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冨岡 愛「強く儚い者たち」インタビュー + ドラマ『HEART ATTACK』完成披露試写会イベントレポート

encore

冨岡 愛「強く儚い者たち」インタビュー

──ドラマ『HEART ATTACK』の完成披露試写会での生歌唱、お疲れさまでした。いかがでしたか?

「試写会で歌うということ自体初めてだったので、緊張しました。しかもあんなに客席と近いところで歌うなんて…。演者さんとの距離も近かったですし、緊張しましたが、とても楽しく歌えました。いい経験でした」

──今回『HEART ATTACK』の主題歌の話を聞いたときはどう思いましたか?

「SFは好きなジャンルなのですが、日本のドラマでSFってあんまり聞かないと思ったので、とても興味が湧いて…原作も買っちゃいました」

──コミックを?

「はい。取り寄せて読みました」

──原作を読んだ印象を教えてください。

「コミックってコミカルなものを描くイメージがあって、シリアスなものを描くのは難しいと思うんです。でも『HEART ATTACK』はシリアスで、人間の本質を追求しているなと感じました」

──そんなコミックを原作にしたドラマ『HEART ATTACK』の主題歌として、冨岡さんはCoccoの「強く儚い者たち」のカバーを歌われました。

「はい。いざ自分が歌うとなったら、“歌詞にとても重みがある“と思いました。今までの自分では表現してこなかった想いや言葉が綴られていたので、それをどう自分の中に落とし込んで表現したらいいのか?というのはすごく考えました」

──ご自身が歌うときにはどのようなことを意識したのでしょうか?

「“全部をきれいに歌わないほうがいい“と思いました。儚げに歌うのも1つのアプローチではあったんですけど、きれいなところだけを書いているわけじゃない歌詞の内容だったり、「強く儚い者たち」というタイトルだったりから、“どこか強くて、どこか儚い”というバランスを考えながら歌いました」

──原曲が壮大なアレンジなのにくらべて、ピアノを基調とした静かなアレンジに。アレンジについてはどのようなイメージで?

「オリジナルの力が素晴らしいからこそ、それをどう表現したらいいのかというのはいろいろ考えました。そのためにもコミックやドラマの映像を見させていただいたりして…。その結果、原曲とは違うアプローチで、ピアノアレンジにしてテンポも少し落とさせてもらいました。オリジナルへのリスペクトを込めて、自分なりの表現をうまくできたと思います」

──実際ドラマで流れているところを聴いていかがでしたか?

「純粋に自分の声がドラマの最後に流れたのは嬉しかったです。ドラマの完成披露試写会でも、映画館でちょっと流していただいたりして」

──確かに普段とは違う聴かれ方をしますよね。

「はい。それが嬉しかったです」

──先ほどSFがお好きというお話もありましたし、「恋する惑星「アナタ」」が映画のポスターからインスピレーションを受けてできた曲というエピソードもありますが、冨岡さんは映画やドラマ、小説や漫画など音楽以外のカルチャーはお好きですか?

「はい。特に映画が大好きです。1980年代、90年代の洋画はよく観ますし、歌詞のヒントをもらうことも多いです」

──特に印象に残っているものや、ご自身に影響を与えた作品を挙げるなら?

「『ギルバート・グレイプ』(1993年公開)というジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが出演している映画です。言葉の無力さを表現している映画で、好きなセリフがたくさんあるんです。例えば、“空は大きいね”ということを表現したいときに、“BIGを表現するのにBIGっていう言葉じゃ足りない”ということを説明するセリフがあって。“BIGじゃ到底、「大きい」と言う言葉の重みは伝わらないよね”というセリフを聞いて、“自分が思っていることを伝えるのに言葉じゃどうしても足りないよなぁ“ってそのときすごく思いました。だからこそ、”言葉とは永遠に向き合っていきたい”と思いました。それが、シンガソングライターになりたいと思わせてもらったきっかけの1つなんです」

──曲を書くよりも前に感銘を受けたんですね。

「はい。オーストラリアにいたときに見た映画です。まだオリジナル曲を一曲も書いていないときに観た映画でした。その後、自分が作詞作曲をするようになってからも改めて観たりしますし、いまだに何度も思い出す映画です」

──言葉を扱うようになっても、そのセリフは心の中にあるんですね。

「やっぱり言葉は永遠のテーマだと思います。言葉一つ変わるだけで、伝わり方が変わってしまいますし。言葉ってすごく面白いものだと思います」

──だからこそ音楽をされているんでしょうね。言葉だけじゃ伝わらないものがあると思っているからこそ、メロディに乗せたり声に乗せたりして。

「そうですね」

──ちなみに映画はよくご覧になりますか?

「はい、家で観ることが多いですけど。映画館では最近は『クレヨンしんちゃん』の映画しか観に行っていないかも(笑)。家ではいろいろな配信サービスに入っていて、気になるものはかなり観ています」

──そんな映画好きの冨岡さんは、映画やドラマなどの映像作品における音楽の役割をどのように感じていますか?

「すごく大事ですよね。音楽の力って本当にすごいなって映画を観ながら思うことが多くて。特に“すごく音楽がいいな“と思うのが『ブレックファスト・クラブ』(85年公開)です。最後に主人公の男性が拳を振り上げる有名なシーンがあるのですが、そこで「Don't You (Forget About Me)」が流れるんです。その曲の流れるタイミングと意味合いが、映画としてパーフェクトなエンディングだと思って、衝撃を受けました」

──そういう経験があるからこそ、『HEART ATTACK』のエンディングでご自身の歌が流れたことへの感動もひとしおだったんでしょうね。

「そうですね。客観視して『HEART ATTACK』を観たときにも“いいね!”と思えたら嬉しいです」

──冨岡さんは1月から4ヶ月連続配信リリースを行っていて、その締めくくりとなる4月には東名阪ツアーが控えていますが、どんなツアーになりそうですか?

「今回が初めての東名阪ツアーなんです。今まではライブをやっても、単発のライブだったりで、“寂しいな…”と思っていたのが、今回はツアー。3箇所でライブが出来ます。同じツアーでも、その日によって歌い方が変わったり、お客さんの反応が変わったりすると思うので、そういうものを楽しみたいです」

──1月から精力的に駆け抜けている2025年ですが、4月以降の今年はどのような1年になりそうですか?

「毎年、結局同じになっちゃうんですけど、今年の目標としては“たくさん曲を書く1年にしたい”と思っていて。届けられる曲を増やしたいです。だから今年の頭から4ヶ月連続リリースしているんですけど(笑)。ライブもいろんなところでやってみたいと思っていて。今までよりも集中して音楽ができる1年にしたいと思っています」

──「グッバイバイ」がグローバルな人気を獲得、「恋する惑星「アナタ」」がバイラルヒットを飛ばすなど、躍進中ですが、ご自身の現在地をどのように捉えていますか?

「まだまだ登っている最中だと思っています。私はライブがすごく好きなので、ライブを大きなところでたくさんやりたいです。アーティストさんによっては、ライブハウスが好きでこだわっている方や、大きくなりすぎると音が良くなくなるからという方もいらっしゃると思うんですが、私はできる限り大きい会場、場所でやりたいです。“大きければ大きいほどいい“みたいな感覚で」

──いいですね。冨岡さんの楽曲は野外も似合いそうですしね。国立競技場とか。

「国立競技場にもよく行くんですが、“ここで歌えたら最高だろうな”っていう目線でも見ているので、国立競技場にもいつか立ってみたいです!」

(おわり)

取材・文/小林千絵

RELEASE INFORMATION

2025年3月19日(水)配信

冨岡 愛「強く儚い者たち」

LIVE INFORMATION

4月13日(日) 愛知 SPADE BOX
4月20日(日) 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO
4月23日(水) 東京 LIQUIDROOM

ファンクラブ限定ライブ
4月27日(日) 韓国 KT&G Sangsangmadang“Let’s meet on the Dance Floor”

ドラマ『HEART ATTACK』完成披露試写会イベントレポート

FODオリジナルドラマ『HEART ATTACK』の完成披露試写会が3月19日に東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン2にて開催された。

『HEART ATTACK』はフジテレビと『ウォーキング・デッド』を手がけた米・スカイバウンドが共同制作したSFドラマ。近未来の日本を舞台に、超常的な能力を持ち世間から迫害され“奈落”という集落に隔離されている“ヴァリアント”の人々が、VCU[ヴァリアント犯罪課]という組織に監視されながら、抑圧や権力と闘う姿を描く。ヴァリアントでありながらVCUのスパイとして活動する主人公・ウミンを寛一郎が、インフルエンサーユニット“L”のメンバーとして、「MAKUMA」という動画配信プラットフォームでヴァリアントの自由と権利を求め動画を配信しているエマを三浦透子が演じる。

完成披露試写会にはウミン役の寛一郎、エマ役の三浦のほか、エマと共に配信を行う“L”のメンバーを演じた、ブクロ役のSAKURAと飴ちゃん役のめがね、エマの最愛の妹・陽毬役の阿部久令亜、本作の監督を務めた丸山健志が登壇。ドラマの1話を鑑賞した観客の前でトークを繰り広げた。

まずは寛一郎から来場者へ挨拶があり、続いて三浦は「こんな大きなスクリーンで見られるのがうらやましい」と壮大なスケール感の本作を映画館で鑑賞したファンに羨望の眼差しを向けた。

本作の見どころを聞かれた寛一郎は「キャストはみんなヴァリエーションを持っている。みんなのヴァリエーションがどういうものなのか、なぜ彼らにヴァリエーションが備わったのか、これから明かされると思うので楽しみにしていてください」と期待を煽る。続いて三浦が「本当に細かいところまでこだわりが詰まっていて。奈落という世界観を表現するために、どこを工夫するかというのも面白かった。例えば奈落の食事であったり、クラブで踊っている人たちのダンスだったり。1話から最後までぎっしり丸山(健志)監督のこだわりが行き届いているので探してほしいです」と言うと、MCの生田竜聖アナウンサーから、1話で登場した“赤い麺”が印象的だったと振られる。実際に赤い麺を食べた三浦、SAKURA、めがね、阿部は口々に「おいしかった」「先入観でおいしいはずなのにおいしくないと感じてしまった」「いつもとは違うものに触れて、自分たちが違う世界にいるんだって感じた」など各々の感想を口にする。すると監督は、「原作がアメリカのコミックスだったので、日本を舞台にするうえでチャレンジのし甲斐があった。食事にしても、隔離された奈落という場所だと考えると、普通の食事じゃないだろうなと考えていて、そういうものをいろいろと散りばめました」とそのこだわりの理由を明かした。

撮影現場での思い出の話題では、寛一郎が「このきらびやかな眼鏡をつけためがねちゃんがずっとずっとしゃべっているんですよ」と説明。めがねは「しゃべりに始まり、しゃべりに終わった現場でございました」と笑うも、「これにはちゃんと理由がありまして」と続けて「(ヴァリアントが)差別され、疎外され、国から追放されながらも生きている人たちの姿が描かれるので、台本をいただいたときに、これは一人では背負いきれないなと思いまして。せめてLのメンバーだけでも心を通じ合わせたいと思い、たくさん話させていただきました」とその理由を話した。すると三浦は「本当にそれがありがたくて。それがきっかけで仲良くなれた気がする」とムードメーカーのめがねに感謝した。

阿部が撮影期間中に寛一郎に聞きたかったが聞けなかったことがあるということで、ここで答えてもらうことに。現在11歳の阿部から「私はこの1年で10センチ以上身長が伸びたのですが、それでもまだ平均より5センチくらい小さいです。どうしたらそんなに背が高くなれますか?」と質問。寛一郎は「1年で10センチも伸びたんだ?だったら2mくらいになるんじゃない?笑」と言いつつ、「僕はとにかく寝ていました」「働きすぎずに寝てください」と回答。これを受けて阿部は「今日からいっぱい寝ることにします!」と素直に受け入れていた。

中盤にはヴァリアントが特殊な能力を持っていることから、それぞれの“個人的に欲しい能力”をテーマにトーク。寛一郎は「買ったけど読めていない本を読みたい」という理由で「1分で本の内容が入ってくる」、三浦は「一回読んで面白かった本を読んでなかったときに戻したい。知ってしまう前に戻りたいなと思って」という理由で「記憶を消す」と挙げたほか、方向音痴を治したいという理由で「何も考えなくても目的地まで辿り着ける能力」も挙げた。またSAKURAとめがねは共に「ものを動かす」と回答。その理由をSAKURAは「私はめんどくさがりなので、化粧を落とす前に寝ちゃったりするんですけど、そういうときに『化粧落としここにほしいな』と思う」と答える。一方めがねは「掃除するときに壁沿いのソファとかを動かせたら革命じゃない?(笑)」と、それぞれの生活や価値観を感じさせる回答を繰り出す。そんな中、阿部が「ちょっとだけ先が見える」と回答。その理由を「10年先とか見えると面白くなかったり複雑になっちゃうと思うんですけど、『5秒先に転ぶ』とかがわかると、防げるので便利なんじゃないかなと思います」と説明すると、一同は感心。また、丸山監督は、三浦のコンサートに行って感じたという「体が未知なる楽器になって新しい音を出す」を答えた。

スケジュールの関係で登壇できなかった向里祐香、岸谷五朗からのメッセージが紹介されたあと、特別ゲストとして、原作コミックの作者・Shawn Kittelsenがステージへ。「この物語を世界に伝えたいと思っていました。それを皆さんがドラマにしてくださって、私がこの仕事に携わる上でずっと夢見ていたことの全てが叶った瞬間でした」と喜びを語り、ドラマの感想を「本当に誇らしい働きをしていただき光栄に感じています。このドラマは原作の精神をしっかり保ちながら、本当に素晴らしいハートアタックになっています。」と絶賛した。また寛一郎からこの物語を書くきっかけを聞かれると、「戦いを好まない妻と共有できるものを作りたいという思いからだった」と告白。また、阿部から「どうやってストーリーを書き進めるのですか」と質問をされると「私の場合は、最初にエンディングから書き始めます。そこから遡って書いていきます。」と答えたあと、阿部に向かって「本当に素晴らしい演技でした」と声をかけ、阿部は笑顔で「Thank you!」と伝えた。

本作の主題歌はシンガーソングライターの冨岡 愛が担当。Coccoの「強く儚い者たち」をカバーした。すると、ここで冨岡がステージに登場。自身にとって初めてのドラマ主題歌だという彼女は「歌わせていただくことになって本当にうれしかったです。ドラマを見させていただいて、人間の本質的な強いところと弱いところが繊細に描かれている作品だなと思ったので、私もそれを音楽を曲を通して表現できたらなと思って歌わせていただきました」と主題歌に込めた思いを語った。そして、「強く儚い者たち」を生歌唱。観客およびキャストを、繊細な歌声で魅了した。彼女の生歌唱に、キャスト陣は口々に「素晴らしかった」と大絶賛。三浦は「声がすごくまっすぐで、言葉がとても入ってきました。ドラマの主題歌ということもあって、胸に染み入りました」と噛み締めた。

最後に三浦が「私自身、演じていて、生まれながらに持ってしまった違いによってもがくキャラクターたちの姿に勇気をもらいました。一生懸命作りました。ぜひ見てほしいです」と伝え寛一郎は「1話から8話まで、ストーリーはもちろん、音楽、衣装、小道具など全てにこだわりが詰まっていて、1回では見切れる情報量ではございません! なので、無料配信中の1話を見直してもらえば、必ず皆さんは2話以降を見るためにFODに入会してくれることだろうと思っております」と本作をアピールして、約1時間というボリュームタップリのイベントを締めくくった。

(おわり)

取材・文/小林千絵

写真/©2024 Fuji Television Network, Inc. Skybound, LLC All rights reserved

『HEART ATTACK』(全8話)
<配信>
FODにて全話配信中(1話無料) メイキングShort Ver.無料配信中
https://www.fujitv.co.jp/heartattack/

INFORMATION

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