「pH」の呼び方で世代がわかる?「巻き戻し」はいつから言わなくなった?変化する言葉
「pH」あなたはこの言葉を何と読みますか?
48歳のディレクターは「ペーハー」
54歳のカメラマンも「ペーハー」
でも30代前半の女性に聞くと「ピーエイチ」!
読み方の違いで世代が分かる用語が巷にあふれています。
英語読みの「ピーエイチ」またはドイツ語読みの「ペーハー」は、理科の授業で学ぶ言葉で、水溶液の酸性、アルカリ性の度合いを示す指標です。
こうした世代による違いはなぜ起きたのか、教科書の出版を行う東京書籍の理科編集部・鈴木陸人さんに聞いてみました。
「1973年に東京書籍が発行した基礎理科という高校の教科書があり、索引を見ると『へ』のところにありペーハーと読んでいたと推測されます、一方で1974年の教科書では索引上で『ひ』のところにあるため、この時期には「ピーエイチ」と取り扱っていたと推測されます」
1973年より前の「ペーハー」時代に学んだ人が教師になり、そのまま授業で教えたとすると、今の40代から60代あたりがその世代に当たります。
「ペーハーと習った教員にペーハーという読み方を教わって、そのままずっとペーハーという読み方で続いてきたのでは」
いつのまにか呼び方が変わった用語はほかにも…
KADOKAWAから出版された『けんたろ式“見るだけ”ことば雑学辞典』という本では、「いつのまにか呼び方が変わったもの」がまとめられています。
【いつのまにか呼び方が変わったモノ】
◇ph(ペーハー)⇒ピーエッチ
◇カロチン⇒カロテン
◇エアーズロック⇒ウルル
◇げた箱⇒靴箱
◇巻き戻し⇒早戻し
◇自殺点⇒オウンゴール
◇日射病⇒熱中症
◇スチュワーデス⇒キャビンアテンダント
◇官製はがき⇒郵便はがき
◇保母⇒保育士
◇助教授⇒准教授
より正しい発音に直されているものもあれば、オーストラリアの巨大な岩「エアーズロック」は先住民に伝わる「ウルル」という名に直されるなど、さまざま理由で変化しています。
サッカーの「オウンゴール」は1993年にJリーグが開幕したことを受け、その翌年に日本サッカー協会が英語由来に切り替えました。
また「熱中症」も家の中でも発症するので「日射病」ではないんです。
「官製はがき」は郵政民営化を受けて「郵便はがき」になったり、女性だけの仕事ではないから「保母」が「保育士」になったり…それぞれの理由の背景もみえますね。
また、「巻き戻し」が「早戻し」に…。
これも記録メディアがテープからDVDなどに変わり、2000年頃から各メーカーが「早戻し」に切り替わっていったということです。
リモコンにも「早戻し」と表示されています。
時代の変化やより正確な表現を求めた結果、気がつくと変わっている言葉、探すとまだまだ身近なところで見つかりそうですね。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年6月2日)の情報に基づきます。