山崎エリイさんが、“ワリイ”で魅せる、過去最高に攻めたステージ。約2年ぶりのワンマンライブとなる「山崎エリイ 7th LIVE 2025 ~invert~」開催直前インタビュー
2025年5月18日(日)に開催する「山崎エリイ 7th LIVE 2025 ~invert~」は、約2年ぶりのワンマンライブ。
今回は山崎エリイさんの楽曲の中でもクールであったりダークな世界観で垣間見える、“悪いエリイ”こと、“ワリイ”が全面に押し出されたコンセプチュアルな公演に。歌唱曲や制作に本格的に携わったという衣装、さらにはライブそのものの構成に至るまで、様々な挑戦が詰め込まれているとのこと。
そんなライブを目前に控えた山崎さんに、今のお気持ちやファンに楽しみにしておいてほしいポイントについて、たっぷりお話を伺いました。
【写真】山崎エリイが“ワリイ”として魅せる7thライブ【インタビュー】
約2年ぶりのワンマン、そして“攻め”のコンセプト
――前回の「山崎エリイ 6th LIVE 2023 〜Bubble〜」から数えて、1年10ヶ月ぶりのワンマンライブが間もなく開催となります。
山崎エリイさん(以下、山崎):前回のライブがそんなに前だった感覚があまりなくて。「あ、もうそんなに経ったか」みたいな、ちょっと不思議な感覚があります。
――わかります。前回のライブは去年じゃなかったっけ?と思って調べたら、実は約2年も空いていて。
山崎:きっと途中でライブBlu-rayのリリースイベントを行っていたからかもしれません。そこで衣装を着てファンの方とお会いするタイミングがあったので、なおのことそう思っちゃったのかな、なんて思っています。
――それにライブではなくとも、楽曲リリースのタイミングでコンスタントにイベントは開催されていましたものね。
山崎:そうですね。ファンの方とお会いする機会は、私の中では本当に必要不可欠なので。そういったイベントを通して皆さんに会えるのは、最大の「頑張る源」なんです。
――ただ、やっぱりライブとなると、トークイベントとはまた山崎さんご自身の臨むスタンスや気持ちも異なりますよね。時間をかけて構成から練り上げて、最大限のパフォーマンスをステージ上で披露していって。
山崎:そうですね。イベントや番組などトークが主体のものはちょっと緩かったり、素をさらけ出しても「それがいいよね」ってなることが多いんですけど、ライブだとある程度の尺も決まっていますから。
あまり素を出しすぎると、ライブとして中身が作り込まれている分、緩くなりすぎるのは違うなと思ってしまうので。そういう意味では、シャキッとした“ライブモード”は作らなきゃいけないなと思っています。
――そんな今回のライブはどのような内容に?
山崎:前回の6thライブは、本当に“ライブというものをただ純粋に楽しむ”といった、ふんわりとしたテーマでしたが、逆に今回の7thライブではコンセプトをかなり固めているので、そこに関して大きな差があると思っています。
――確かに、前回はあえてコンセプトをガチガチには固めず、「ライブという生モノを楽しもう」みたいなスタンスとおっしゃっていましたよね。で、今回は逆に、しっかりと固めていると。
山崎:そうなんです。6thライブより前のライブでは、もともとコンセプトをしっかり作っていて。ちょっとおとぎ話チックといいますか、私の大好きなテーマパークをイメージしたものだったり、そういった演出でライブを行わせていただいていました。
それに対して、あえてコンセプトやテーマをなくしたのが6thライブだったので、今回は再び“攻め”に転じています。しかも、かなり攻めている内容です。
全編通してダークだったり、クール寄りな楽曲をギュッとまとめた内容になっていて、オープニングから可愛らしさに振ったような雰囲気ではない、というコンセプトが明確になっているので、そういった意味でも私にとっては初めての“攻め”ですね。
――また前回とは異なる緊張がありそうですね。
山崎:6thライブのときは「久々のライブだから頑張らなきゃ!」っていう気合いがすごく入っていましたが、今回はまた別のドキドキがあるんですよ。ここまで大々的にライブ全編に関わってくる初の試みという意味では新境地のような感覚で、どうなるかは当日次第なのかなと思っています。
――特に頑張らなきゃと思うのは、どんな部分ですか?
山崎:クール寄りの楽曲を中心に構成していることもあって、ちょっとニヒルに笑う……とまではいかないですけど、決して「ニコッ」とした感じではないんですよ。なので、その楽曲を歌い終えた後に、私はどういう表情でMCをすればいいのかなって(笑)。
すごくギャップが生まれる気がしていて、そこが今回どうしようと思っているポイントで。コンセプトが固まった段階からずっと悩んでいました(笑)。
――たしかに(笑)。今までのライブでも、カッコいい曲のブロックはありましたが、全編を一貫するとなるとMCの演出も難しそうですね。
山崎:もし、MCで急にゆるい感じになったら、曲を歌っているときとMCの二面性が激しすぎて「大丈夫かな」って(笑)。でも、ファンの方にとっては、それも楽しみの一つとして捉えていただけたらいいのかなとポジティブに変換しています。
――あとは本番でどうなるか、ですね。
山崎:本当に未知数な部分が多いので、当日の温度感次第ではありますが、来てくださる皆さんには、ぜひ温かく見守っていただけたら嬉しいです。
ワリイ誕生秘話とファンの反応
――以前、スタッフさんから「実はワリイが人気なんです」と伺っていたんですが、ご本人としては、ファンの方の反応や“ワリイ”そのものをどう捉えていらっしゃいますか?
山崎:もともと、普段の話し方も元気系ではなくて、かといってスカルの指輪を付けているようなタイプでもないんです。わりとガーリーな服を選ぶことが多いこともあって、ダークな雰囲気や「かっこいい」イメージって、皆さんの中にはあまりなかったみたいなんです。
――確かに、山崎さんの持つ柔らかな雰囲気からは、少し意外な印象を受けるかもしれませんね。
山崎:でも、初期のアルバム制作時に、ちょっと暗めのトーンの楽曲を歌った時に、「今の顔は“悪い山崎エリイ”だった!」と言ってくださったスタッフさんがいて。そこからひとつのネタとして、“ワリイ”という呼び方が生まれました。
最初は私もネタとして言っていたんですけど、それがファンの方にも伝わっていって。私がダークだったりカッコいい系の曲を歌うと、まったく笑わなくなってしまうんですが、普段はニコニコしていたり、睨むような感じも全くないからこそ、驚いてくださる方が増えていって……(笑)。
――普段とのギャップがありますから(笑)。
山崎:当時、ファンの方の中には、「ワリイちゃんみたいなかっこいい系は無理して頑張らなくてもいいよ」と言っていただいたこともあるんですが……私自身やりたい気持ちがあったり、むしろ曲を選ぶ時も一番ハードなのを自分から選んでいたので、申し訳なさもあったり……(笑)。
だから、それはちゃんと私の意思としてお伝えしました。イベントやトークの場では、あまり「かっこいい」と言われる機会がなかったので、そう言われてみたい気持ちがありつつ、もっと深めていきたいって思ったのが「Remember me?」あたりからなんです。
そこから徐々にイベントでお話している時も、ファンの方から「かっこいい」を求められたり、「実はあの曲が好きです」と言っていただけるようになりました。人によっては、好きな曲を伺うと、全部クール系の曲を挙げてくださる方もいたりして。気づけば、2つの軸が自然と生まれていて、こうしてライブに組み込めるくらいには馴染んできたんだなって。
そのこと自体がすごく嬉しかったですし、ここまである意味、ひとりのキャラクターとして形になってくるのは、まだまだ浅いけど歴史みたいだなって。だから地道に頑張るって、すごく大事なことだと再確認できました。
タイトルに込めた「invert」という決意
――サブタイトルの「invert」ですが、「反転する」「逆にする」といった意味がありますよね。先ほどのコンセプトの話にもリンクするとは思うのですが、このサブタイトルに決めた理由を教えていただけますか?
山崎:もともと今回のコンセプトでライブをやりたいと思ったきっかけが、「山崎エリイ 6th LIVE 2023 〜Bubble〜」のライブBlu-rayの特典のブックレットで、スタイリストさんと対談したことでした。
「今後もし山崎エリイに衣装を作るとしたら、どんなものを着せたいかですか?」というお話をした際に「ワリイちゃんの雰囲気で作ってみたい」とおっしゃってくださったんです。
いつもライブは明るい感じから始まって、途中でダークゾーンがあって、ラストに向かうというのが大体の流れなんですが、それを覆したことって今までなかったなと気づいたんです。
衣装も、私がパステルカラー好きなので、可愛い楽曲にも、ちょっとアンニュイな楽曲にも合うように作っていただいていましたが、そもそもの軸を変えたら、色も変わるし、きっとデザインも変わるだろうなと。そこで「やってみたい」と思ったのが最初のきっかけでした。
そんなライブタイトルを付けるにあたって、「ワリイ」をそのままタイトルにしたかったんですけど、あまりにも安直なものになってしまうので、「それに代わるような単語はないかな?」と、ひたすら調べたんです。
――なるほど。
山崎:ワリイは、“私ともう一人の私”というイメージで。裏表というよりは“もう一人の私”で、たまに軸がずれるような感覚……そういう意味を英語で探すのがまた難しくて(苦笑)。日本語の訳を見て、「これは違うかな」「ちょっと長すぎるな」と模索していて。
やっぱりタイトルは、ある程度キュッと締まっていたほうがいいと思って、全ての条件にしっくりきたのが「invert」でした。響きも、“カワイイ!”とか、“カッコイイ!”という直接的ではなく、スタイリッシュで口にしやすいかなと思い、「invert」に決めました。
――では、そのコンセプトが固まってから、セットリストや曲順、衣装の方向性も固まっていったんですね。
山崎:はい。あとは6thライブ以降も楽曲が増えているので、ライブとして新曲を歌わせていただけるタイミングは今回が初めてなんです。セットリスト的にも、なかなかハードな内容で、最初からけっこう飛ばしています。
本当は今すぐ皆さんに聞いてほしいんですけど……!(笑) それくらい皆さんをハッとさせるような、驚かせるようなセットリストになっているんじゃないかなと思っています。
――コンセプトの発端がスタイリストさんとの先ほどの対談ということは、衣装もだいぶこだわった仕上がりに……?
山崎:今までのコンセプトとはまったく違うため、色合いや小物まで、ほぼすべて私が関わらせていただきました。もしかしたら、今までで最も関わっているかもしれません。
「こういうデザインで、この要素はああしたい」「こういうのをパーツとしてつけたい」みたいなことまで全部お伝えして、それをスタイリストさんが形にしてくださったんです。だいぶ踏み込みました。
――もう関わり方がディレクターというか、プロデューサーというか……!
山崎:小さい頃からクラシックバレエを習っていたんですが、その影響で衣装を着る機会が多く、デザインを間近で見てきたこともあって。それで余計に、「こうしたいな」「ああしたいな」と思うことが出てきました。今回、こうした制作に関して私のリクエストも伝えていいと言ってもらえたので、本当にありがたいなと思っています。
――でもすごいですよね。実際に伝えていいような環境であっても、抽象的なイメージを伝えるだけならまだしも、具体的に「この要素をこうしてほしい」と言える人って、そんなに多くないと思います。
山崎:ありがとうございます。人によっては、カラーだけ決めて、あとは雰囲気を伝えつつ上がってきたものの中から選ぶ……という方が多いとも聞きます。そういった意味では、かなり深く関わらせていただいているので、衣装さんには本当に感謝しています。
――完成した衣装はご覧になったのでしょうか?
山崎:ライブグッズの撮影があったので、実はもう着させていただきました!
――おぉ! どうでしたか?
山崎:表現するなら“戦闘服”でしょうか……! 360度、全方位から見て素敵な仕上がりになっています。背中も見てほしいし、横から見ても素敵だし、正面も本当にきらびやかでゴージャスな感じです。
これまではキュート系だったり爽やかな衣装が多かったので、今言えることとしては……“ゴージャスな戦闘服”です(笑)。ライブグッズで先にご覧いただけると思いますが、ステージで動く姿も皆さんには楽しみにしていただきたいと思います!
ダンス、セットリスト、2部構成……初挑戦づくしのステージ
――Xでも発信されていましたが、もちろん今回もダンス曲が盛り込まれているそうですね。
山崎:はい、新しい曲に振り付けがつきました。おそらく、過去一で速い動きの山崎エリイをご覧いただけると思います……(笑)。「あれ? この曲ってこんなに速かったっけ?」と思うくらい、すごくBPMを早く感じてしまって。
――実際に曲のテンポ自体は変わってないんですよね?
山崎:変わってはいない……はずなんですけど、振り入れしながら「どうしよう!」となるくらいには速いです(笑)。
皆さんがどういうイメージを持っていらっしゃるかは分からないんですけど、今までの私のライブだと、柔らかく動いたり、手振りが可愛らしいものが多かったと思うんです。でも今回、そういった振りとはだいぶ異なる振り付けになっていると思います。
日常生活でもあんなに速く動くことはないので、いいトレーニングになっていますね(笑)。
――前回のライブでは、トレーニングとして毎日ランニングをしていたとおっしゃっていましたよね。今回も準備で何か取り組まれていることはありますか?
山崎:今は振り入れを終えたばかりなので、その振り付けをとにかく身体に馴染ませるように頑張ることが第一でしょうか……!
衣装もボリュームがあるので、振り付けを取り入れたときに動きがどうなるかも鑑みて、調整していく作業が控えています。
とはいえ、ひとまず振りを入れ終えて、まずは第一ラウンドが終了できたと思います。ここから歌を合わせたり、コンセプトになぞらえてどういう表情を作ればいいのかなど、いろいろ考えていきたいです……!
――曲数も昼夜2部公演を考えると、かなりボリューミーになりますよね。
山崎:そうなんです。1日で披露する曲数としては、かなり覚悟が必要になってくるんです(笑)。曲の構成もそうですが、ライブとしての構成も少し変わっているので、その部分は私にとっての“アワアワポイント”のひとつかもしれません……!
――ちなみに、前回のお話を聞く限り、直前はけっこうガチガチになっていた印象があるのですが……。
山崎:(取材時点で)このライブまで2ヶ月を切ったあたりから「本腰を入れるぞ!」というタイミングなんですけど、いきなり心の準備はできないじゃないですか。だから、毎朝のメイク中に自分の曲を聴くようにして、「あ、ライブが近づいてるな」って刷り込ませるようにしています。
――ライブ前のルーティンのような。
山崎:実はライブ前は毎回このルーティンなんです。ドライヤー中もイヤホンで自分の曲を聴いていて。日常生活に自分の楽曲がどんどん入り込んでくると、「とうとう準備期間に入りましたよ」って落とし込むようにしています。
あとは、スマホにカウントダウンのアプリを入れて、自分を戒めるようにしたり。「ライブまであと◯日経った!」と表示されるので、常に自分で自分を囲って、逃げないようにしているんです。
――ライブ直前はファンの方と会う機会も多くないでしょうし、モチベーションの維持が大変そうです……。
山崎:ファンの皆さんとは話す機会もほぼないので、そういう意味では本当に孤独に感じる期間なんですよ。ちゃんと通じ合えるは、本番の日だけで。ただ、SNSなどでコメントをいただけると、「頑張ろう!」と思えるんです。
大きな支えは皆さんのお声ですね。そうじゃないと、ずっと孤独感に駆られてしまうので……! そういうときに心が病んでしまいそうになりますから、もうメンタル強化期間ですよね。
――身体的にも精神的にもなかなか……。
山崎:あと私、普段は結構ご飯を食べるタイプだと思っているんですが、ライブが近くなると急に食欲がなくなるんです。今までだったらお腹が八分目でも食べられたところ、八分目にもいかずに「もう、いいかな」という気持ちになって。体が軽くなると動きやすくなるというのもあるかもしれませんが、無意識的にそういう変化はあります。
――ライブに向けたスイッチが入るんですね。
山崎:そういえば、よく他のキャストさんたちとお話していると、「何か一つ我慢するものを決めて、それをライブ後に解禁すると、すごく幸せな気持ちになれる」って聞くことがあって。今まではあまり考えたことがなかったのですが、今回やってみようかなと思い、今は自主的に揚げ物を控えるようにしています!
身近なものでこそ、より幸せを感じられるかと思って。今まではホイホイと食べていたんですけど、今は控えていて……。なのでライブが終わったら、いっぱい唐揚げを食べようと思います!
――揚げ物断ちの影響はいかがですか?
山崎:もう1ヶ月くらい経ちましたが、控え始めた最初の頃は、ずっと“衣(ころも)”のことばかり考えていました(笑)。あの、ガリガリでザクザクの衣のついたチキンが食べたいな〜って、ずっと考えていましたが、人間って慣れるものですね。今はあまり思わなくなってきました(笑)。でもライブ後の唐揚げを目指して頑張っていきたいと思います!
歌い続ける意味、自分の曲がある喜び
――改めて、今回のライブで特に注目してほしいポイントを教えてください。
山崎:今回は生バンドでお届けするライブになります。ワンマンライブとしては3回目の生バンドになりますが、やっぱり毎回ドキドキしてしまいます……! 後ろでバンドの皆さんが演奏してくださっている心強さもありつつ、「私、ここで歌わせてもらえるんだ」という、感謝の気持ちもあります。
また、生バンドでしかお届けできない音のリアル感や“生感”はもちろんのこと、今回初めて生で歌う楽曲もあります。さらに、今回のライブで初めて披露する振り付けの楽曲もあるので、そこも注目していただきたいです。
“invert”というコンセプトを決めたからこそ、イベント中やライブ中でも“二面性”を出せるように頑張りますので、ぜひ見届けていただけたら嬉しいです。
――最後に、7thライブの開催を控える中で、改めて歌う意義やアーティスト活動を続ける意味について、山崎さんの中でどのように考えていますか?
山崎:オリジナルの楽曲を作っていただけることは、私にとって本当に“宝物”のような存在なんです。
アーティストさんの曲をカバーさせていただくことも素敵なことですが、自分の曲があるのはまったく異なる、特別なもので。だからこそ、その曲を“長く長く歌い続けていけたらいいな”って思います。
でも、そのためには、私がちゃんと活動を続けていかなきゃいけない。そこが一番大切だと思っています。
音源を楽しんでもらうだけでなく、ちゃんと皆さんの目の前で、目を見て歌を届けられる環境を、これからも作っていきたい。それらが、私のアーティスト活動、音楽活動における一番の“モットー”であり、“やりがい”なんだと思っています。
[インタビュー・撮影/鳥谷部宏平]