【食えんのか?】香川県で発見した一風変わった「お雑煮」で “あずき嫌い” を克服した一部始終
私(耕平)は先日香川県を訪問した際に、久々にカルチャーショックというものを受けた。それは香川県のお雑煮が全国的に知られている“お雑煮の常識”とは、まったく異なっていたからだ。
お雑煮といえば、醤油ベースのかつおだしに野菜、鶏肉、餅が入っているのが定番だと思っていた。私自身も、そのお雑煮しか食べたことがなかった。ところが香川県では、白味噌ベースに「あんもち」と呼ばれる餅の中に、あんこが入っているものが一般的らしい。
しかし、私はあずきが苦手だ。特に「おしるこ」は絶対に食べられない。そんな私が『あんもち雑煮』に挑戦してみた結果、思いがけず “あずき嫌い” を克服できた。その一部始終をご覧いただこう!
・高松の夜景スポットで聞いた話
ふと夜に立ち寄った、JR高松駅前にある「高松シンボルタワー」。
その29階にある展望台ホール内にある「CAFE&BAR 酒蔵 伍と弐 天(ごとに てん)」というお店のカウンターで飲んでいた時のことだ。
このお店では、高松のネオンや港を一望できる絶好の夜景を眺めながら、お酒を楽しめる。私自身、香川には今回で2度目の訪問にもかかわらず、すでに3回も足を運んでいるほどのお気に入りだ。
窓から見える高松の夜景は、まさに絶景。この景色を見ながら飲む一杯は、何にも代えがたい贅沢だと思っている。
そのお店の香川県育ちの店長さんと話していると、県を出た時にお雑煮でカルチャーショックを受けたという。「えっ、お雑煮ですか?」と聞き返したところ、店長さんは笑いながら……
「香川のお雑煮は特殊なんですよ」
と教えてくれた。前述した定番だと思っていたお雑煮とは違い、白味噌ベースに「あんもち」と呼ばれる、餅にあんこが入っているのが特徴だとのこと。
「お雑煮に……あんこですか? おしるこじゃなくて??」と、私は思わず聞き返してしまった。甘いものとしょっぱいものが一緒になっているという、その組み合わせが全く想像できなかったからだ。しかも、私はあずきが大の苦手。おしるこなんて絶対に食べられない。
とはいえ、ここまで聞いたら確かめないわけにはいかない。さっそく次の日に行ってみることにした。
・噂のお雑煮と対面
店長さんに教えてもらったお店に翌日向かう。お店の名前は「ぶどうの木」。高松中央商店街のライオン通りにお店を構える、和風の落ち着いた雰囲気の店だ。
店頭には『あんもち雑煮』が全面に出されていて、のぼりが立っている。
店内に入ると、和風で落ち着いた雰囲気が広がっていた。
そこで注文したのは、10:00〜11:00限定の「あんころ餅モーニングセット(1150円)」だ。アイスコーヒーと『あんもち雑煮』がセットになっている。
注文後5分ほどで、目の前に運ばれてきた!
これまでの人生で見たことのないような、お雑煮とは思えない外見だ。白味噌ベースの汁に、にんじんと大根が入っていて、どこかホッとする素朴な料理に見える。
しかし、その器の下には噂の「あんもち」が沈んでいた。
さあ、ここからが本番だ。前述のとおり、私はあずきが苦手で、「おはぎ」や「おしるこ」などは、もはや罰ゲームのようなものだ。そんな私が、この『あんもち雑煮』を食べられるのだろうか?
・あずき嫌いを克服できるほどの美味さ
まずは、白味噌をたっぷり染み込ませた大根を一口。
白味噌の優しい風味が口の中に広がる。これは悪くない。にんじんも優しい味である。
さて、問題は「あんもち」だ。器の底から箸で餅を持ち上げると……
中から、あずきが溢れ出してくる。
やはりこう見ると、ビジュアル的には「おしるこ」感を否めない。そして、おそるおそる口に運んでみると……
あれっ? 意外にいける。
普通に美味しい。おしるこは100%あずきなので個人的にはさすがにキツイが、この『あんもち雑煮』は、あずきの甘さと白味噌のしょっぱい風味が見事にほどよく融合している。まさに甘じょっぱいという表現がピッタリだ。
もちもちとした食感に、あずきの甘さと白味噌の塩味が絡み合い、今までに味わったことのない美味しさ。餅の食べ方によって白味噌ベースのお雑煮と、おしるこの両方の風味を一度に楽しめる。これは新感覚だ。
添えられている煮豆も、いいアクセントになっている。
そして具をすべて食べ終えたあとに、わずかに残ったあずき入りの汁が最高に美味しい。
白味噌とあずきが絶妙に混ざり合ったこの汁は、今までにない新感覚の味わいだった。いやはや、お雑煮の概念がすっかり変わった!
・香川県だけじゃなかった
食べ終わった後、『あんもち雑煮』を教えてくれた冒頭で紹介したお店に再び足を運び、店長さんに食べたことを伝えた。すると、香川県民にとっては当たり前の料理であるため、他県の人が驚くことを逆に不思議がっているとのこと。
さらに調べたところ岡山県のお雑煮も、この「あんもち」を使用しているらしい。瀬戸内海周辺では、このスタイルが定番なのかもしれない。
そんなわけで香川県で出会った『あんもち雑煮』は、個人的に常識を覆した衝撃の逸品だった。正月を待たずして、この驚きを体験できたのは大きな収穫だ。もし香川に訪れることがあれば、ぜひ『あんもち雑煮』を味わってみてほしい!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ①
店名 ぶどうの木
住所 香川県高松市百間町2-1
時間 10:00~20:00(日曜は〜17:00)詳細はInstagram
定休日 月曜日
・今回ご紹介した店舗の詳細デー②
店名 CAFE&BAR 酒蔵 伍と弐 天
住所 香川県高松市サンポート2-1 タワー棟 29階 マリタイムプラザ高松
時間 10:00~22:45
定休日 年中無休
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.