甲子園口の天ぷら『味の克益』の手で作り上げるすり身の食感は他では味わえない熟練の技 西宮市
JR「甲子園口駅」から南へ広がる【甲子園口ほんわか商店街】に昔ながらの風景を残す天ぷら『味の克益』(西宮市)。
店先の陳列ケースには揚げたての天ぷらが並び、欲しいものを選んで購入するスタイルは昭和の時代を思わせる懐かしい商店街の姿そのままです。
いつもと同じ「紅しょうが」「きくらげ」「えだ豆」「玉ねぎ天」の4つを頼むと、「今、揚げてるからね」との返事。店の奥を覗くと、ご主人が慣れた手つきで天ぷらを揚げています。
「ちょっと見ていい?」とお願いして中に入らせてもらいました。
まな板の上には一目でふわふわとわかるすり身をへらと板を使ってとても上手に成形し、揚げ油の中へテンポよく入れています。
新鮮な「いとより」と「ぐち」を捌き、その日の魚の状態と長年の感覚で作り上げるすり身は「他とは全然違うよ」と自信を持って話します。
この道60年以上の経験を持ち、大阪で商売をされていた時は名だたる料亭も買いに来ていたのだとか。
聞けば、兵庫県のとある島のご出身だそうで、魚についてとても詳しいのも納得。お話をしながらこんがりきつね色に揚がった「えびしそ」があまりにもおいしそうで、追加で購入してしまいました。
見てもわかる通り、具材がしっかり入っているのも嬉しいところ。素材の味がしっかり感じられ、ふんわりとした食感の天ぷらを初めて食べた時の衝撃は今も忘れられません。
何もつけなくてもそのままで十分美味しく、トースターで軽く温めてると外側が香ばしくなりますよ。
驚いたのは、えびしそ天のようなきつね色に揚げる天ぷらと、紅しょうが天のような色がつかない天ぷらの油を使い分けていること。また、ずっと天ぷらを揚げ続けていた場所にいたのに、油の匂いが気になりませんでした。
魚の状態を見極めて作るすり身、油の温度や揚げ時間など、簡単に見えても実は奥が深く他では味わえない熟練の技。
今は事情により臨時休業などもあるので、お出かけ前に確認する方がよさそうです。
場所
味の克益
(西宮市甲子園口 3-20-1)
営業時間
10:30~17:30
定休日
日曜日
※臨時休業あり