能登半島地震被災者のために… 13年前被災の釜石の飲食店 義援金託す 9月大雨災害にも心痛
釜石市大町1丁目のかまいし親富幸通り飲食店会(久保秀俊会長、38店)は、1月に発生した能登半島地震の被災者のために役立ててほしいと、加盟店で募金活動を行ってきた。寄せられた義援金を日本赤十字社(日赤)に送るため、9月26日、久保会長ら役員3人が市役所を訪れた。
加盟36店舗が空きペットボトルで手作りした募金箱を店内に置き、3月から8月までの6カ月間、来店者に協力を呼び掛けた。集まった義援金は計22万1896円。久保会長、鈴木葉子副会長、田中裕也理事が市役所を訪れ、日赤岩手県支部釜石市地区長を務める小野共市長に託した。
同通りは市中心市街地にあり、約70メートルの区間に居酒屋、スナック、バー、焼き肉店などが軒を連ねる。大町1丁目界隈(かいわい)は2011年3月の東日本大震災で津波に襲われ、約8割の飲食店が被災。営業再開店舗が増えてきた16年7月、それまでの通称「親不幸通り」を「親富幸通り」に改称し、飲食店会(29店加盟)が組織された。被災の痛みを知る店主らは、16年4月の熊本地震の被災者や今なお戦禍にあるウクライナの人たちにも思いを寄せ、これまでにも募金活動を展開してきた。
久保会長は能登半島地震被害について「東日本大震災を思い起こすような状況。私たちも当時は多くの支援をいただき助けられた。少しでも力になれればと、今回も募金活動を決めた」と経緯を説明。コロナ禍で減った客足がなかなか戻らない中ではあったが、各店で多くの協力があり、店主らの気持ちも添えて今回の寄付に至った。鈴木副会長は「市内はもちろん、外から来た人も協力してくれた。お客様が募金箱に気付いて、自らお金を入れてくれることもあった」と感謝。3人は5日前に発生した豪雨災害にも心を痛め、被災者の心情を思いやった。
小野市長は「(9月)21日の線状降水帯による大雨被害で、能登半島はさらに厳しい状況にある。皆さんから預かった義援金を大切に届けさせていただきたい」と話した。
義援金は日赤を通じて同地震の被災4県に配分される。
市は9月21日の石川県北部の豪雨災害を受け、「能登半島大雨災害義援金」の受け付けを始めた。募金箱は市内各地区生活応援センター、市民課(市役所第1庁舎1階)、地域福祉課(保健福祉センター2階)に設置している。受付時間は午前8時半から午後5時15分まで。募金は日赤を通じて被災者の生活支援に役立てられる。