大切なのは「給与水準」「職場の人間関係」「自分に合った仕事」、三十三総研が20代・30代の若者の就業意識を調査
三十三フィナンシャルグループの三十三総研が、20代・30代の若者の就業意識を調べ、8月23日、ホームページなどで発表した。仕事への満足度は6割弱が感じており、その要因となるとして上位に挙げられたのが「給与水準」「職場の人間関係」「自分に合った仕事」といった回答だった。一方、「会社の成長性」「裁量の多さ・挑戦志向」「顧客等への貢献感」などを挙げた人は少なかった。
調査は、三重、東京の男女を対象に5~6月、インターネットでアンケートに回答してもらう形で調べた。三重、東京それぞれで性別と年代の人数を合わせ、計800人の回答を分析した。
仕事全般の満足度については、最も多い「どちらかといえば」を含む6割弱が満足と回答した。ただ、このうち、きっぱりと「満足している」と回答したのは1割強で、30代になると20代に比べて「満足していない」が増えていた。「仕事で求められる成果や責任が増えることが背景にあるかも知れない」という。
仕事の満足度に影響を与える要因(複数回答)では、「給与水準」「職場の人間関係」が5割前後と高く、次に「自分に合った仕事」を3割前後の人が選んだ。男性の多くが「給与水準」を選んだ一方、女性では「職場の人間関係」「自分に合った仕事」「ワークライフバランス」を重視する傾向がみられたという。東京よりも三重の若者の方が「職場の人間関係」「自分に合った仕事」「楽しいか」といった回答を重視する傾向があった。一方、「会社の成長性」「教育制度の充実」「裁量の多さ・挑戦志向」「顧客等への貢献感」「いずれ独立可能か」「短期間・数年間での成長」などの項目を選んだ回答は少なかった。
帰属意識や転職意向については、「ずっと同じ会社で働きたい」が4割弱、転職の機会や条件が合えば転職する可能性があるのが6割強だった。すでに転職活動中と回答した人も1割強あった。「転職したいが活動していない」は三重で多く、「転職活動中」は東京で多かった。「東京に比べ、三重の転職市場が小さい地域格差が生じている可能性が高い」という。
同じ会社で働きたい、いずれ転職したいなどの意見のグラフ(三十三総研のホームページから)
仕事に対する考え方で、「多少のリスクが伴っても、新しいことや高い目標に挑戦したい」とする挑戦志向か、「リスクのある挑戦よりも、経済的安定・心理的安定を重視する」とする安定志向かについても聞いた。「やや安定志向」「安定志向」の安定志向側が4割強で、「真ん中ぐらい」が3割強、「挑戦志向」「やや挑戦志向」の挑戦志向側は2割強だった。
会社や職場内で「みんなと同じでなければならない」といった同調圧力や、「何もしない方が得」「関わった方が損をみる」といった空気を感じるかについても質問した。8割強が何らかの形で感じていると回答し、そのうち、3割強が「意欲が削がれる」とも回答した。
調査では、いくつかのクロス集計などをしており、たとえば、挑戦志向か安定志向かの調査と転職意向について調べると、はっきりと挑戦志向か安定志向になっているほど同じ会社で働きたい比率が高く、その中間にある「やや挑戦志向」「真ん中ぐらい」「やや安定志向」の人の方が「今は転職しないが、いずれ転職したい」と回答する傾向になった。「挑戦志向、安定志向とも志向が明確な双方が社内で様々なチャレンジする機会を得たり、安定的なキャリアを明確に描けていることから、今の会社で働き続けたい要因になっている可能性がある」という。
三十三総研は2020年12月から年2回ほどのペースで定期的な個人向けアンケートをしており、いずれもホームページでレポートを見ることができる。今回の調査の結果も詳しく全文が載っている。