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開幕戦を無失点勝利に導いた清水エスパルスのGK沖悠哉が積み上げてきたものと絶えない向上心

アットエス


【スポーツライター・望月文夫】
5万人を超える大観衆で埋まったアウェーの国立競技場で、2023年昇格プレーオフ決勝でJ1行きを阻止された因縁の東京ヴェルディとの開幕戦に臨んだ清水エスパルス。

昨年6位の相手を1−0で振り切り、J1でのリーグ初戦としては2007年(神戸戦)以来となる無失点勝利に導いた立役者の一人が、昨年加入したGK沖悠哉だ。

白星発進にも沖は「まだ1試合終わっただけ。何も成し遂げてはいない」と控えめだが、前半には相手CKからのあわやのシュートをスーパーセーブ。秋葉忠宏監督は「個人でもしっかり守れる選手だ」と太鼓判を押した。

さらに続く押し込まれた場面でも「安心して見ていられた」と、指揮官はDF陣との連携でも合格点を与え、昨年退団した元日本代表GK権田修一に代わる新守護神の誕生を強く印象付けた。

鹿島のアカデミー育ち

清水加入後はあまり目立たない存在だった沖だが、実績は十分だ。茨城県鹿嶋市出身でジュニア(小学生)からJ1鹿島のアカデミーでプレー。ジュニアユースから各世代で日本代表に選出され、2018年には鹿島のトップチームに昇格した。2020年から出場機会を増やし、翌2021年にはリーグ戦33試合(全38試合)に先発し定位置獲得かと思われた。

ところがこの年の終盤から厳しいポジション争いを強いられ、2023年にはついにリーグ戦出場なし。昨年加入した清水でも、守護神権田の前でカップ戦出場に留まった。それでも権田のケガで巡ってきた第36節栃木戦と第37節いわき戦に出場。「ビッグチャンスだったので結果を残さなければ」と臨み、無失点での2連勝でチームを昇格と優勝に導いた。

ベテラン権田から学んだこと

大事な場面で期待に応えられた要因の一つは、先輩権田から学んだものだった。「もちろんGKとして技術的な部分もあるけど、一番はメンタリティと取り組み姿勢。10歳以上年上でW杯にも出場した選手が、誰よりも練習をこなしている。若い自分はそれ以上にやらないと追い越せない」。その姿勢での取り組みは、権田不在の今でも継続している。

もう一つは、一度定着すると他の選手にはなかなか出番が巡ってこないGK特有の環境下で積み上げたものだった。「それがGKというポジションだと理解していたし、チャンスは必ず巡ってくると先輩たちから言われていた。それを疑問に思った時期もあったけど」。それでもひたむきに練習を続け、いつでも出場可能な準備をする中で、先輩たちの言葉通りに出場機会が巡ってきたのが、昨年終盤の大事な場面だった。

そのチャンスで期待に応えられた結果が、東京Vとの開幕戦へとつながった。「出番が無くてもやり続けてきたことはネガティブではなく、多くのものを積み上げていくポジティブな時間だと思えた。また出番が少ない状況になったとしても、決して諦めずに日々の練習に向き合うことが大事なんだと改めて感じた」と振り返る。

清水のGKは5人。熾烈なポジション争い

年をまたぎ、昨年から3試合連続無失点勝利に導いた沖だが、決して安泰ではない。現在清水のGKは5人。昨年はルーキーながら最終節を無失点勝利に導いた猪越優惟や、アカデミーから昇格した2年目の2020年にはJ1で17試合に出場した梅田透吾らとポジションを争う。「それぞれが違った個性を持っているし経験もある。切磋琢磨することで、自分自身のプレーをもっと高めていきたい」と絶えない向上心を覗かせる。

ここからさらなる高みへ。「目指すのはチームを勝利に導けるGK。沖がいれば勝てるよね、と言われるようになりたい。キックには自信があるけど、その精度をもっと高めたい」。ひたむきに積み上げてきたものと絶えない向上心で、チームを目標の10位以内へ、そしてさらに上位へとけん引する。
【スポーツライター・望月文夫】
1958年静岡市生まれ。出版社時代に編集記者としてサッカー誌『ストライカー』を創刊。その後フリーとなり、サッカー誌『サッカーグランプリ』、スポーツ誌『ナンバー』、スポーツ新聞などにも長く執筆。テレビ局のスポーツイベント、IT企業のスポーツサイトにも参加し、サッカー、陸上を中心に取材歴は43年目に突入。

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