沖堤防の落とし込み釣りで41cmチヌ(クロダイ)をキャッチ【大阪・岸和田沖一文字】
大潮の上り潮、澄んだ海水、見えチヌと、条件が揃えばチヌは釣れる。岩カニをエサに挑んだ岸和田沖一文字の落とし込み釣りで、狙い通りチヌ41cmを仕留めることができた。
沖堤防でダブルヘッダー釣行
異例の酷暑となった2024年夏、時間と釣果が比例する波止タコ釣りの釣り人は日中の長時間の釣りをものともしないが、大半の釣り人は早朝か夕方かの短時間の釣行にとどめている。
8月17日の午前中、実は私は泉佐野一文字に釣行し、そこそこの釣果を手にしていたが、その時の海水が澄んでいたのを見て、当日の潮回りが頭の中をよぎった。
大潮で午後は18時過ぎが満潮の上り潮。大潮の上り潮、澄んだ海水というこの好条件は釣れる予感が満載と、午後に岸和田一文字での落とし込み釣りに挑もうとダブルヘッダーを敢行した。
岩カニのエサはサイズと活きの良さが生命線
今年はイ貝の着生が非常に悪く、落とし込み釣りは岩カニのエサ頼みとなるが、サイズと活きの良さが生命線だ。
幸いなことに、移動中に訪れたTポート貝塚店には、大きめのサイズで活きの良い岩カニが入荷していて、ここで岩カニを調達。板氷とともに岩カニを外気の高温から守るためのバラ氷も合わせて買って、岸和田方面に車を走らせた。
午後の岸和田沖一文字は穴場
岸和田一文字に渡す岸和田渡船に到着したのは12時過ぎ。乗船受付を済ませ船着き場に向かうが、青物のオフシーズンとあって釣り人は朝マヅメに集中。午後便での釣行も15時便と17時便にパラパラといった感じで、裏を返せばエサ釣りの穴場となっている。
私が乗船した13時便は10人足らずで全員が岸和田沖一文字(通称:沖の北)に向かう。落とし込み釣りは私だけで、他は夕マヅメ狙いのサビキ釣りの場所取りを目的に早めの釣行を決め込んだグループと、フカセ釣りの人だった。
沖一文字には午前中からの居残り組がわずかにいたが、大半は午前中で帰ったとのことだった。以前にもお知らせしたが、再度沖一文字に関する情報を一つ。監督当局の指導で今年から、沖向きに上がるために沖一文字に備え付けられた梯子が撤去されているので注意してほしい。
午前中に岸和田渡船から釣り人が借りて使う形でわずかな数の梯子は用意されてはいるが、沖一文字で自由に自分の釣り座を構えたい人は、三脚持参での釣行をお勧めしたい。
なお、岸和田一文字の詳しい特徴その他の解説は、過去の投稿をご覧いただきたい。
落とし込み釣りのエサとタックル
タックルは、落とし込み専用竿3.9mとリールに、ストライプカラーの落とし込み・ヘチ専用の2号ライン。ラインの先には市販の目印仕掛けとハリスは1.7号を直結する。ハリスは硬めのものがよい。針はチヌ針3号で、チモトにはガン玉2Bをかませる。
エサの付け方は、岩カニは活きの良さを保つため、足の付け根から針を刺す横掛けにした。外気温は灼熱の30度台で、岩カニは簡単に弱ってしまうのを防ぐため、海水バケツに氷パック、さらに冷凍ペットボトルを漬けて水温調節に細心の注意を払った。
内向きから様子見のスタート
18時過ぎが満潮の上り潮なので、本気を出すのは16:00頃からだと、それまでは様子見と決め込んで、内向きからぼちぼち釣り始めることにした。
外向き、内向きともに海水は澄んでいて、釣れる可能性は高いと期待感を込める。岩カニをつつく程度のアタリはエサ取りのアタリなので無視してよい。時に訪れる強いアタリの中に、本命のチヌ、対抗のカンダイ・サンバソウが混じっているのが、過去の釣行経験から私の頭の中にはインプットされている。
ところが、期待通りにはいかない。14時過ぎに捉えた強いアタリは、手ごたえ十分と期待したものの、太ったフグが正体でガッカリさせられた。
波止の北端のエビ撒き釣りとフカセ釣りが好調
波止上を釣り歩いているのは私と波止タコ狙いの2人だけ。他の釣り人は北端と真ん中の小屋の付近に集中している。いずれも、サビキ釣りとフカセ釣りの好ポイントなので釣り人が集中しているわけだが、当日存在感を放ったのは北端の釣り人たち。
時折、長竿が大きく曲がり、タモ出しに良型の魚が収まる様子を見かけた。さらに、1人の名手の姿が目に留まった。エビ撒き釣りを得意とする釣果情報の常連だ。なるほど、こうやってあの高級魚を狙っていたのかと納得した。
15:30過ぎから怪しいアタリが増えていく
15時便で夕マヅメ狙いのサビキ釣りの釣り人が10数名渡ってきたが、やはり北端と真ん中の小屋の付近に集中していることを確認し、いよいよ沖向きをメインとした落とし込み釣りに本腰を入れることにした。
本気を出すのは16時頃からと決めていたが、案の定、15:30過ぎから無感覚のまま岩カニがいつの間にかかすめ取られたり、一瞬だけ重みを感じたりと、エサ取りか本命が判りにくい、怪しいアタリが増えていく。
本命の活性が高い時やイ貝エサの場合は積極的にアワセに行くが、怪しいアタリだけの状態では、岩カニの数に限りがあるので、アワセに躊躇してしまう。
見えチヌを発見してベストタイムに突入
16時前、波止際の浅場でヒラを打つ「見えチヌ」を発見した。これで釣れる条件は全て整った。ベストタイムに突入と心に決めて、釣り方にも丁寧さを加えて慎重に壁際ギリギリを攻めていく。
1度、本命らしいアタリがあったが、アワせることができずに岩カニだけが取られてしまった。活性は高いと焦りを制して釣り続けた。
41cmのチヌをキャッチ
好条件が揃ったことで、釣れる予感はついに現実のものになった。16:20頃、竿先を抑えた次の瞬間、ツツツーッと目印仕掛けが垂直に沈んだ、これは!と聞きアワセを入れると、魚の重みが乗り、竿は大きく曲がった。
完璧なアタリを捉えたクリーンヒットだが、聞きアワセで針掛かりしているのでバラシの危険性も高い。慎重なやりとりが続く中、竿に伝わる感触から判断して、どうやらカンダイではないと、ますます期待感が募る。
魚の引きは強く苦戦気味となったが、私なりの経験値が勝り、海面に銀色の魚体を浮かせることに成功。良型のチヌだ。空気を吸わせて動きを止め、無事にタモ入れに成功。検寸すると41cmの見事な魚体。これぞ落とし込み釣りという至極の1匹となった。
ただ、針は案の定上唇だけに刺さっていたので、バラシの可能性もあった。取り込みについては結果オーライだった。
17時の便で引き上げた
夕マヅメの好条件下、さらに粘れば釣果を重ねられる可能性もあったが、午前、午後のダブルヘッダー釣行だったので、疲れを溜め過ぎてはいけないと、1匹の釣果で切り上げて納竿し17時の便で引き上げた。
乗船場に戻ると釣果を船長に報告し、記念に写真を撮ってもらった。活け締めにして氷で冷やしたので、魚体が1cm縮んで40cmの釣果情報となったのはご愛敬。
船長も「夕方になるとチヌがビッシリ壁際に見えるんですよ」と、見えチヌの存在を把握していた。チヌは帰宅後捌いて、片身を塩焼きに、もう片身を1日寝かせて刺身で賞味した。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>