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「ジャーナルスタンダード」の元バイヤー・成山さんが2023年に起ち上げたアウトドア古着とギアの店「ドアマンストア」。

Dig-it[ディグ・イット]

エディバウアーの黒タグとか、’90年代のパタロハとか、あとシェラデザインのテントとか――。その辺りのヴィンテージものがよく並ぶ『ドアマンストア』は、2023年に成山明宏さんが大阪市住之江区に起ち上げた古着店だ。つまり、店名にある“ドア”とはアウトドアのことを指す。

アウトドア古着から、外遊びや趣味に飛び込め。

「ただもう一つ、意味があるんです」と成山さんは、付け加える。

「釣りとかキャンプとか、『やってみたいけれど踏み出せない』趣味やスポーツってあるじゃないですか。そういうのを服やバッグから入ってもらえたらいいなって。何かしらの新しいドアを開けるきっかけになる店に、したかった」

実のところ、成山さん自身にとっても、店は新しいドアだった。

『ドアマンストア』は大手セレクトチェーンを飛び出し、たった一人でつくった店であるからだ。

「踏み出しちゃいましたね」

古着店で試したことの答え合わせがしたくなった。

住之江は生まれ故郷でもある。

ただ子どもの頃の遊び場はもっぱら山や海。両親がアウトドア好きで、休みとなれば三菱デリカに家族5人で乗り込んで、キャンプや釣りへ向かったという。

「中学になると友達と南港でアジやタチウオをよう釣ってました」

もっとも高校に入るとアメ村へ向かう。堤防でサビキとエサの相性を試行錯誤するより、アメ村でデニムにあうジャージを探すほうが楽しくなっていたからだ。

「アメ村の古着店で働いている先輩に憧れてたんです。理屈はわからないけど着こなしをマネて『どう着たらおしゃれに見えんの?』とか『そもそも“カッコいい”って何やろな』と研究したりね」

結局、高3でミナミの古着店でバイトしはじめ、卒業後は、アメ村の古着店に就職したほどだ。

「2000年代前半ですか。ヴィンテージブームは終わっていたけれど、逆に自由におもしろいものを掘る古着好きは多かったかな」

ただ成山さんは、別のおもしろさも掘り当てていた。見せ方を工夫して、売場に置く商品を戦略的につくる、「VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)」だ。

「『在庫が多いパンツを推す棚を入口に作ろう』とか。独学だけど仲間と一緒に手探りでやると売れ行きが変わる。気持ちよくって」

当然、売り上げは伸び、数年後には店長として一店舗を任せられた。ただ途中、「独学で突っ走ってきた店舗づくりの知見を他で試してみたい」と思いはじめる。

「答え合わせしたくなったんですよね。大手で通用するのか、と。そこで『ジャーナルスタンダード』に転職したんです」

言わずと知れた全国に店舗を持つ大手セレクトショップ。そこではむしろ学ぶことのほうが多かった。大手ならではの社員研修で、接客コミュニケーションやVMDの基礎から学び直せたからだ。

気がつけば大阪イーマ店の販売員からスタートして、エリアマネージャーなどを経て、バイヤーにまで駆け上っていた。東京本社に席を置き、ブランド各社とコラボ商品をつくりあげる仕事などは「とくに興奮した」という。

しかし2020年代に入る頃、“シケ”は決して良くなかった。

架空の『ドアマンストア』をSNS上に先につくった。

そもそも少子高齢化とファストファッションの隆盛もあり、業界地図は変わりつつあった。さらにコロナ禍で市場全体が縮小。成山さんも一旦、単身赴任していた東京から大阪に戻ることになった。

「ただ潮目が変わったとも言えた。コロナ禍で都心じゃなくても人気の店が出てきた。またアウトドアや古着も流行り始めた。考えてみたら『俺がずっと好きだったものを地元でやれるんちゃうか』と」

実験好きが走り出した。コンセプトは先にあげたとおり「誰かのきっかけをひらくドア」でアウトドア古着を中心に扱うことに決め、屋号を『ドアマンストア』とした。

ココからが、おもしろい。

「インスタに『ドアマンストア』でアカウントをつくり、あたかも実店舗のように商品をアップしはじめたんです。古着のマウンパやヴィンテージのフリース、ちょっと珍しいルアーなんかを」

その投稿が転機につながる。堀江のセレクトショップ『グラウンド・デポ』の社長から声がかかり、『そうした内容の店をうちの2階でやらないか』と誘われたのだ。

「そして転職を果たして仕入れまで任せてもらいアウトドアフロアを作り上げたんです。洒落たアウトドアギアと古着を置いた、いわば『ドアマンストア』の前進です」

時流に乗って店はすぐに人気を博す。ただ、そうなると、むしろ「自分の店をやりたい」思いが強まったという。そりゃそうだ。

「結局、1年後に独立。2023年4月に今の場所に『ドアマンストア』を起ち上げたわけです。都心部でもない地元の住宅地に近い場所で、ホンマにやりたい店を」

店づくりから宣伝まで、ジャーナル時代の同僚たちがワイワイと協力してくれた。古くからの顧客が「キャンプに行くから」「釣りに興味があって」とココでも常連になってくれた。地元の友達だって何かと応援を欠かさない。隣の美容室なんて幼馴染みの親友だ。

「お客さん含め、まわりの人たちに恵まれて、何とかやれてます」

店はもう2年目。将来は店舗展開し、各店主の嗜好にあわせ「サーフィン×古着」「バイク×古着」などカラフルな『ドアマンストア』をつくれたら、と思いを馳せる。

「『こんなことを成し遂げたい』って夢を持っている人のドアも開けたなら最高だなと思ってます。アツくるしくてダサいけど(笑)」

いやいやいや。“カッコいい”って、そういうことでしょ。

釣りやキャンプ、カヌーなどの外遊びに使ってほしいヴィンテージ古着を中心にセレクト。「古着はほぼアメリカで僕が直接仕入れています」

額装されたポスターも、ランクルや釣りの仕掛けなど“らしい”セレクト。マネしたい

窓際にはヴィンテージのコールマンが。これだけで「アウトドア好きの店」と色濃く匂わす

ビーンブーツのコーナーがしれっとあったり。梅雨前のいま、気になっている人も多いのでは

ワームやルアーなど本格的なフィッシングギアも。ZOOMなどアメリカブランドにこだわる

山で海で、ストリートで。遊びの幅と奥行きを広げる、古着&ギアたち。

アメリカで直接仕入れたパタゴニアやエル・エル・ビーン、エディ・バウアー等々のヴィンテージ古着。アウトドア遊びやいつもの日常をもっと輝かせてくれるウエアとギアを紹介。

’90年代以前の 旧タグもの、多めです。

EMS Pinnacle Performance

’90年代のデッドストックの7インチ丈ショートパンツ。「ライトウェイトでノンストレス。落ち着いたチェックで使いやすいです」

Patagonia Level9

「パタゴニアは特殊部隊など限られた部隊のアイテムを供給していた。このシャツとトラウザーがまさにそれ。街にも山にもイケる万能選手です」

Oboz Shoes

「2007年にモンタナ州ボーズマンで生まれたハイカー向けのブランド。耐久性抜群です」

Patagonia Short Sleeve Shirt

「夏が来るたびに欲しくなるパタゴニアのA/C(エアコン)シャツと、おなじみパタロハ」

Golite Carry Bag

「’00年代のキャリーバッグ。40Lの大容量ながら超軽量、機内持ち可なサイズもポイント」

※価格は未定。要問い合わせ

【DATA】
DOORMAN STORE
大阪府大阪市住之江区浜口西1-2-13-106
TEL06-6616-7951
月〜木曜13時〜20時、木〜日曜11時〜20時 無休

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