『名探偵コナン』警視庁公安部「諸伏景光」の情報まとめ|登場回一覧や重要エピソード、人物像、過去、所属について解説
『名探偵コナン』では、探偵たちの活躍と同時に警察組織についても緻密に描かれており、とりわけ公安警察も注目を集める存在です。
警視庁公安部に所属していた諸伏景光は、NOCとして黒ずくめの組織への潜入に成功しており、組織内で「スコッチ」のコードネームを得ていました。人気の高いキャラクターの一人で、スピンオフ作品『警察学校編 Wild Police Story』や劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』でも話題に。
本稿では、そんな「諸伏景光」の情報をまとめてご紹介。登場回や重要エピソード、人物像、過去、所属などを解説していきます。
※本稿には、『名探偵コナン』のネタバレが含まれます。
【写真】『名探偵コナン』諸伏景光の情報まとめ|登場回&重要エピソードも解説
諸伏景光(もろふしひろみつ)のプロフィール
所属:警視庁公安部
黒ずくめの組織のコードネーム:スコッチ
CV:緑川 光さん(幼少期:金元寿子さん)
優秀で正義感が強く、朗らかで優しくて生真面目な性格。長野県警捜査一課警部・諸伏高明の実弟であり、降谷 零とは幼馴染で「(景)ヒロ」「(零)ゼロ」と呼び合う大親友。降谷の料理とギターの優れた腕前は景光の影響です。
幼い頃に両親を殺害されたためトラウマを抱えており、その犯人を捕まえるために警察官になったという景光。警察学校時代に兄の助言や仲間の協力もあって犯人確保に至ります。
後に警視庁公安部に配属された景光は、NOCとして黒ずくめの組織に潜入。「スコッチ」のコードネームを得る位置まで上り詰めますが、組織側にNOCであることがバレてしまい自決します。
両親を殺害された過去「長野夫婦惨殺事件」
幼少期に両親が殺害され、長らくトラウマを抱えていた景光。事件当時、家に居たのは両親と幼い景光の3人。翌日、兄の高明が中学の林間学校から帰ってくると両親が殺害されていて、隠れていた景光に何があったのか尋ねています。この事件は未解決のまま、高明は長野、景光は東京の親戚に引き取られて兄弟は離れ離れに暮らしていました。
事件のショックで幼い景光は軽い記憶喪失に。一時期失声症にもなってしまいましたが、引越し先で降谷との出会いをきっかけに立ち直ることができたのだそうです。
警視庁公安部に所属&NOCとして組織に潜入
景光は警視庁公安部に所属。NOCとして黒ずくめの組織に潜入し、組織内で認められて「スコッチ」のコードネームで捜査。しかし正体が露見してしまい、逃げ場がなくなった景光のもとへと降谷が駆けつけたときには、「ライ」として潜入中だった赤井秀一の拳銃を奪って自身の胸を拳銃で撃ち抜いたあとでした。
スコッチ
黒ずくめの組織の中心メンバーはアルコールの名にちなんだコードネームを持つのですが、「スコッチ」とは英国・スコットランド地方で製造されるウイスキーの総称です。
NOCとは
公安警察は黒ずくめの組織を日本の脅威と認定して密かに調査を進めており、捜査員を「NOC(ノック)」として組織に潜入させています。NOCとはNon Official Cover。命の危機が迫っても救援が期待できない、危険な任務を遂行する者です。
降谷もNOCとして黒ずくめの組織への潜入に成功しており、「バーボン」のコードネームを得ています。
兄は長野県警の諸伏高明
景光の兄は非常に優秀なことでも知られる、長野県警捜査一課警部の諸伏高明。東京と長野で離ればなれになっても二人は電話や手紙のやり取りをしていましたが、公安に配属された景光は「警察官を辞めた」と告げて音信不通に。
公安に配属されたこと、殉職のことも家族に伝えられない規則ですが、遺品であるスマートフォンは降谷から密かに高明のもとへ渡りました。
諸伏景光の登場回一覧
<TVアニメ>
・836~837話「仲の悪いガールズバンド」(88、89巻)
・866~867話「裏切りのステージ」(90巻)
・983~984話「キッドVS高明 狙われた唇」(96巻)
・1003~1005話「36マスの完全犯罪」(97巻)
・1123~1124話「群馬と長野 県境の遺体」(102巻)
<スピンオフ>
・『警察学校編 Wild Police Story』
<劇場版>
・『ハロウィンの花嫁』
・『隻眼の残像』
重要エピソードを解説
実は初登場前から存在をほのめかされていた景光。比較的登場回が少ないですが、回想シーンが描かれる度に注目を集めてきました。いずれのエピソードでも重要な事実が明かされていますので、その内容を辿っていきます。
836~837話「仲の悪いガールズバンド」(88、89巻)
スコッチ初登場回(4年前の姿)
放課後、喫茶ポアロで鈴木園子が女子高生バンドを結成しようと毛利 蘭と世良真純に提案。彼女らのバンド練習に安室 透(=降谷)が付き合うことになり、貸しスタジオで発生した殺人事件の捜査のなかで、世良は自分にベースを教えてくれた人物のことを思い出していました。
4年前、当時中学生だった世良は、駅のプラットフォームの向こう側でギターケースを背負った兄(=赤井秀一)とその友人らしき人物を発見。追いかけた世良は兄に見つかり、帰るようにと怒られてしまいます。
切符を買うためここで待つよう言われて泣きそうになっていた世良に、兄の連れの男が「音楽好きか」と優しく声をかけてくれたのですが、その人物こそ当時黒ずくめの組織に潜入していた「スコッチ」。彼は持っていたベースで、基本的な弾き方を教えてくれたのだといいます。
その時にもう一人いた連れの男が安室に似ていたと話す世良に対して、安室は人違いだとして受け流しています。
世良の話によるとスコッチのベースが入っていたケースはソフトケースだったのに楽器を取り出してもケースの形は崩れていなかったらしく、コナンはケースの本当の中身はライフルと推測。
そして世良の兄はFBIに所属している赤井秀一だと聞いた園子は、連れの男(スコッチ)もFBIではないかと考えたのですが、世良は休暇中に会った友人であろうと否定。
その会話を聴いていた安室は、スコッチが「警視庁公安部の潜入捜査官」であり「君の兄に殺された男」だと、声には出さずとも怒りを滲ませていました。
866~867話「裏切りのステージ」(90巻)
スコッチの死について明かされる
コナンや沖矢 昴(=赤井)らはロックミュージシャンの波土禄道のリハーサル見学へ。そこに安室と、榎本 梓に扮した組織のベルモットが姿を現します。しかし、波土が首を吊った状態で発見されたため捜査が開始。
このエピソードでは安室の脳裏にスコッチの最期の姿が蘇ると同時に、赤井もまた当時を思い起こしており、スコッチの死に関して明かされていきます。
自分の正体が組織に知られたというスコッチは死を覚悟。安室が駆けつけたときにはスコッチは息絶えており、そばには拳銃を持ったライ(=赤井)の姿がありました。
一方、事件現場で「無理だ」「不可能だよ」「さすが」といった言葉を聞いた沖矢は、スコッチにかけた自身の言葉を回想。
スコッチは赤井に投げ飛ばされるふりをして彼の拳銃を抜き取り、自らの胸を撃とうとしていました。赤井は「さすがだなスコッチ」「お前はここで死ぬべき男ではない」と称し、FBI捜査官の赤井秀一であることを明かしてスコッチを逃がそうとします。
しかし、スコッチは何者かが階段を駆け上がってくる足音を聞き、赤井の隙を突いて自決。彼は、大切な人たちの情報を守るため胸ポケットに入っていたスマートフォンごと自らの心臓を撃ち抜いたのです。皮肉にも、その足音とは親友である降谷のものでした。
赤井は真実を語らず自分がスコッチを撃ったように装っており、それでも降谷は自殺であったと見抜きますが、自決させない道を選択できたであろう赤井が止めなかったとして激しく憎むようになります。
983~984話「キッドVS高明 狙われた唇」(96巻)
諸伏高明が弟・諸伏景光の死を悟る
自分宛ての「封筒」を警視庁で受け取るために東京を訪れていた高明が、怪盗キッドとの対決に参戦するエピソード。高明は同じ長野県警の大和敢助との電話で、弟が警察を辞めて別の仕事に就いたと聞いてから音沙汰がないと話していました。
その封筒は降谷の警察学校時代の同期であり亡くなった伊達 航のロッカーから見つかった小包に入っていたもので、「長野県警の警部に送ってくれ」という内容のメモ書きが。字は滲んでいますが高明宛てだと推測できます。その差出人の名前は見当たらず、あったのは「0」の一文字。
封筒の中身は弾痕が残るスマートフォンで、穴の内側には黒ずんだ血痕があり、裏面には傷にみせかけた特徴的な「H」の文字が刻まれていました。
“人生、死あり… 修短は命なり…”
人は死を避けられない、短い生涯を終えるのは天命である。という中国のある軍師の言葉を引用した高明。そのスマートフォンが弟・景光のものであると察した彼は、おそらく警察を辞めたのではなく公安に配属されて、どこかに潜入中に命を落としたのだと弟の死を悟ったのです。
1003~1005話「36マスの完全犯罪」(97巻)
兄に降谷 零を紹介
小五郎のもとに依頼の手紙が届き、コナン、安室 、「米花いろは寿司」の板前・脇田兼則の4人で長野の山奥にある廃教会を訪れます。
そこで相次いで殺人事件が発生。長野県警の3人と連絡を取り合いながら事件の謎を解いていくのですが、高明は小五郎から送られてきた動画に映り込んでいた安室の姿に気づき、大学時代に弟・景光が親友として紹介してくれた「降谷 零」のことを思い出します。回想では、諸伏兄弟の学生時代の姿が。
そして「零(れい)=ゼロ」という名前から、弟の遺品を届けた人物「0」が彼であると思い至ります。
1123~1124話「群馬と長野 県境の遺体」(102巻)
景光が群馬県警の山村ミサオと幼馴染であることが判明
長野と群馬の県境で殺人事件が発生し、長野県警の敢助、高明、上原由衣と群馬県警の山村ミサオが合同捜査するエピソード。
推理中の高明の姿を見た山村が、幼い頃に県境にある秘密基地で一緒に遊んでいた“ヒロちゃん”こと景光を思い出し、山村と景光が幼馴染だったことが明らかに。さらに、大人になった景光が秘密基地にメッセージを残していたことも判明しています。
山村は景光と一緒に“正義の味方になろう”と約束していましたが、景光が警察を辞めたかもしれないことを悲しんでいました。すると高明は、景光は警察を辞めていないと言い、今でもどこかで正義の味方を「やってくれちゃってると思います」と山村の口調を真似て微笑んでいました。
「警察学校編 Wild Police Story」
警察学校時代
景光は22歳の時に警視庁警察学校へ入校。降谷 零・松田陣平・伊達 航・萩原研二と同期で鬼塚教場に在籍。降谷とは特に仲の良さが垣間見え、降谷が褒めたお通しを「このくらいならオレでも作れるから」と料理を教える約束をしており、さらに降谷がRX-7に興味を示したことも察知していました。
同期たちと友情を育んでいく一方で、両親を殺害されたトラウマは根深く、警察学校在学中に夢で見たりフラッシュバックにより恐怖で固まってしまうことも。この当時はまだ犯人が捕まっておらず、警察官を志したのは両親を殺害した犯人をみつけるためだと明かしています。
一人抱え込んでいた景光でしたが、気にかけてくれる同期4人に当時の話を打ち明けることに。兄の助言や仲間たちの助けもあり、やがて犯人へと辿り着きます。犯人確保の際には、回し蹴りを繰り出すなど身体能力の高さを発揮しつつ機転も利かせて、さらに仲間を信じる心と強い正義感も見せました。
髭について
警察学校卒業式の日。兄への手紙に封入した制服に制帽姿の景光の写真に、松田が勝手に髭を書き足したのですが、それを見た景光の反応はというと“確かに…ヒゲ面も悪くないな…”とまんざらでもない様子。後に景光は髭を生やすようになっていました。
劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』
仮装爆弾犯に深手を負わせる
本作は劇場版の25作目。卒業後も繋がる警察学校同期組の強い絆を描き、彼らが関わる過去の事件とも絡み合う物語です。
警視庁の目暮警部の元同期・村中に脅迫状が届くなか、かつて萩原と松田を殉職に追いやった連続爆弾犯が脱走し、その手引きをした人物に降谷は首輪爆弾を付けられてしまいます。さらに翌日には、とある外国人の持つタブレットが突然爆発。彼は捜査一課時代の松田の名刺を所持していました。
そんななか、降谷の口から語られたのは同期4人で久しぶりに会ったという3年前の11月6日の出来事。萩原の命日の前日に仕事の合間を縫って一緒に墓参りをした降谷、松田、伊達、景光は、その帰りに渋谷の廃ビルで謎の仮装爆弾犯による事件に遭遇します。
4人の能力の高さと連携ぶりは在学時以上で、景光の銃撃も貴重なシーン。犯人を逃しはしたものの深手を負わせており、降谷の窮地を救っています。彼らの活躍により間一髪で爆発を防ぐことに成功し、これが4人で会った最後の日となりました。
原作コミック第107巻&劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』
登場の度に重要な事実が明かされていき、まだまだ気になることも多い景光。原作コミック第107巻では、7年前の警察学校時代の景光たち同期5人に再び会うことができます。
『隻眼の残像』で映し出された兄・高明の心の深淵も、胸に迫るものがありますね。さらに高明の銃撃戦は、『ハロウィンの花嫁』で見せた景光の銃撃を想起させてくれました。
兄弟揃って優秀で正義感が強く、大切な人をなくして心に傷を負ってきた彼らは、信念と大切な人のために命懸けで立ち向かっていく。ふとした瞬間に兄弟でどこか通ずるものを感じます。
諸伏景光の声優は緑川 光さん
諸伏景光を演じているのは、声優の緑川光(みどりかわ ひかる)さん。5月2日生まれ、栃木県大田原市出身。『新機動戦記ガンダムW』のヒイロ・ユイ役をはじめ、『あんさんぶるスターズ!』の天祥院英智役など、人気作品のキャラクターを多く演じています。