事務職年収ランキング1位は「538万円」の特許事務。注目は急増する「IT事務」【事務職種の求人トレンド】|求人ボックス調査
企業の運営に欠かせない存在である事務職は、人員不足の影響から採用ニーズがあるものの、ワークライフバランスの良さや体力的な負担の少なさから転職希望者も増加している。正社員で事務に関する職探しをしている人は、どのような業界、条件を希望しているのか、求人ボックスに掲載された事務系職種の求人給与データを基にトレンドを調査し、その結果を紹介する。
女性が最も多く就業している職種は「事務従事者」
女性の就業者数は2023年時点で3051万人と年々増加している。最も多い職種は「事務」(849万人)で、女性就業者の27.8%を占めている。男性の就業者においても「専門的・技術的職業」(668万人)、「生産工程」(614万人)に次いで「事務」が多く、557万人が従事している。男性の事務従事者は男性就業者の15.0%を占めており、女性に比べて職業が分散しているのが特徴である。
厚生労働省が公開している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によると、2024年7月の事務従事者(パート除く)における有効求人倍率は0.41倍で、中でも求人数の多くを占める「一般事務従事者」は0.31倍と、買い手市場となっており、競争が激しい状態が続いている。
人気職種1位は「一般事務」【事務に関する職探しの検索キーワード】
求人ボックスで正社員事務職希望者の検索回数が多かった職種キーワード1位は「一般事務」、ついで2位「医療事務」、3位「学校事務」と続いた。
「一般事務」は、デスクワークを中心に行う職種で、主な業務内容には、電話対応、来客対応、書類作成、データ入力などがある。基本的なPC操作やエクセルなどのソフトを扱えることが求められるが、 特別な資格が不要であることや定型的な業務が多い ことから、人気の職種となっている。
一般事務の仕事内容とは?必要なスキルや給料事情などを徹底解説>
「医療事務」は、病院やクリニックでの受付業務、会計、電話応対、データ入力などを担当する。就職の際は、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)や医療事務管理士などの資格があると有利になる。 高齢化に伴う医療需要の増加で、事務員の需要も増加 している。
医療事務とは?仕事内容、給料、やりがい、必要な資格などを解説>
「学校事務」は、教育機関での事務作業を担当する。業務内容は主に、「教材や施設の管理」「窓口業務」「学生募集と学籍管理」「会計・人事・広報関連」の4つである。教育機関は全国各地にあり職場を見つけやすく 安定しているイメージがあること、業務範囲が広いため次のキャリアに活かせる経験を積める ことから、人気の職種となっている。
学校事務とは?仕事内容や給料事情、やりがいなどを徹底解説>
検索動向の集計・算出方法:「求人ボックス」利用ユーザーが、2023年4月1日から2024年3月31日の期間に、「求人ボックス」内で仕事探しを行う際に、「事務」及び「正社員」と合わせて入力した検索キーワードの検索数上位の中から、職種・業界に関するキーワードを抽出してランキング化。
条件1位は「土日休み/土日祝休み」【事務に関する職探しの検索キーワード】
正社員事務職の仕事を探すユーザーは、どのような労働環境を求めているのだろうか。
「正社員」「事務」と合わせて検索された条件(※1)に関するキーワードは、1位「土日休み/土日祝休み」、ついで2位「未経験」、3位「フルリモート/完全在宅」だった。
「土日祝日休み(完全週休2日制)」は多くの企業で導入されているが、不動産業など一部業界では土日の勤務も発生することもある。土日祝日休みの場合、家族や友人と時間を合わせやすいことや会社全体が休みでプライベートの時間に連絡を受ける可能性が少ないなどのメリットがあることから、求職者が必須条件として検索される傾向にある。
「正社員 事務 土日祝休み」の仕事を求人ボックスで見る>
事務職では専門的なスキルや資格が要らないため、未経験でも応募できる求人が多くある。キャリアにブランクがある人やワークライフバランスの取りやすいデスクワークにキャリアチェンジしたい人が目指すことが多く、「未経験可」の仕事を探す人も増えている。
「正社員 事務 未経験」の仕事を求人ボックスで見る>
また、「フルリモート/完全在宅」を希望する人が多いことも特徴的である。コロナ5類移行後、一部では出社回帰が進んでおり、株式会社パーソル総合研究所の調査によると、2024年7月のテレワーク実施率は22.6%に留まっている。一方、テレワーク実施率を企業規模別で見ると従業員1万人以上の大手企業で38.2%、業種別では情報通信業が56.2%と、企業によってテレワーク実施事情は異なる。子育てや介護など家庭との両立がしやすい点や、配偶者の転勤の影響を受けにくい点から「フルリモート可」な仕事を求める人は多い。
「正社員 事務 フルリモート」の仕事を求人ボックスで見る>
検索動向の集計・算出方法:「求人ボックス」利用ユーザーが、2023年4月1日から2024年3月31日の期間に、「求人ボックス」内で仕事探しを行う際に、「事務」及び「正社員」と合わせて入力した検索キーワードの検索数上位の中から、条件に関するキーワードを抽出してランキング化。
事務職の業界・職種別年収ランキング1位は「特許事務」平均538万円
求人ボックスに掲載された求人のうち、業界・職種別に事務職の求人給与を調査した。
平均年収が最も高かったのは「特許事務」の538万円だった。特許事務とは、特許や商標の出願・管理を専門に行う事務職で、特許事務所や弁理士事務所の場合は特許出願業務、一般企業の場合は知的財産に関する業務を担当する。正確な事務処理能力や法律や特許制度に関する理解力が求められる。海外で出願する場合は、英文翻訳や英語でのやりとりも発生するため、英語力も必要となる。専門性が高いこと、特許事務員として一人前になるためには時間がかかることから、年収が高くなる傾向にある。
ついで2位は「不動産事務」414万円、3位は「銀行事務」409万円と金融業界が続いた。
求人給与の集計・算出方法:平均年収(統計上正確には中央値)は、「求人ボックス」の「給料ナビ」に掲載されている給与を参照。(2024年9月掲載情報)
給与ナビ:求人ボックス内に掲載されている求人情報および政府統計データに基づき、給与動向を独自算出したコンテンツ。(≫給料ナビ)
「IT事務」の求人、1年間で大幅増加-2024年2月以降に急伸
また、ランキング上位4職種(※3)について、2023年7月から2024年8月の1年間に「求人ボックス」に掲載された求人数推移を調査した。
平均求人数が最も多かったのは「IT事務 正社員」の約11万件で、2024年2月以降、増加傾向にあった。IT事務はIT機器やソフトウェアに関する業務を中心とした事務員で、クライアントとなる企業に出向いて働く、客先常駐型が多い。IT業界の市場規模は年々拡大していることから、IT事務のニーズも増えているものと考えられる。
集計・算出方法:求人数推移は、「求人ボックス」に掲載された求人数の推移。