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【梅川レポート③】創業100周年へ「高舘組イズム」を次世代に継承していく高舘組(新潟県上越市)

にいがた経済新聞

高舘組本社社屋

創業98年の老舗である。新潟県上越市直江津地区に本社を構える株式会社高舘組は、2024年にユースエール認定を受けた。若者の採用・育成に積極的な企業として、国の基準をクリアしたことはもちろん、その背景には「高舘組イズム」とも呼ばれる独自の企業文化と、時代に即した変革への挑戦がある。

1927年(昭和2年)の創業以来、高舘組は土木・建築・リフォームを手掛け、地域のインフラ整備を支えてきた。上越市の斎場整備や県立謙信公武道館、ジムリーナの建設、新幹線関連工事などの大型公共案件も担い、実績は多岐にわたる。そうした地域密着型の姿勢に加え、長年にわたり積み重ねた「誠実な仕事」が地元からの信頼を築いている。

新上越斎場建設も担当

同社が掲げる「高舘組イズム」は、単なるスローガンではない。「仕事に誠実であれ」「信用とは毎日の結果の積み重ね」「できることはその日にやる」「嘘や隠しごとはしない」といった行動規範が社員一人ひとりに浸透しており、真面目で責任感ある社員の姿がブランドを支えている。社員は「高舘組の社員である」という誇りを持って働いていると想像できる。

若手育成においては、経験と意識の継承が要となる。現場代理人や施工管理技士など、高い技術と資格が求められる建設業界で、同社では若手社員が積極的に資格取得に励んでいる。今夏だけで10人以上が試験勉強に取り組むという。「背中を見て学ぶ」だけでなく、研修の仕組みと先輩の支援体制が整っていることも、若手の成長を支えている。

丹原地区道路改良工事(災害復旧)

社員研修の様子

一方、DX(デジタルトランス・フォーメーション)推進による業務効率化も着実に進んでいる。会議のオンライン化、書類のデジタル提出、クラウド共有など、建設業界における“離れた現場同士の情報可視化”を実現している。リモートワークの先駆的実践ともいえるこの取り組みにより、業務の透明性と働きやすさが高まり、エンゲージメント向上に寄与している。

さらに、社内イベントを主導する「100年プロジェクトチーム」もユニークな取り組みといえよう。東京ドームプロ野球観戦の社員旅行やソフトボールのスポーツ大会を通じ、部署横断的な連帯感を醸成している。社員全員で100個の小さな目標を立て、創業100周年へ向けた「小さな挑戦」を共有する風土が、組織全体の活性化につながっている。

社員旅行の東京ドーム前にて(巨人・阪神戦)

ソフトボール大会(建築部VS土木部)

福利厚生の見える化、育児休業取得の推進も見逃せない。2023年には男性社員が実際に育休を取得し、今後の利用促進に向けた土台づくりも進行中だ。「休んでも現場が回る仕組み」を目指し、情報共有とチーム体制の強化を図っている。

また、従業員の健康経営にも着目し、自販機を3階に設置するなど、ちょっとした「運動習慣の仕掛け」も取り入れているのが高舘組らしい工夫である。

同社の髙舘脩平常務取締役は「若い人たちが安心して働ける環境を整えることは、結果として全世代にとって働きやすい会社づくりに通じる」と語る。その言葉通り、ベテランから若手までが同じ方向を向き、変化と継承のバランスを保つ社風が、地域から選ばれ続ける理由だ。

高舘脩平統括常務取締役

「今後も上越の建設業界をリードしていきますか?」との記者の問いに対し、同社の高舘徹代表取締役社長は「少なくともその中の一躍は担っていきたい。公共事業の実績も多く、地域に根差した企業として、今後も変化を恐れずに持続可能な会社運営を目指していきたい」と語った。

高舘徹代表取締役社長

「誠実な仕事」「信用の積み重ね」「責任感と真面目さ」。これらを柱とする「高舘組イズム」は、社員の行動規範として浸透している。100周年を見据えた挑戦は、すでに始まっている。

(文・梅川康輝)

【過去の梅川レポート】

【梅川レポート①】今年7月参議院選挙自民党候補予定者の中村まい氏(シドニー五輪銀メダリスト)独占インタビュー

【梅川レポート②】新潟県上越妙高で半世紀、こだわりのジーンズ店 「たかがジーンズ、されどジーンズ」 マルニのさらなる挑戦

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