市歴史的建造物 旧一等馬見所を認定 保存活用に向け、耐震化へ
横浜市は1月22日、国内初の洋式競馬場の観覧施設「旧根岸競馬場一等馬見所(うまみしょ)」=中区根岸台=を市認定歴史的建造物に指定した。保存活用のため耐震化を計画し、来年度予算案に設計費を計上。現在、建物敷地内は立ち入り禁止だが、山中竹春市長は「市民にも公開するべき」との見解を示し、歴史的建造物ならではの魅力を生かした活用に意欲を示した。
旧根岸競馬場は1866年に開設。観覧施設である一等馬見所は1929年、関東大震災で崩壊した馬見所に代わり建設された。鉄骨鉄筋コンクリート造りの7階建てで、延べ床面積は約5千平方メートル。米国建築家J・H・モーガンが設計し、高さ約30メートルの3つ並んだ塔が特徴的だ。並んでいた二等馬見所は老朽化のため、1988年に解体され、現存する国内最古の競馬場建築となっている。2009年、経済産業省から近代化産業遺産の認定を受けた。
開港の地・横浜の近代の歴史を証明している点や後の競馬場建築に多大な影響を与えた建築史的価値、その特徴のある景観が評価された。
市は築100年となる2029年に合わせ、耐震化などを完了させたい意向。一等馬見所を含んだ根岸森林公園との一体的なまちづくりを進め、当時の雰囲気が味わえるような、多世代で楽しめる建造物を目指すという。
市認定歴史的建造物は、専門家の調査から特に価値があると判断され、適切な保全活用計画が作成されたものが認定される。本件含め104件が認定されている。