とんねるず・石橋貴明が動いた!札幌の小さなラジオ局で起きた“奇跡の4時間“その裏側「信じられない…」
10月12日、札幌のコミュニティFM「ラジオカロスサッポロ」で放送された4時間特番『とんねるずのおかげです!』。地方局の一特番として放送されたこの番組は、放送中にとんねるずの石橋貴明さん本人が反応を示し、全国のネットニュースを駆け巡るという、前代未聞の出来事を生みました。番組のパーソナリティーを勤めた俳優・江田由紀浩さんに、番組企画の裏側と、ご自身が“とんねるず”に抱く思いを伺いました。
【実際の画像】貴さんからのリアクションに驚きと涙のスタジオ (全5枚)
ネットラジオを飛び出して伝えたい思い。特番を決意したワケ
――まず、今回の特番を企画したきっかけを教えてください。
自分がやっているネットラジオ「江田noファンクラブ」で、以前からとんねるずの話題をよく取り上げていたんです。とんねるずって、僕らの世代にとって本当に特別な存在で。去年の武道館ライブ『とんねるず THE LIVE』のときも番組で感想を語ったら、リスナーの反響がすごかったんです。でも、ネットラジオは自分のファン層の中で完結してしまうんですよね。もっと広い場所で、みんなのとんねるず愛を共有できたら楽しいんじゃないかと思って、思い切ってラジオカロスさんに「特番をやらせてください」と相談しました。当初は2〜3時間の想定だったんですが、局長の小林さんから「せっかくだから4時間やっちゃおう」と(笑)。そこから一気に準備が始まりました。
一緒にMCを務めた牛角富士子さん(ゴカクちゃん)は、とんねるずのオールナイトニッポンを聴いていた方にとっては有名なワンフー(ワンフー=とんねるずファン)です。3、4年前に偶然知り合いになり、現在は東京に住んでらっしゃいますが、ちょうど彼女が札幌にくるタイミングで一緒に特番をやってください!という話になりました。
とんねるずがくれた“表舞台に立つ勇気”
――江田さん自身、とんねるず世代ですよね。
そうですね。僕は今年52歳になるんですが、中学・高校時代がちょうど“とんねるず全盛期”でした。「夕やけニャンニャン」から「とんねるずのみなさんのおかげです」へと続く時代ですね。最初は少し大人っぽくて分からなかったんですが、中学生になってからどんどんハマりました。
そして『とんねるずのオールナイトニッポン』は印象に残っています。番組では曲の制作秘話や放送前のエピソードなど、いわゆる“業界の裏話”をたくさん話してくれて、それが楽しくて。
―― 今のご自身の活動にも影響を与えていると思いますか?
間違いなくそうです。ビートたけしさんのオールナイトニッポンを聴いて芸事に憧れていましたが、とんねるずのラジオが始まってから、「自分もテレビに出たい」「人前で表現したい」と具体的に思うようになりました。当時のお笑い芸人といえば誰かに弟子入りしたり、お笑いの学校に通うことが普通でしたが、とんねるずはまったくの素人がオーディション番組で勝ち上がり、勢いでチャンスを掴んでいきました。その姿を見ていて、自分にもできるかもしれないという希望をくれたと思います。
現在放送している自身のネットラジオでも、舞台や映画に出演したときの裏話などをしています。まさに「とんねるずのオールナイトニッポン」の影響です。
100通を超えるリクエストに「とんねるず愛」を実感。そして貴さんからのリアクション
――4時間の特番となると、かなりの準備が必要だったのでは?
とにかくリクエストとメッセージの量が想像以上でした。募集をかけたら100件以上集まって、どれも想いがぎっしり詰まっている。高校時代にライブを観に行けなかった後悔の話とか、一方で行けた喜びのコメントだったり……一通一通にストーリがあって、本当に熱かったです。それを全部読んで、選曲をして、番組全体の流れを考える作業は大変でした。でも、それ以上に「こんなにも多くの人が今もとんねるずを大切にしてるんだ」と実感できてうれしかったです。
また、選曲もこだわりました。野猿や矢島美容室などの派生ユニットもありますが、今回は“純度100%のとんねるず”でいこうと決めていました。とんねるずの活動期間を4つの時代に分けて、それぞれの時期からフルコーラスで流す曲を4曲ずつ選びました。リクエストやメッセージの内容を踏まえて、「この話を読みたいからこの曲にしよう」という感じで最終的に絞りました。
――そして放送当日、とんねるずの石橋貴明さんが反応を示すという奇跡が。
本当に信じられませんでした。放送の途中で局長から「貴さんが聴いてるみたい」と言われて、最初は冗談だと思ったんです。でも本当にXに投稿があって。一緒にMCを務めたゴカクちゃんは泣いていましたし、僕も平常心を保つのが大変でした(笑)。貴さんはがんとの闘病を公表されたばかりでした。だからこそ、9カ月ぶりの投稿が自分たちの番組へのリアクションだったことに感激しました。
多くのファンから「特番のおかげで、今現在の貴さんを感じられてうれしかった」というメッセージももらいました。そこからすぐにネットニュースになっていて、次の日もまた記事が出るという…もう信じられないくらいの反響でした。「やってよかった」と心から思いました。
「やってよかった」という達成感――特番を終えて
― 改めて、今回の特番を終えて感じたことを教えてください。
4時間の放送を通して、とんねるずを今も愛している人がこんなにも多いんだと実感しました。ワンフーと同じ思いを共有できたことが、何よりの達成感でしたね。やっぱり、ラジオだからこそ伝わる熱があると思います。
貴さんには、「僕らワンフーはいつまでも待つことができます!とにかく快復に全力を注いでください」と伝えたいです。そういう思いが、特番をきっかけに貴さんに通じたら嬉しいです。
<話を聞いた人>
江田由紀浩さん
■出演
・ラジオカロス「勝手に!ラジオカロス革命!」
毎週月曜23:00〜24:00
・ネットラジオ「江田noファンクラブ」
【ライタープロフィール】
山下 恭平(雑誌・書籍編集者&ライター)
ラジオ局で番組制作の仕事をしながら、ミニコミ誌の制作や雑誌のライター業を始める。その後、編集者として出版社に入り、タウン情報誌をメインにさまざまな記事を手掛けてきた。好きなことは料理、山登り、川釣り、札幌の石碑。札幌市南区在住で、南区をこよなく愛している。