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横須賀市 AIで糖尿病リスク特定 健康データベース会社と協定

タウンニュース

上地市長(左)と野口社長

横須賀市は5月19日、糖尿病の発症リスクが高い市民をAIで抽出し、早ければ今年度から希望に応じて生活改善などの指導を実施すると発表した。約400件を超える健康保険、共済組合との取引があり、累計約2000万人の健康データを有する(株)JMDC(本社・東京都港区)との包括連携協定に基づくプロジェクト。同社のデータをもとに、11月以降を目途に保健師が直接指導する。

11月以降に保健指導

市によると、AIを用いて健康診断などのデータを個人に結びつけ、保健師につなげる取り組みは全国初。分析対象となるのは40歳以上の国民健康保険加入者のうち、特にリスクが高い200人で、2026年度から後期高齢者医療制度に加入している人も含める。分析対象者は約5万5000人から約13万人に拡大する見込み。

上地克明市長は会見で「健康推進都市として、新たな歴史を作ろうと取り組んでいる。様々な健康相談が寄せられているので、人生100年時代の現在、できることを考えていきたい」と語った。また、プロジェクトの一環として、26年度以降は要介護リスクの高い市民に対しても指導を実施予定。対象を75歳以上に拡大する。

同社は医師・看護師などの専門家約130人が在籍しており、データ管理や疾患の予測モデル構築を行う。

同社の野口亮代表取締役社長は「医療スキル、リソースの最適な配分を考えるとともに、市民の健康リテラシー向上につなげることが我々の役割。ぜひ実現したい」と期待感を示した。

今後は7月から9月にかけてデータ分析を行い、10月ごろにリスクが高い市民をリスト化して抽出し、通知した上で保健師が指導する。通知方法について、市の担当者は「今後検討する」とした。

市は24年度、「健康推進プランよこすか」を策定し、市民が日常生活を問題なく過ごせる期間「健康寿命」の延伸を目標に掲げた。市が公表したプラン概要によると、市民の平均健康寿命は22年時点で男性79・9歳、女性84歳。男女ともに10年間で約1・5歳程度延びた。

同プランに基づき、悪化すると失明など生活に支障をきたす症状を伴う糖尿病を予防しようと、膨大なデータと知見を有する同社と協定の締結を決めた。

上地市長は「より多くの市民に、データ分析の恩恵を受けてもらいたい。ビッグデータを活用できることは非常にありがたい」と述べ、対象となる市民に対し「生活状況は様々なので、それぞれに応じて適切なメッセージを与えられれば。リスクを見つけ、改善の機会にしてほしい」と呼びかけた。野口社長は「データ、ノウハウを自治体とともに活用できれば。健康を先回りして、サポートしていきたい」と語った。

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