性(自分ならではのアイディアを考えるのが得意)
□4 全体を見渡す力(広い視野で考えることができる)
□5 やわらかい頭(違う角度から物事を考え、冷静に判断できる)
□6 誠実さ(正直で責任感が強い)
□7 熱意(活発でまわりを明るくする)
□8 がんばり続ける力(あきらめずに最後までやり抜くことができる)
□9 勇敢さ・勇気(挑戦を恐れず、難しいことにも立ち向かえる)
□10 愛情(人に共感したり仲よくしたりすることが得意)
□11 人とかかわる力(いろんな人とうまくつきあえる)
□12 思いやり(親切で面倒見がよい)
□13 公平さ(みんなに平等にできる)
□14 チームワーク(集団の中で適切に行動できる)
□15 リーダーシップ(集団の中で先頭に立って行動できる)
□16 広い心・許す心(まちがいや失敗を許せる)
□17 自制心(誘惑に負けず、自分の言動をコントロールできる)
□18 思慮深さ(まわりをよく見て慎重に行動できる)
□19 つつしみ深さ・謙虚さ(自慢をせず、人のいいところに気づける)
□20 感謝(人や出来事に感謝の気持ちを持てる)
□21 希望(明るく前向きに努力できる)
□22 美しさを感じる力(美しいものを感じ取る力が強い)
□23 見えない力を信じる(目に見えないことも大切にできる)
□24 ユーモア(人を楽しませることが得意)
さて、お子さんに該当すると思われる項目はいくつあったでしょうか。
実はこれらの性格的な強みはすべて、だれもがもともと持っているものです。
しかしながら、それぞれの強みをどれくらい発揮できるかは、人によって違います。例えば「自制心」の強みがあまりないように見えても、全くないということはありません。今のところ見えていない強みも、成長の中で変わっていく可能性があります。

チェックした項目が複数あった場合は、その中で特にお子さんらしい、その強みを使っているときに生き生きとしていると思われるものを「その子を表す強み」と判断していいのです。

強みを特定するには3つのポイントを見ていくことをおすすめします。
①「得意なこと」×「何度もすること」×「エネルギーがわくこと」
②周りの人に聞いてみる
③うまくいったときの強みを思い出す

①は、これら3つの要素のうち1つでも欠けると、強みの決め手に欠けるということ。
例えば、「得意で何度もやるけれども、疲れてしまって力がわかない」のは強みとは言えません。

②の「周りの人に聞く」ことも強みを判断するうえでは大切なことです。家では気づけないお子さんの強みが、外で発揮されているかもしれません。

③で、「お子さんが何かをうまくできたとき、どんな強みを使っていたのか」を考えてみることも大事です。「うまくいった場面」をいくつか思い出してみると、強みが見つかる場合もあるでしょう。

もしも、「子どもの強みがよくわからない」「うちの子に当てはまるものがない」と思われたとしたら、保護者のかた自身に「ネガティビティ・バイアス」が影響していることが考えられます。
「ネガティビティ・バイアス」とは、「人がポジティブな情報よりもネガティブな情報に
対して反応しやすい」という心理的傾向のことを指します。
知らず知らずのうちに、お子さんのできていないことやうまくいかないことにばかり注目してしまって、性格的な強みに目が向かない状態になっているのかもしれません。
そんなときは、ふだんのお子さんの様子で気になっている部分に注目してみると、強みの発見につながります。
例えば、「友だちをからかう、いじる」というのは、見方を変えると「ユーモア」の現れと見ることもできます。また、「いつも元気いっぱいすぎて、手に負えない」という状態も、その背後に「熱意」という強みが隠れていたりするものです。
気になる行動も、見方を変えるとよい側面があります。適切な声かけと行動の調整を行うことで、強みに変換することができるのです。まずはお子さんの言動をよく観察し、「この子の強みは何だろう」という視点を持つことが、強みの発見につながるでしょう。

強みを伸ばす親の声かけ

では、お子さんの強みを伸ばすためには、どんな声かけが効果的でしょうか。
それぞれ見ていきましょう。

1 好奇心→
「いろんなことに興味があるんだね」「みんなが知らないことを発見できたね」

2向学心→
「よく調べたね」「物知りだね」

3 創造性→
「すごいアイディアだね」「よく思いついたね」

4全体を見渡す力→
「みんなのことをよく見ているね」「先のことまでよく考えているね」

5 やわらかい頭→
「冷静な判断だね」「いろんな角度から考えているね」

6 誠実さ→
「自分に正直でいいね」「あなたのことを信用しているよ」

7 熱意→
「いつも元気いっぱいだね」「あなたといると元気になれるよ」

8 がんばり続ける力→
「最後までがんばれたね」「よくやり遂げたね」

9 勇敢さ・勇気→
「自分を信じて挑戦できたね」「チャレンジする勇気がすごいね」

10 愛情→
「あなたといるとホッとするよ」「仲よくしてくれてありがとう」

11 人とかかわる力→
「みんなの気持ちを考えて行動しているね」「だれとでも仲よくできるね」

12 思いやり→
「やさしいね」「よく気がついてくれたね」

13 公平さ→
「みんなのことを考えられるね」「あなたなら信用できるよ」

14 チームワーク→
「みんなのためにしてくれてありがとう」「あなたと一緒だとがんばれるよ」

15 リーダーシップ→
「頼りになるね」「みんなを引っ張ってくれてありがとう」

16 広い心・許す心→
「心が広いね」「『 いいよ』って言ってくれてありがとう」

17 自制心→
「いつもコツコツがんばっていてえらい!」「意志が強いね」

18 思慮深さ→
「いつも落ち着いているね」「よく考えて行動しているね」

19 つつしみ深さ・謙虚さ→
「自慢しないところが素敵だね」「人のいいところを見つけるのがうまいね」

20 感謝→
「上手にお礼が言えるね」「いいところを見つけるのが得意だよね」

21 希望→
「いつも前向きでいいね」「夢があって素敵だね」

22 美しさを感じる力→
「センスがあるね」「美しいものに敏感だね」

23 見えない力を信じる→
「目に見えないものも大事にできるね」「感じる力が強いね」

24 ユーモア→
「あなたと一緒にいると楽しいよ」「ユーモアのセンスがあるね」

いかがでしょうか。強みを伸ばす声かけのポイントは、子どもの行動をよく観察して、行動とあわせて具体的に伝えることです。
子どもの強みは自然に発揮されるものなので、つい強みを出しすぎてしまうことも多く見られます。その場合は否定せず、本人の気持ちや、どうしてそうなったのかを聞き出して、強みの上手な表し方について一緒に考えてみましょう。

最後に~強みを意識した声かけが、子どもの自信に

保護者のかたがお子さんの強みを認め、適切にサポートすることで、お子さんは「自分の行動を見ていてくれた」「いいところを認めてくれた」という喜びを得ることができます。それによって自信と幸福感が生まれ、自己肯定感が高まります。
日常的にお子さんの強みを意識した声かけを行うことで、子どもは自分に自信を持つことができ、何か困ったことがあったときも乗り越える力を発揮できるでしょう。
ここで紹介した24項目の強みは、大人にも当てはまるもの。保護者のかたもぜひご自身に該当する項目をチェックして、強みの発見・理解につなげてみてください。

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