まだ捨てないで!塩麴の成功・失敗の見分け方&リカバリー法を解説
できあがった塩麴、もしかして失敗?
塩麹がうまく発酵しているかどうかは、見た目や香りで判断できます。全体的にクリーム色でおかゆのようなとろみがあり、ほんのりとした甘みと酸味のある香りが成功の証です。
また、軽度な失敗であれば、リカバリーできる可能性があります。少量のカビが生えている部分は取り除いたり、少量の塩を加えて混ぜたり、冷蔵庫に入れるなど見極めながら育てていくように作りましょう。
捨てなくて大丈夫!【状態別】塩麴の復活方法
パサパサしている
塩麹は時間が経つほど液化してとろみが出てきます。パサパサしてるように見えても少し時間をおいて様子をみましょう。
2~3日経ってもパサつきが気になるときは、少量の水を足しても構いません。ただし、塩分が薄くなるので、その分塩も追加してください。塩分は殺菌効果があるので、塩分が減ると傷みやすくなります。
芯がある
見た目はできたと思っても、冷蔵庫に保存してたら芯が残っていた、というときは、もう一度常温に戻して発酵を進めてみましょう。冷蔵庫は低温なので発酵が進みにくいため、なかなか芯はなくなりません。
常温といっても季節によって温度は変わります。甘い香りがして、とろとろとおかゆ状になるまで発酵させてから冷蔵庫で保管しましょう。
表面にふわふわしたものがついている
塩麹を作るときに表面にふわふわしたものがついていることがあります。これは、たいていの場合「産膜酵母」と呼ばれる酵母菌で、カビではありません。
産膜酵母は、手作りの味噌や醤油にも現れる酵母菌の一種で無害なので、そのままにしていても問題ありません。しかし増えすぎると塩麹の風味が損なわれる可能性がありますので、増えすぎたときは清潔なスプーンですくい取りのぞきましょう。
表面が黒っぽくなっている
米麹は水分量が多い状態を保つことで、酵素が活発にはたらき、糖化が進みます。水分量が不足すると、酵素のはたらきが鈍くなり、空気に触れることで酸化が進み、表面が黒ずんでしまうことがあります。
そんなときは清潔なスプーンで良くかき混ぜて、下にたまった水分を全体に行きわたらせてください。それでも水分が足りない場合は塩水を足して様子をみましょう。
酸味のあるにおいがする
米麹には乳酸菌や酵母が含まれており、発酵過程で酸味のあるにおいが発生することがあります。ほんのりとした酸味のにおいであれば塩麹がおいしく熟成している証拠です。
ただし、酸味のあるにおいが強すぎる場合や、腐敗臭のような異臭がする場合は、腐敗している可能性があります。糸を引くカビが生えていないか確認しましょう。
分離している
塩麹は発酵が進むにつれて液状化し、分離することがあります。分離したら清潔なスプーンで全体がなじむようによく混ぜてください。
分離しているほうが、発酵がうまく進み旨味や風味が豊かな塩麹になっている証拠とも言えます。1日1回かき混ぜてくださいね。
泡立っている
塩麹は、米麹、塩、水を混ぜて発酵させる調味料です。発酵過程で、発酵が活発になると、炭酸ガスが発生し、泡立つことがあります。小さめで白い泡の場合、塩麹が元気よく発酵している証拠なので問題ありません。
異臭がしたり、黄色や茶色などの大きな泡の場合は雑菌が繁殖しているおそれがありますのでかき混ぜてからすぐに冷蔵庫に入れて様子をみましょう。
まろやか♪ 塩麹の作り方
調理時間:5分
発酵させる時間は含まない
保存期間:冷蔵で1ヵ月、冷凍で1ヵ月
材料は米麹、塩、水の3つだけで作る塩麹。混ぜるだけで簡単にまろやかな塩麹が作れます。ポイントは発酵過程をよく観察すること。少しずつかどが取れてやわらかく甘い香りになるまで時間をかけて作りましょう。
材料・準備するもの
米麹:200g
塩:45g
水:230cc
準備するもの
計量カップ:1個
ボウル:1個
スプーン:1本
保存容器:1個
失敗しにくい塩麹を作るコツ・ポイント
コツ・ポイント
米麹が触れるものは消毒してから使う
発酵させる保存容器のふたは完全に閉めない
1日1回スプーンでかき混ぜる
塩麹を作る道具は、雑菌が繁殖しないように消毒してから使いましょう。煮沸消毒でもアルコール消毒でもどちらでも構いません。
発酵過程でガスが発生する場合があります。保存容器は完全に閉めず少しゆるめておきましょう。
塩麹は空気に触れることで発酵が進みやすくなります。また、水分に浸っていない部分に雑菌が繫殖しやすくなります。1日1回気付いたときに、全体に水分が行きわたるように清潔なスプーンでかき混ぜましょう。
道具を消毒する
水の量を計る計量カップやボウル、かき混ぜるスプーンなど、米麴が触れる容器や器具はあらかじめ煮沸消毒、またはアルコール消毒してよく乾かしておきます。
作り方
水と食塩を混ぜる
ボウルに水と食塩を入れてよく混ぜ食塩水を作ります。塩は完全に溶けなくても大丈夫です。
米麹を混ぜる
食塩水の入ったボウルに米麹を入れてよく混ぜ合わせます。
ふた付きの容器に入れ発酵させる
ふた付きのガラス容器に入れ、直射日光が当たらない常温で発酵させます。1日に1回軽く混ぜて7日~10日、ほんのりと甘くなったらできあがりです。
ひと目で分かる!完成までの様子を画像で解説
1日目:変化なし
保存容器に入れたばかりは水分がたっぷりで、粒が完全に浸っています。これから直射日光が当たらない場所で発酵させていきます。
2日目:麹がふくらんできた
水分を吸って麹がふくらんできました。水分がなくなり心配しましたが、スプーンで下のほうからすくうようにかき混ぜたら全体的にしっとりとしました。
3日目:麹が白っぽくなってきた
パサつきがなくなり粒が白っぽくなってきました。下のほうに水分がたまっていたので上下を入れ替えるようによくかき混ぜます。
4日目:麹がねっとりとしてきた
少しねっとりとした見た目になりました。少し量が減ってきたようにも見えます。しっかりと発酵しているようです。
5日目:水分が出てきた
黄色っぽい色のついた水分が出てきました。分離していますね。スプーンでかき混ぜると分離はなくなり全体的にクリーム色になりました。
6日目:水分が出てどろっとしてきた
6日目よりも水分が出ています。スプーンでかき混ぜるとほんのり甘い香りがしてきました。全体的にどろっとしていますが粒はしっかりしています。
7日目:麹の粒が崩れてきた
昨日とあまり変わりのないように見えますが、写真で比べると粒がより崩れています。少し味見をしてみたら、芯が残っているのでもう少し様子を見ます。部屋の温度は25度くらいを保っています。
8日目:甘い香りがしてきた
ふたを開けた瞬間に、甘酒のような甘い香りがしました。この日は部屋の温度が30度近くなり、完成か迷いました。少し食べたところ、まだ少し芯が残っていたので、もう少し発酵させます。
9日目:とろみと甘い香りで完成
粒がかなりつぶれています。香りはより濃厚な甘さになり、芯もほとんど残っていないので完成です。発酵しすぎないよう冷蔵庫に入れ保存します。
じつは奥が深い。塩麹を作ろう!
塩麹は発酵させて完成させるまでに時間がかかります。毎日かき混ぜるだけなのでとても簡単ですが、観察を怠ってはいけません。塩麹ができるまで、夏は5~7日、春や秋は7日~10日、冬は10日以上。1日1回毎日かき混ぜて観察してしっかりと発酵させましょう。
ライター:伊藤 千亜紀(フードアナリスト)