三崎に市役所出張所を 有志が署名4700筆提出 「不公平」住民不満あらわ
三浦市役所の引橋地区への移転を巡り、有志から成る市民団体が20日、市役所の出張所を三崎地区に設置することを求める陳情書を吉田英男市長宛に提出した。要望に同意する4781筆の署名を添えた。市は移転後、移動型の出張所導入を検討するなど行政機能が不全にならないよう努めるとしているが、「南下浦と初声地区には出張所がある。三崎に設置しないのは不公平」と常設型の設置を求めている。
陳情書を提出したのは「三崎地区に出張所の設置を求める会」(松本節子代表)。5月初旬に署名活動を開始し、7月までに地域住民に署名の協力を募った。市外からも賛同があったという。
市は、老朽化が進む市役所を2026年4月に引橋に移転する。現状、南下浦地区と初声地区には出張所があるが、移転後は▽住民票のコンビニ交付や市税のスマートフォン決済など市役所外の行政サービスの充実▽移動出張所の検討―を理由に新たな出張所を設けない方針としている。
「高齢者の立場に」
陳情書を提出したこの日は8人が市長応接室を訪問。代理で対応した星野拓吉副市長に署名を手渡した松本さんは「なぜこれほどの賛同が得られたのか考えてみてほしい。高齢化が進む三崎地区の住民にとっては切実な問題だ」と訴えた。
市によると、市内3地区の人口は三崎地区が約1万6千人(23年10月1日現在)で最多、65歳以上の高齢化率も45・8%で最も高い。訪れた住民の一人は「足腰が弱り、バス便も減る中、年々移動が困難になっている。コンビニ交付など新しいことを覚えろというのも酷だ」と打ち明ける。
市のコンビニの住民票取得は23年度、全体の13・7%、市税のスマホ決済納付(22年度)は1・6%に留まる。市役所の移転問題を追及してきた小林直樹市議(共産)は「いざというとき職員と施設が三崎になければ災害時などに円滑な対応が難しい。市民の利便性を考えれば常設型の設置が必要だ」と話す。
星野副市長は「皆さんの思いは真摯に受け止める。どういう形が適切か、さらに検討を重ねたい」とコメントした。