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「笑顔で幸せになる大切な食べもの」砂糖に変わる、魔法のような作物の収穫に密着【北海道の絶景】

Sitakke

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数多くの「絶景」を持つ北海道。
観光情報にはなかなか載っていない、「日常の絶景」も多くあります。

今回は、HBC帯広放送局のカメラマン・大内孝哉さんが撮影した、ビートの収穫の風景をお届けします。

連載「テレビカメラマンがとらえた“一瞬”の北海道」

砂糖に変わる、魔法の作物

10月下旬、十勝管内の農家さんの収穫作業は終盤に入ってきました。残す作物もあと数種類。
十勝平野の賑やかな雰囲気も落ち着き、いよいよ冬がやってくるなと感じます。

今回は、中札内村の『鎌田農園』さんにお邪魔し、ビートの収穫風景を撮影させていただきました。

見た目は大根のような大きい硬い作物が、甘い甘い砂糖に変化。魔法のようですね。

普段はなかなか間近で見ることのできない、ビートの収穫風景をお届けいたします。

「ガガガガ」

朝日が昇り切った午前7時前。天気は晴天。気温は1度。

待ち合わせ時間より少し早く到着したのですが、重機の音が周りに鳴り響いていました。
その音に合わさり、鳥や野生動物の鳴き声も遠くから聞こえてきます。

この音の混ざり合いがなんとも心地良い朝の光景。

トラクターに近づくと「ゴロゴロゴロゴロ」と音が変わりました。

この音は専用のハーベスターがビートを収穫する時に鳴る音です。

ハーベスターの背中に丸い車輪の様な物が取り付けられていて、地面から掘り起こされたビートがゴロゴロと回りながら収穫されていきます。

トラクターを操縦する鎌田和志さん

迫力満点の光景です。

天気も晴天。広大な畑を走るハーベスターの光景はとても美しい。

みなさん、ビート畑を見たことはありますか?

実はこんな形で畑に植えられています。

切ってみると、断面はこんな感じです。

真っ白で、見た目は大根みたいですよね!
「ビートはそのまま食べても本当に甘いのだろうか」と気になり、今回特別に一口味見をさせていただきました!

口にするとびっくり。とても甘いのです!!ビートの平均糖度は約15度。
食感は繊維質感が結構あり、味を例えると「とても甘い高級な梨」。そんなイメージを持ちました!

収穫後に精糖工場へ運ばれ、砂糖に変わり、お菓子やケーキなどの様々な食品へ使われていきます。

一通り撮影が終わった頃、「トラクターに乗ってみない?」と鎌田さんからお誘いを受けました。
僕は乗ったことがない乗り物には迷わず乗るタイプです。

お邪魔してみると、一人用の車内に愉快なレゲエミュージック。なんだか一気に別世界。

ハーベスター操作スイッチ

ミュージックの愉快さとは反して、鎌田さんは真剣な表情。

操作スイッチを触りながら、コンベアを回転させ、畝の進み具合を確認し、前後左右に細心の注意を払いながら、ビートが収穫されるハーベスターを前に前に進めていきます。

なぜ愉快なレゲエの音楽をかけているのか、気になったので聞いてみました。
「焦ったら事故が起きる。気持ちが落ち着くような作業ができる音楽を選曲しているよ」とおっしゃっていました。

納得。音楽と共に晴天のもとを進む車内の雰囲気は最高でした。

トラクターに斜陽が差し、畑に影が落ち、広い広い畑を進んでいきます。

中札内村では、9月下旬からビートの収穫が始まり、11月中旬まで続きます。

鎌田さんの畑では、約1200トンの収穫量を見込んでいるということです!

もう単位が大きすぎて想像がつきません!

「やはり農業で1番大変なのは天候。雨が降ると作業ができず、畑が柔らかくなって、期間内に収穫できない可能性も出てきてしまう。そうならないように天気をしっかり読み、安全に仕事をしていくことが大事。そして砂糖は、子どもたちが笑顔で幸せになる大切な食べもの。楽しく食べてほしい」と鎌田さんはおっしゃっていました。

農作業に実際に触れてみると、勉強になることがたくさんあります。
直接、生産者の方に話を聞くと、今まで知り得なかったことが分かり、食べ物の食べ方も変わってきます。

いつも遠くから見ている畑を走るトラクターの中では、農家さんが様々なことを考え、注意を払いながら仕事に従事していました。
僕はこんな光景が大好きです。

いかがでしたでしょうか?
普段のテレビニュースでは伝えられない細かいことも書かせていただきました。

ビートという野菜のこと、そして収穫の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。

ご覧いただきありがとうございました!

連載「テレビカメラマンがとらえた“一瞬”の北海道」

撮影・文:HBC帯広放送局 大内孝哉
2015年からテレビカメラマンとして、主にニュースやドキュメンタリーを撮影。担当作品に映画/ドキュメンタリー「ヤジと民主主義」「クマと民主主義」や、ドキュメンタリー「核と民主主義」「ベトナムのカミさん〜共生社会の行方〜」「101歳のことば ~生活図画事件 最後の生き証人~」など。
2023年10月から帯広支局に異動。インスタグラム@takayasunset0921では、プライベートで撮影した北海道の写真を公開中。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2025年10月)の情報に基づきます

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