原発事故含む複合災害想定 上越市で初の総合防災訓練
東京電力柏崎刈羽原子力発電所から30キロ圏内の避難準備区域、UPZにある上越市柿崎区で土砂災害、津波、原発事故を含む複合災害を想定した市の総合防災訓練が先月30日に初めて行なわれました。
訓練は大雨に見舞われるなか、上越と中越の沖で震度6強の地震がおきて大津波警報が出され、山間部で複数の土砂崩れが発生、刈羽原発で原子炉の冷却機能に異常が生じた状況を想定して行われました。柿崎区は全域が原発から30キロ圏内の避難準備区域のUPZにあります。
参加したのは区内にある51の町内に住むおよそ2000人と市や消防、民間団体などの関係機関およそ250人です。原子力災害を想定した複合災害を市の総合防災訓練でするのは初めてです。
原発から放射性物質が放出されるおそれがあるなか、住民は避難の手順を確認しました。このうち黒川・黒岩地区では、住民およそ20人が参加しました。
住民は屋外スピーカーなどを通じて市から屋内退避の指示を受けたあと、空間放射線量が上昇したことを受け、一時集合場所へ自家用車や自衛隊の車両で向かいました。
到着すると内部被ばくを抑えるための安定ヨウ素剤を市の職員から受け取りました。
黒川・黒岩地区の住人
「いつもの総合防災訓練は家の中での訓練。きょうは頸城の避難経由所まで移動する。めったにない訓練なのでしっかりやりたい」
「今回経験したことを町内会で話さないといけない。原発事故が起きた場合屋内避難、バスで移動することなど経験したことをみんなに話したいと思う」
このあと市が用意したバスで避難経由所のユートピアくびき希望館まで移動し、放射能物質が身体に付着していないかを調べるスクリーニング検査を体験しました。
黒川・黒岩地区の住人
「訓練は指示に従えばよかった。実際に災害が起きたとき、一時避難場所である黒川分館までどうやって行くのか心配。今回は車で行ったが、道路が駄目な場合は行けない。実際にそういうことは考えられるから心配」
上越市防災危機管理部 山岸秀一 原子力防災対策室長
「基本的な避難方法を住民に理解してもらうことが大事。今回の訓練は、まず屋内退避をしてもらい、状況次第で一時移転をする。ここで経験したことを多くの町内会の皆さんに話してもらってイメージはこうだったとか色々な話をしてもらいたい」
この日はほかの地区で津波や土砂災害の避難訓練なども行われました。