ウェルター級で日本初の世界王者狙う佐々木尽、難敵カミル・バラを倒してアピールなるか
唯一世界王者が誕生していない難攻不落の階級
プロボクシングの東洋太平洋ウェルター級・WBOアジアパシフィック・ウェルター級2冠王者の佐々木尽(22=八王子中屋)が9月3日、東京・有明アリーナで同級10位カミル・バラ(34=オーストラリア)と防衛戦を行う。
7月7日に井岡一翔がWBAスーパーフライ級王座から陥落したが、それでも日本の世界王者は9人を数える。日本ボクシング史上でも稀に見る空前の活況だ。
ただ、そのほとんどが軽量級。最も重い井上尚弥でもスーパーバンタム級(55.34キロ)で、重いクラスになるほど世界との距離はまだまだ遠い。しかも、スピード、パワーともに求められるウェルター級(66.68キロ)は、ミドル級以下では日本で唯一世界王者が誕生していない難攻不落の階級だ。
そのウェルター級で日本初の世界王者を目指しているのが佐々木。17勝(16KO)1敗1分のハードパンチで評価、人気とともに世界ランキングもWBO2位、IBF4位、WBA5位、WBC5位まで上昇している。挑戦することさえ難しい階級で、自身初の世界挑戦に向けてド派手なKO勝利でアピールしたいだろう。
カンボソスと10回戦い抜いたバラ
ただ、今回の相手バラは難敵だ。東洋太平洋10位というランキングだけを見ると分からないが、15勝(8KO)1敗1分けの戦績で、唯一の黒星は2017年にジョージ・カンボソス・ジュニア(オーストラリア)に喫したもの。
カンボソスはその後、テオフィモ・ロペス(アメリカ)に判定勝ちしてWBA・IBF・WBOライト級3団体統一王者となり、4団体統一ライト級王者デヴィン・ヘイニー(アメリカ)や3階級制覇のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とも戦った世界的強豪だ。
バラはそのカンボソスを相手に10ラウンドを戦い抜いた末に判定負け。パンチを受けても怯むことなく打ち返したファイティングスピリッツとタフネスの持ち主だ。
佐々木も自身のSNSで「恐らく評価以上の強敵だと思う、色々探ってみたけど唯一の1敗は7年前のジョージカンボソスとの試合。判定で負けてはいたけど見た感じ前半はそんなに負けてると思わなかった」と警戒。当時はライト級だったが、「今はウェルター級か?って思えるぐらいデカくなってた。そしてウェルター級の中でパワーに関してはトップだと思います」と最大限の敬意を表している。
昨年6月以来リングに上がっておらず約1年3カ月のブランクがあることは、34歳という年齢を考えると割り引き材料ではあるものの、佐々木がまともにパンチをもらえば立っていられる保証はない。
世界王者はクロフォードらスーパースターが君臨
ウェルター級の世界王者はWBAとWBOの2団体がテレンス・クロフォード(アメリカ)。40戦全勝(31KO)を誇り、アメリカの老舗ボクシング誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンドで3位にランクされるスーパースターだ。
WBCは29勝(18KO)2敗のマリオ・バリオス(アメリカ)、IBFは32勝(29KO)1無効試合のジャロン・エニス(アメリカ)とアメリカのトップボクサーが並ぶ。
どの王者に挑戦するにしても、佐々木は自慢のパワーはもちろん、テクニックでも成長の跡を示す必要がある。井上尚弥がメインイベントで世界的に注目されているリングでバラを倒せば、最高のアピールになることは間違いない。
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記事:SPAIA編集部