12月、ボーナスを貰って転職したい! 退職タイミングとキャリアのベストな選び方は?
「そろそろ転職しようと思っているのですが、できればボーナスをもらってから辞めたいです。12月にボーナスを受け取って、1月から次の職場に行けると良いと思うのですが、転職活動はどのように進めるべきでしょうか?」
「転職したい。でも、せっかくなら12月のボーナスをもらってから辞めたい……」そんなふうに考えたことはありませんか?
まとまったお金が入るボーナスは貴重な収入源で、「逃すのは痛い」「損しないタイミングで転職したい」と思うのは当然のこと。とはいえ、賞与のタイミングに合わせて動くことで、転職活動が慌ただしくなったり、後悔につながるケースもあるようです。
今回は、キャリア・コンサルタントの林碧先生に、「ボーナス後の退職」を目指す際の注意点や、後悔しない転職活動の進め方について解説いただきました。
キャリアの節目をより良い形で乗り越えていくために、今どんな準備が必要なのか。一緒に考えてみませんか?
キャリア・コンサルタント
林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級、両立支援コーディネーター。 企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算4000件以上の個別面談実績、年100件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、人材コンサルティングも実施。日経Xwomanアンバサダー。小学生2児の母。
転職のタイミングについてのご相談ですね。転職を考えるとき、真っ先に頭をよぎるのが「賞与=ボーナス」の存在という方は多くいらっしゃいます。
まとまったお金を手にできるタイミングは区切りとしてわかりやすく、また、経済的にも影響が大きいものですので、「ボーナスをもらってから」と考えるのはごく自然な判断です。
しかし同時に、賞与の額やタイミングだけにとらわれて動くと、肝心の転職活動そのものが慌ただしくなり、「こんなはずではなかった」と後悔するケースもあります。
今回は、ボーナスを意識しながらも「後悔の少ない転職」を実現するための考え方やスケジュール感を、一緒に整理していきましょう。
•ボーナス後の転職を目指すときに注意したいこと
•転職活動の流れと一般的な期間を確認してみましょう
•現職との関係性も大切にする振る舞いを
•転職市場の動向も踏まえつつ、有意義な事前準備で「後悔しない転職」を
•あなたの人生全体を考えた、豊かな決断を
ボーナス後の転職を目指すときに注意したいこと
ご相談を拝見していて、「自分で転職の節目を決めた」という事実は大きな意味があると感じています。
多くの人にとって、転職は「なんとなく考えている」から「実際に動く」までが一番大きなハードルです。その一歩を踏み出すきっかけとして、ボーナスという節目を活用するのは有効な方法です。
ただし「節目を区切った=最適なタイミング」とは限らない、ということもお伝えさせてください。
マイナビ転職の「転職満足度調査」では、転職を意識してから転職活動を終えるまでの期間が「3か月以下」の人は後悔する割合が高く、「4か月以上」かけた人では後悔の割合が減少する、という結果が出ています。
つまり、慌てて転職を決めることは、想像しきれていなかった、「こんなはずではなかった」に遭遇する可能性を高めてしまう、ということです。
具体的には、次のような理由が考えられます。
転職後の後悔ポイント●給与や休みという点に気をとられ、相手企業のことを十分に理解できていなかったことに入社後気付いた
●自分が本当にやりたいことや今後の方向性を検討することなく転職してしまい、キャリアを築きにくくなってしまった
●社風や自身の性格とのミスマッチに気づけずに入社してしまった
●急な退職意向の伝達や短期間での引継ぎにより、前職との関係性が崩れてしまい遺恨がうまれた
様々なケースがあるとは思いますが、無理に短期間で決めようとするのは得策とは言えません。
「ボーナスを受け取る」ことをひとつの目標とし、一歩踏み出すという決意を固めたあなた自身をしっかりと認めてあげて欲しいのは大前提ですが、後悔がないように「自分にとって準備は十分か」「3か月以内で無理に決めようとしていないか」「目標時期が妥当かどうか」、そうした点をいま一度ご自身に問いかけてみてください。
転職活動の流れと一般的な期間を確認してみましょう
転職活動にはどんなステップがあるのか、そしてどれくらい時間をかけるのが一般的といえるのか、今一度整理してみたいと思います。
転職へ向けた4ステップ1.活動開始(自己分析・情報収集)
目安:2~3か月前
2.応募・面接
書類選考から内定まで1~2か月程
3.内定
入社日調整を含め、通常は内定から1か月ほど後に入社
4.退職手続き
現職への申告から退職まで、最低1か月(望ましくは2~3か月)
あくまで一般的な進め方ですのでこれが絶対というわけではありませんが、これからの進め方を考えるうえでは参考になるかと思います。
こうして並べると、12月にボーナスを受け取り1月に入社を目指すのは、かなりタイトなスケジュールです。
実際には10月頃に内定を得ておかなければならず、その時点で退職意向を伝えていれば、査定に影響が出る可能性も高くなります。
賞与を確実に受け取りたいとの思いなのであれば、2月以降の入社を目安にするほうが現実的といえるでしょう。
2月入社であれば、12月に支給を受けてから、1月中に引き継ぎと退職手続きを進め、2月に新しい職場でスタートを切ることができ、やや慌ただしさはあるものの、許容範囲と言えるでしょう。
この流れであれば(現状のお仕事の状況にもよりますが)、現職への迷惑も最低限に抑えられ、気持ちの余裕も生まれます。
現職との関係性も大切にする振る舞いを
転職は「次の会社にどう入るか」だけでなく「今の会社をどう辞めるか」も非常に重要です。
最近では、退職した社員を再び迎え入れる「出戻り採用」や、アルムナイ(退職者ネットワーク)を社外人材として活用する動きも増えている他、SNSの普及もあって「人と人とのつながり」が想像以上に広がり、重要度を増しています。
去り際の印象は、後のキャリアに思わぬ影響を及ぼすこともある、と心得るべきです。
特に次の点を心がけると良いでしょう。
退職時のポイント●退職時期は繁忙期を避けるよう配慮する
●引き継ぎを丁寧に行う
●感謝の気持ちをきちんと伝える
「良い別れ方」をすることは、自分自身の気持ちを整理する意味でも大切です。
後ろめたさを残さないことで、新しい職場で堂々とスタートを切ることができますし、退職時に周囲に感謝や承認をされることは、これまでに得た経験やスキル、そして自身の強みの再認識にもつながります。
転職市場の動向も踏まえつつ、有意義な事前準備で「後悔しない転職」を
転職活動において「準備」はとても大切です。
その「準備」を適切に行っていくためにも、外部の「市場環境の動向」と自分自身の「準備期間の使い方」についても、一緒に確認をしておきましょう。
まずは時期によって求人量は増減する、という点は知っておいてほしいことです。
採用求人は年末年始、一時的に減る傾向があります。一方で、年明け(1~3月)は中途採用市場が活発化します。
年度始めにあわせた増員計画や配置転換を考えるケースも多く、翌年度の4月入社を見据えて秋冬から採用を動かす企業が多いためです。
このため「1月入社」にこだわって秋早いタイミングに結論を出すよりも、「2~3月入社」を目指すほうが、より多くの求人の中から選ぶことができるといえます。
この点を見ていただいても「急いで転職活動をする」「早く結論を出す」が必ずしも得策とは言えないことをご理解いただけると思います。
もしあなたが「焦って動かない」と決めたなら――ここで生まれた準備期間も大切に使っていきましょう。実際に選考に参加する前の事前準備で、転職の成功確率は大きく変わります。
事前準備のポイント●自己分析を深めて強みや希望条件を整理する
●OB訪問や説明会でリアルな情報を集める
●応募書類を見直し、面接練習を重ねる
短期決戦で転職した人の多くが「もっと準備すればよかった」と感じているのに対し、時間をかけた人は「納得のいく選択ができた」と語ります。
これらのことから、転職にむけての事前の準備期間は「後悔しない転職」を支える大切な投資と言えます。
あなたの人生全体を考えた、豊かな決断を
「ボーナスをもらってから辞めたい」という気持ちは自然なもの。ただし、その想いに縛られすぎると、転職市場のチャンスを逃したり、準備不足で後悔につながるリスクがあります。
大切なのは、賞与を一つの判断材料としつつも、キャリア全体を見据えた選択をすること。「ボーナスありきでなく、人生全体にとってどうか」という視点を軸に考えてみてください。
例えば、「今の仕事の区切りはどこか?」「家族や生活との兼ね合いはどうか?」「長期的なキャリアの広がりにつながるか?」といったところでしょうか。
ボーナスは大切な収入ですが、それ以上に重要なのは「自分自身が納得できるキャリア選択ができるかどうか」です。仮にタイミングが合わずに賞与を手放すことになっても、それ以上に大きな成長ややりがいを得られるなら、長期的にはプラスになることもあります。
あらためて、今回の転職活動は何を得るための転職活動なのか、ご自身で整理を進めてみてください。
誠実に準備を重ね、関係性を大切にして退職する。そして、納得のいく形で次の職場へ進むことが、あなたの未来をより豊かにしてくれるはずです。
今回の選択が、あなたの人生にとってプラスの転機となりますように。
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( https://tenshoku.mynavi.jp/content/declaration/?src=mtc )
文・マイナビ転職編集部