【緊急提言】新潟経済同友会が新潟県の花角知事に柏崎刈羽原子力発電所に関する提言書を提出
(左から)新潟経済同友会エネルギー委員会副委員長の高尾茂典氏、エネルギー委員会委員長・幹事の早山康弘氏、新潟経済同友会代表幹事の吉田至夫氏、新潟県の花角英世知事、エネルギー委員会副委員長・幹事の榎本隆克氏
新潟経済同友会は10月10日、新潟県庁を訪れ花角英雄知事に対し、「柏崎刈羽原子力発電所に関する緊急提言」と題した提言書を手渡した。
新潟経済同友会は、再稼働に向けた検討が進んでいる柏崎刈羽原子力発電所に関し、新潟県に対して3つの提言を行った。
1つ目は、安全性の担保および事故発生時の国の責任の明確化だ。
柏崎刈羽原子力発電所の安全性の対策は現状が完成形ではなく、引き続き絶え間なく改善・強化を続けていくべきであるとし、住民説明会ではリスクについて国も説明するべき事や住民避難のための道路整備などについて提言した。
2つ目は、新潟県民の生活に直結するスキームの確立。
柏崎刈羽原子力発電所で発電される電力は、関東圏にて消費されることが想定され、供給圏と需要圏が乖離している「ねじれ」問題を抱えている。この問題に対して、新潟県において恩恵を受けることができる仕組みを国に働き掛けるべきと提言した。
従来の雇用創出を軸にした経済効果だけではなく、新潟県の課題である人口減少対策や、福祉の充実、軌道系公共交通ネットワークの強化、経済対策などの解決に結び付け、県民1人1人が恩恵を感じられるようなスキームの確立を要望した。
3つ目は、新潟県に対するGX(グリーントランスフォーメーション)化のスキーム確立。
新潟県の財政健全化に向けた新たな取り組みとして、「グリーン債」の発行を提案した。新潟県が原子力発電による脱カーボンエネルギーの供給県として発行するもので、需要圏や柏崎刈羽原子力発電所再稼働に賛同する企業などに利息などを引き受けてもらうという案となっている。その他、カーボンクレジットの発行、カーボンフリー水素の拠点化、データセンター特区設立の提案が盛り込まれた。
新潟県の花角英世知事に提言書を渡す新潟経済同友会代表幹事の吉田至夫氏(写真左)
花角知事との意見交換会後に取材に応じる新潟経済同友会代表幹事の吉田至夫氏
花角知事との意見交換後、新潟経済同友会の吉田至夫代表幹事は取材に応じた。
このタイミングで緊急提言を行った理由について、吉田代表は、「岸田政権の時にGXで原子力政策に大きな転換があった。この度、新政権が誕生したタイミングで、GXの考え方をしっかり引継ぎながら前に進んでいただきたいということで、緊急というかたちでまとめた」と説明した。
吉田代表は花角知事との意見交換会で、花角知事が、「十分に咀嚼をしたうえで今後の行動や(国への)提言をしっかりしていきたい」と語ったことを明かした。
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働することのメリットについて、吉田代表は、「今年の夏も大変暑く、一定程度の電力供給は不可欠。その一方で、データセンターなど新しい産業がおきてくると電力需要がますます高まっている。そうなるとGXにおいて、エネルギーミックスの1つとしての原子力発電所の再稼働は、一定程度位置付けていかなければならない」と語った。
また、新潟経済同友会として、経済同友会(東京)との意見交換も緊密に実施して、新たな可能性を模索していく方針を示した。