走水小田浦小 約150年の歴史に幕 閉校式で別れ惜しむ
児童数の減少などにより3月末で明治から続く約150年の歴史に幕を下ろす横須賀市立走水小学校と田浦小学校で25日、閉校式が行われた。走水小学校では在校生や卒業生、地域住民ら約100人が参加し、歴史と伝統をかみしめながら、思い出の詰まった校舎に別れを告げた。4月1日に走水小は馬堀小と、田浦小は長浦小と統合する。
「わが学び舎は山の麓の海のそば――」。走水小の体育館で参加した在校生24人が親しんだ校歌を高らかに歌い上げた。
同校は1873年に創立。3つの寺社の場所を借りた学び舎が前身で、1930年に東京湾を目の前に臨む現在の場所に校舎を新設した。
地域住民も駆け付けた閉校式で新倉聡教育長は「『みんな大好き走水』を教育目標に掲げ、長きにわたり児童が立派に育っていったのは支援の賜物」とあいさつ。4月から新生活が始まる児童に向けては「友達をたくさん作って、走水のことを教えてあげてほしい」とエールを送った。
18日に卒業式を終えた6年生5人は、紙粘土などを使って統合後の学校をイメージしたモニュメントを制作。地域に伝わる「弟橘媛(おとたちばなひめ)」の伝説なども盛り込み、パーツごとに「より良い学校になるように」との思いを込めたことを説明した。
式典終了後のセレモニーでは防衛大学校儀仗隊のドリル演奏が行われ、児童らの旅立ちに花を添えた。同校卒業生で町内会関係者として参加した渡邉吉明さん(74)は「海が目の前にある素晴らしい環境はほかにない。大学生のときにもアルバイトで関わったのも良い思い出」と当時を懐かしむ。5年生の三谷知大(ちひろ)さん(11)は統合後の学校生活について「統合は悲しいけど、少人数だとできなかった遊びをたくさんして楽しく過ごしたい」と前を向いた。
校舎巡りに640人
田浦小は1874年に創立。閉校式に先立つ20日には卒業生や地域関係者らに向けた「感謝の会」が行われ、校舎や校庭を開放した「懐かしの校舎めぐり」には643人が訪れ、同校との別れを惜しんだ。
校内には児童が作成した工作や同校の歴史が記されたパネルなどが展示され、来校者からは「懐かしい」「昔はこうだった」といった声が挙がった。同校で19年間、児童への読み聞かせをしてきた小山美由紀さん(66)は「閉校は時代の流れで仕方ないが、思い入れも強く寂しい気持ちが強い」と感慨深げに語る。
体育館では関係者らによる式典が行われ、岡部厚子校長は「少人数ならではの柔軟で一人ひとりに寄り添った教育が実践できた学校だった。統合後も、引き続き地域から支援をいただけたら」と話した。同校の閉校式は教職員と市教委関係者のみで行った。