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4歳で軽度知的障害の診断、療育手帳を取得。就学前の知能検査で予想外の変化が!?

LITALICO発達ナビ

4歳で軽度知的障害の診断、療育手帳を取得。就学前の知能検査で予想外の変化が!?

監修:室伏佑香

東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科/名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程

初めての知能検査の結果はIQ52。軽度知的障害と診断され、療育手帳を取得

長男が知的障害(知的発達症)の診断を受けたのは幼稚園年中の時でした。年少の最後の親子面談で、担任の先生から集団行動を取れないことを指摘され、療育を勧められたことがきっかけでした。長男が幼稚園に入る3歳までは自宅保育で育てていて、集団行動をとる機会もなかったためか、特に育てにくさを感じたことはありませんでした。3歳児健診でも指摘はなかったので、面談で療育の話をされた時には非常に驚き、ショックも大きかったです。

その後、発達支援センターに療育の相談をする中で、長男は知能検査を受けることになりました。検査は臨床心理士の方と息子の一対一で行われましたが、検査に集中できていない様子が隣の部屋で待機していても感じとれました。集中すればもっと理解力も高いはず……と検査結果をすぐに受け入れることはできませんでした。

しかし、その後医師から軽度知的障害(知的発達症)の診断を受け、療育手帳を発行してもらってからは徐々に受け入れられるようになりました。療育手帳を持っていることで支援を受けられる安心感が得られたり、公共機関などでも優遇していただけたり、助かったことも多くありました。

就学相談でぶつかった新たな壁。学ぶ環境を選ぶために受けた再検査

ところが、長男が年長になり就学相談を受けると、今度は別の問題に直面しました。私たちが住んでいる自治体では、療育手帳をもっている子どもは自閉症・情緒障害特別支援学級に入ることができず、長男の場合は知的障害特別支援学級か通常学級の二択となると告げられたのです(入級の基準は自治体によって異なります)。私たち両親は、こだわりの強さや見通し不安、感覚過敏などの特性がある長男には、自閉症・情緒障害特別支援学級の環境が合っていると考えていました。療育に通っていたことで成長した部分も多くあるし、理解力は確実に高まっていると感じていたので、もう一度知能検査を受けることを決断しました。

2度目の知能検査の結果は……

2度目の知能検査の結果、IQ100と数値は大きく変わっていました。そのため、就学先として知的障害特別支援学級の選択肢がなくなり、代わりに自閉症・情緒障害支援学級を選べる可能性が出てきました。就学相談では、IQの数値から通常学級を勧められましたが、大急ぎで準備した療育先の意見書や「ASD(自閉スペクトラム症)の疑いあり」の診断書を提出したことが功を奏したのか、自閉症・情緒障害特別支援学級への就学が決定しました。

この4月で自閉症・情緒障害特別支援学級の2年生となった長男。担任の先生から学校での様子を聞くかぎり、もし通常学級に進学していたら、集中できず集団授業についていくことは難しかったように思います。特別支援学級の環境がとても合っているようで、今は勉強の遅れもなく、本人に合ったペースで学校生活を楽しく送ることができています。結果として、長男は知的障害(知的発達症)の診断基準から外れたために、療育手帳は返納することになりました。今まで受けられていた支援が受けられなくなってしまう心配もありましたが、日々着実に成長してくれていることがうれしく、今後も長男に合った道で負担なく進んでいってくれたらいいなと考えています。

執筆/プクティ

(監修:室伏先生より)
プクティさん、お子さんの診断から就学までの経過を共有くださり、ありがとうございました。同じような経験をされているご家庭にも大きな励みになる内容だと感じました。

ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんでは、言葉の発達がゆっくりであることが多く、3~4歳頃の知能検査では言語能力の影響を強く受け、IQが実際の知的能力を反映しきれないことがあります。とくに、知能検査は言語能力への依存度が高い検査が多いため、言語が未発達な時期には“知的障害(知的発達症)”の診断となり、その後言語能力がキャッチアップしてくると、IQが知的障害(知的発達症)の基準を満たさなくなることも決して珍しくありません。知能検査は同じ検査を繰り返す場合には、検査内容を覚えていると能力が正しく結果に反映されないため、ある程度の間隔をあけて行う必要があり(例えば2年以上など)、頻繁に再検査をする必要もありませんが、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんで言語能力が伸びている場合には、就学前に再度検査を行うことが望ましいです。

今回、就学前に言語能力の伸びをふまえて再検査を受けられたこと、そしてその結果をもとにより適切な学級を選択されたご判断、療育先の意見書や医師の診断書を丁寧に揃えて対応されたご努力は、本当に素晴らしいです。現在の学級環境がお子さんに合っており、楽しく通学できているという事実が何よりの成果ですね。

今後も、お子さんが適切な支援を受けながら、ご自身の特性やペースに合わせて楽しく学んでいけますように、応援しております。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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