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ベジタリアンな海のナメクジ<アメフラシ>を飼育してみた ウミウシとの違いはなに?

サカナト

アメフラシ(撮影:栗秋美穂)

ある日、息子が潮干狩りから帰ってきたとき、手のひらに小さな生き物を乗せていました。

その生物をよく見ると、なんとアメフラシ。海にすむ、大きなナメクジのような生きものです。

アメフラシ、ウミウシって何の仲間?

アメフラシウミウシは、いったい何の仲間でしょう?

一見すると、大きなナメクジのように見えるアメフラシ。ウミウシも、カラフルですが似た体を有しています。

陸に生息しているナメクジは陸生貝類の仲間。貝が退化してあのような姿になっているのですね。

実は、アメフラシもウミウシも貝の仲間なのです。アメフラシに硬い貝殻は見当たりませんが、体の内部に薄い板状の、いわば貝殻の名残があります。

アメフラシとウミウシの違いとは?

では、姿が似ているアメフラシとウミウシは何が違うのでしょうか。

どちらも貝の仲間ですが、ウミウシは裸鰓目をはじめとした多くの目に広がっている一方、アメフラシは無盾目と、属するグループが違います。ウミウシの仲間には、貝殻が退化しておらす、カタツムリのように背負っているものもいます。

また、アメフラシはワカメなどの海藻を食べるベジタリアンですが、ウミウシは海綿やコケムシといった動物類を食べます。

ワカメを食べている最中のアメフラシ(撮影:栗秋美穂)

アメフラシ飼育のはじまり

これまでアメフラシという生き物に興味を持つことがなかった私は、正直に言うと、その見た目が少しグロテスクに感じ、近寄るのも避けていました。

しかし、息子はそんな私に言いました。「ママにもアメフラシを好きになってほしいんだ」と。彼のその一言が、私の考えを変えるきっかけになったのです。

息子は早速アメフラシの飼育表を作り、毎日しっかりと世話を始めました。

エサのタイミングから掃除の方法まで、細かく記入されたその飼育表には、息子の真剣さと愛情が込められていました。それを見て、私もアメフラシに向き合うことに決めたのです。

最初に驚いたのは、アメフラシが乾燥ワカメをふやかして食べる姿でした。

ワカメに突進するアメフラシ(撮影:栗秋美穂)

1~2日で味噌汁に使うカットわかめ3枚を食べ尽くしました。食べる量に比例してフンの量も多いです。

しかし水はあまり汚れず、飼育は思いのほか容易。息子は、「食べ残したワカメがあったとしても、メダカの餌みたいに沈殿して水が汚れることはないからだと思うよ」と推測していました。

2週間後の様子(撮影:栗秋美穂)

エアポンプは入れているものの、濾過ポンプなどを使った浄水はしていません。ですが、2週間が経ってもあまり濁ることはありません。しかし、念のため水替えは実施しました。

ちなみにアメフラシのフンの色はとても黒く、アメフラシが食べた海藻に含まれる色素が消化される過程が伺えます。

飼育を通して、海のカタツムリのようにのっそりと歩く、アメフラシの特徴的な生態を実感しました。

アメフラシの生態と干潟のつながり

アメフラシにとって干潟は非常に重要な場所であり、そこで食べる海藻が成長を支えます。

また、干潟は単なるアメフラシの生息地にとどまらず、魚や渡り鳥など他の生物たちの繁殖地としても非常に重要な役割を果たしています。干潟には豊かな生物群や微生物が集まっているので、鳥たちのエサともなるわけです。

さらには干潟の砂や泥は、海の水を浄化する役割を担い、地域全体の生態系を支えています。まさに干潟は命の源であると言えます。

アメフラシ(提供:PhotoAC)

これからの季節、干潟は一番輝きを放ちます。太陽の動きに合わせて、砂の表情がどんどん変わり、その美しさに心を奪われます。

ちびっこにも安全で、家族で楽しめる場所でもありながら、干潟には生物たちが繁殖し、成長するための大切な役割があることを再認識させてくれます。

普段はあまり注目されない存在であるアメフラシですが、その生態や干潟での役割を知ることで、私たち親子の水性生物の理解がさらに深まりました。そして、アメフラシを観察することが、私にとって新たな自然観察のきっかけとなりました。

なぜなら今まで飼育してきた海の生きものの中でいちばん大きく、動きが軟特有であるのが面白かったからです。

これからも息子と一緒に、アメフラシをはじめとする生きものを観察し、彼らが生きるための環境を守る大切さを学び続けたいと思います。家族と過ごすゴールデンウィーク、干潟の美しさとともにその生態系を守る意識を深めていきたいです。

(サカナトライター:栗秋美穂)

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