親の“終の棲家”選びは待ったなし?「子どもに迷惑はかけたくないけど、家には帰りたい…」家族みんながつぶれないために考えること【親の「終活」について考える#4ー①】
「終活」という言葉がめずらしいものではなくなった、人生100年時代の今。
大切な人だからこそ、「最期」や「いなくなったあと」を想像することはどうしても後回しにしてしまいがち…。
だけど、大切な人だからこそ、大切に考えたい、大切なことが「終活」には詰まっています。
連載「親の「終活」を考える」では、Sitakke編集部も自分事で「親世代の終活」に向き合います。
テーマは「終の棲家」…医療や介護、どうする?
今回のテーマは、親がどこで最期のときを迎えるのか…。
高齢化・長寿化が進むにつれ、「医療や介護が必要になったとき、自宅で一人で生活できるのか」というのはとても大きな問題。
今回はソーシャルワーカーとして、施設への知識も豊富な終活マイライフの熊崎梨絵さんにお話を伺いました。
家に帰りたい…だけど迷惑はかけたくない
ソーシャルワーカーとして働く経験上、多いパターンのひとつが親が入院し、退院した時に自宅に戻るかどうかを急に検討しなければいけなくなるケースです。
70~80代の方のお子さんだと、まだ現役で働いている方も多いため、家族が面倒をみながら自宅で生活するということがどこまで可能なのか…
親自身も、ほとんどの場合は、「子どもに負担をかけたくない」と思っています。
だけど、そのことと、自宅で暮らしたいという思いはどうしても別…結びつかないという方が少なくないんです。
もちろん、住み慣れた家にずっと暮らしたいという思いは大事にしてあげたいところですよね。
でもそれ以上に、家族に介護などの負荷がかかることは想像のはるか上をいくほど大変なことだというのは考えてほしいと思います。
そうして親を頑張って支える子ども世代や家族みんながつぶれてしまう…というケースを、ソーシャルワーカーとして、本当にたくさん見てきましたから。## 食事は?お風呂は?家族の負担と安心感
まずは「一人でも生活していけるのか」について、健康状況などを都度見ながらアップデートして考えて、家族で共有しておくこと。
どうしても、自宅に帰る思いを叶えるのであれば、「落としどころ」を考えておくこと。
「これができなくなくなったら、もう施設入居を決めよう」と家族で共有しておくことをおすすめします。
(現実は急に割り切るのは難しくても、話しておくことで気持ちも状況も整理できますよ)
例えば、食事の管理。
それから、お風呂になかなか入れなかったり(入れてあげられなかったり)、薬をしっかり飲めていなかったり…。
そもそも、親が70代から80代の場合、その親の面倒を見ることになる子どもも50代くらい、まだ現役世代も多いんですよね。
そうすると、実際に介護を担うということはなかなか難しいですし、では親が一人の時間はどうするのかという話になってきますよね。
もちろん、介護サービスを使っていくことにはなりますけど、施設にいた方がより安心、家族の負担も減るという現実はあります。
施設が増えることはいいこと!
じゃあどんな施設があるか、というところをまず整理しますね。
・高齢者向け分譲マンション(介護付きなどの場合もあり)
・サービス付き高齢者住宅(サ高住)
・老人保健施設
・有料老人ホーム(介護付き)
・有料老人ホーム(住宅型)
・グループホーム
・特別養護老人ホーム
選択肢だけでもこれだけあります。
特別養護老人ホームは、北海道全体で506件、札幌市だけでも93件。
…もう迷ってしまいますよね。
それぞれ、入居についての制限や料金、サービスにもさまざまな違いがあります。
選択肢が増えているということは、いいことです。
ただその中からどう選択していくか。
特に、いざ施設を決めようというときは、そんなに決断の猶予がないというパターンが多いのが現実。
入院している病院から退院を迫られているけど、一人暮らしはもう難しいかも…など、「そのとき」は急にやってくることも少なくないですから。
できれば、元気なうちから、少しずつ施設の検討などを始められるといいですね。
選ぶポイントをこれから説明しますが、とても、リアルでシビアです。
老後2000万円はウソじゃない?親の「終の棲家」選びはリアルでシビア…何から始める?【親の「終活」について考える#4ー②】へ続く。
※終活マイライフでは、5月12日に創立7周年記念セミナーを開催します。
・「在宅医療について考えてみよう!」講師:金谷潤子先生(看取り・在宅医療に精通する札幌麻酔クリニックの副院長) 参加者の質問に金谷先生が直接答えてくれます。
・5月12日(日)14:00~16:00
・札幌エルプラザ4階 大研修室
・参加費500円
・申し込みはこちら
連載「親の「終活」を考える」
文・編集|Sitakke編集部あい