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<亡き夫の裏切り……>幸せな生活にピリオド!夫の葬儀で泣き崩れる女性「……誰?」【まんが】

ママスタセレクト

写真:ママスタセレクト

私(ハルカ)は夫のマサシと5歳のアン、2歳のシュンとの4人家族です。夫とは共働きをしながら互いにできることを協力しあい、幸せに暮らしていました。私は母を早くに亡くしており、父とはそりが合いません。そんな私のことを「本当の娘」のように大切にしてくれたのが義両親でした。義実家は自宅から車で30分ほどの距離にありましたが、時間の都合がつけば子どもたちと遊びに行き、良好な関係が築けていました。きっとこのまま平穏な毎日が続いていく……。そんなふうに思っていたのです。

私は幼い頃に母を亡くし、父とは疎遠。隣県に住む兄とはよく連絡をとっていますが、離れているので頻繁に会うことはできません。そんな私のことを、義両親は本当の娘のように大切にしてくれていました。

義実家で持病を心配され、「病院でも定期的に検査しているし問題ないよ」と笑顔で答えていた夫。しかし間もなく持病の悪化がわかり、夫は亡くなってしまいました。私はただただ呆然とするばかり。何がなんだか分からない状態のなかで、葬儀屋さんに言われたとおりのことをこなすだけでした。これから先どうやって生きていけばいいのか……。夫がいない状態で、私ひとりでどうやって子どもたちを育てていけばいいのか……。

まだ幼い子どもたちを抱きしめ絶望の淵に立たされながらも、「子どもたちを守らないと……」という気持ちだけはギリギリ持ち合わせていました。義母もこんなに早くひとり息子を亡くして辛いはず。それでも私を励ましてくれます。「大丈夫よ、私たちがそばにいるからね」「お義母さん……」私たちは寄り添うように悲しみを分け合っていました。そんなとき、葬儀に来ていた兄に言われました。「ハルカ……あの人……誰だ?」

夫と暮らした日々は、紛れもなく私の宝物でした。明るく優しい夫は子どもの面倒もよく見てくれたし、家事も率先してこなしてくれていました。ただ持病のことがあるので、身体は大切にしてほしいと常々伝えていました。それなのに残業をしたり、土日も仕事に行ったり……そんな夫の働き方にハラハラしていた部分は否めません。夫の持病が悪化して、亡くなってしまうまではあっという間すぎて、正直なところ葬儀中も夫が亡くなったという実感が持てませんでした。まるで夢を見ているかのようで……。そんなとき、夫のお棺の前で夫の名前を呼びながら泣き崩れている女性がいたのです。彼女はいったい誰なのでしょうか。私は自分の記憶を辿りましたが、思い当たる女性はいませんでした。

夫が不倫!?「誰よりも愛していたのはワタシ」……ウソつき!

「ハルカ、お前は他にすることあるだろ? この人は俺が対応するから……」「う……うん。お願い……」兄に対応をお願いして、私はその場を離れました。ただ夫の名前を呼びながら泣いて取り乱しているその女性のことは頭から離れません。何だか胸騒ぎがしました。

「お兄ちゃん。あの人、誰だった?」「それが……マサシくんの……彼女だって言うんだよ……」私は兄や義両親とともに、永野エミコと名乗るその女性の話を聞くことにします。すると……。

「あなたが2人目を妊娠しているときから、私とマサシは……」「嘘をつかないで!!」「嘘じゃないわ! 証拠だってたくさんあるの!!」彼女は夫とのやり取りをスマホ画面で見せてきました。メッセージの日付を見ると、確かに私が2人目を妊娠していた頃からのものです。「写真だって、ホラ……」スマホには2人のツーショット画像も残されていました。 「マサシを誰よりも愛していたのは、私なの」そう言われて私は気分が悪くなります。

私は夫の笑顔を思い浮かべました。「俺たち幸せだな」と言っていた夫。嘘つき……嘘つき……嘘つき…………!! 見かねた義母が私を抱きしめてくれました。「ハルカちゃんは何も悪くない……。悪いのは全部マサシだから……。マサシが……マサシが本当にごめんなさい。本当に……」義母に涙声でそう言われ、私はこらえきれず子どものように泣きました。

夫が不倫をしていたなんて本当に信じられませんでした。今でも半信半疑なところはあります。けれど相手女性のスマホで見たアイコンは間違いなく夫のものだったし、幸せそうなツーショットも夫本人でした。真相を直接確かめたくても、夫はもういません。確かめる術はないのです。憔悴していた私に代わって、兄や義両親は相手女性のご両親を交えて話し合い「今後二度と私たち家族には近づかない」と約束してもらいました。今は悲しみでいっぱいだけれど、この先は前を向いて暮らしていくしかないと思っています。

夫の死と不倫発覚でボロボロ。寄り添ってくれたのは……義両親

私はしばらく茫然自失の状態でした。夫が使っていたスマホを見ても、不倫相手とのやり取りは全く残されていません。写真なども見つかりません。会社の同僚などに聞けば真相は分かるのかもしれませんが、これ以上夫の裏切りを明白にする気力は私には残っていませんでした。そんななか、まるで抜け殻のような私を支え続けてくれたのは義両親だったのです。私のことを気にかけ、子どもたちを積極的に外へ連れ出すなどしてくれていました。

「私たちに……あなたのお手伝いをさせてくれないかしら?」「ハルカさんが望む形でいい。どうか、愚息の代わりにあなたを助けさせてもらえないだろうか」そう言って義両親は、私に頭を下げました。確かに夫のしたことは許せません。けれど義両親は……。自分たちも最愛のひとり息子を亡くして悲しいのに、その辛さを私に見せることなく、私たち親子を支え続けてくれています。この人たちは信用できる……私はそう思いました。

間もなく私は子どもたちを連れて、義実家の近くに引っ越しました。父親が亡くなり気持ちが不安定になっていた子どもたちも、優しい義両親がすぐ近くにいてくれるおかげでだいぶ元気を取り戻し、次第に笑顔も増えていきました。誕生日やクリスマス、年末年始などの季節の行事も、義両親と一緒にお祝いしました。マサシの不倫への罪悪感からかもしれませんが、義両親は私に一生懸命寄り添ってくれようとしたのです。

夫の急死に加え不倫問題まで発覚して、私は失意のどん底でした。何を食べても美味しくないし、何を見ても心が動くことはありません。そんな私を支え、子どもたちの面倒を買って出てくれたのが義両親だったのです。もしかしたら夫の不倫の罪を親として償おうと思っての行動だったかもしれません。けれど私は、そんな義両親の支えがあったからこそやってこられたと思っています。子どもたちが父親の死から立ち直ることができたのも、義両親がずっとそばにいて励まし続けてくれたおかげ。義実家の近くへ引っ越した私たちは、いろんな意味で以前よりも距離を縮めて生活をしていたのでした。

義両親を「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶ子……まさか!

私はこの5年でよりいっそう仕事を頑張り、昇進も果たしました。子どもたちも小学生になり、以前よりは手がかからなくなりました。それでも私が仕事で遅い日などは義両親にお世話になっています。私も子どもたちも、義両親の存在に感謝する日々です。

夫のことは今でも許せてはいません。けれど、子どもたちにとって「いい父親」であったことには変わりないので、夫のことは「いい想い出」として伝えることにしていました。

絶望しかなかったあの日々が嘘のように、今は毎日が穏やかです。夫に先立たれ、裏切られ、生きている意味すら失いかけていた私を、全力で支えてくれた義両親。いつか義両親が私たちの助けを必要としたときは、恩返しとして全力でサポートしよう、そう思っていました。

駅前に義母の好きな和菓子屋さんを見つけた私。いつもお世話になっているお礼に、買って届けようと義実家に向かいました。特に連絡はしませんでしたが、いなかったら玄関に置いておけばいいか……。そのくらいの軽い気持ちでした。すると義実家の前に見たことのない車が停まっています。

どうやら来客のようです。そのため裏口から義実家の敷地に入って、和菓子の袋を勝手口のドアノブにかけておくことにしました。勝手口の前で袋に添えるメモを書きます。するとふいに玄関の方で声がしました。「おじゃましました」と女性の声。そして「楽しかった~!」と子どもの声です。お客さんが帰るのかな? 親戚の子……?

私はおそるおそる、見つからないように来客の顔を確かめました。すると……。

信じていた夫に裏切られ、何も信じることができなくなった私を、精一杯支えてくれたのが義両親だったのです。義両親のおかげで、私も子どもたちもすっかり平和な日々を過ごせていました。義両親には感謝してもしきれません。だからこれから先、義両親が私たちに助けを求めることがあれば全力でサポートしよう、そう思っていたのに……。私は見てしまったのです。義両親が笑顔で夫の不倫相手に会っているところを……。しかもそばには子どもまでいました。そしてその子は義両親のことを「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼んでいます。いったいどういうことなのか、私にはわかりませんでした。

義実家で目撃した衝撃の光景!不倫相手の子は……夫にソックリ

「マサキ」と呼ばれたその男の子には、夫の面影がありました。私は思い出します。そうだ、以前見たことのある夫の幼少期の写真にそっくり……。全身が心臓になってしまったかのように、ドクドクという音が身体中を駆け抜けます。あの男の子は多分4〜5歳くらい。夫が亡くなって、5年……。悪い予感がします。

おまけに義両親は「また来てね」と言っていました。夫の不倫相手と、ずっと交流を持っていたの……? なにがなんだか分からなくなり、私は届け物をせずに黙ってその場を離れました。急いで家に帰り、玄関ドアを閉めました。とたんに涙が溢れてきます。

最愛の夫に先立たれ、裏切られていたことを知ったあの日。義両親は誰よりも私を支えて励ましてくれました。夫の親としての罪ほろぼしだったかもしれませんが、私たち家族をずっとサポートしてくれたのです。ここにくるまでの5年間が、どれほど大変だったかを一番そばで見ていてくれた人たちなのに……。夫の不倫が死後に分かったことの辛さ。その真相を本人に確かめることができない悔しさ。たくさんの感情を私は噛み砕いて、飲み込んで、必死にもがいてきました。

寝付けない夜、お酒の量が増えた私を心配しながら優しく声をかけ、ずっと寄り添ってくれていたはずの義両親。おそらくあの「マサキ」と呼ばれていた男の子は夫と不倫相手の間の子どもでしょう。私にはいい顔をしておいて、裏ではずっと不倫相手と会って、その子どもに「おじいちゃん、おばあちゃん」なんて呼ばせて……。私は今まで信じていたものが、ガラガラと音を立てて崩れていくのを感じていました。

「マサキ」と呼ばれていた男の子は、生き写しと言ってもいいくらい夫にソックリでした。間違いなく夫の子どもでしょう。5年かけてようやく夫の不倫のショックから抜け出せたと思っていたのに……。しかも私の味方のふりをして不倫相手と交流を続けていた義両親には、大きな裏切りを感じてしまいました。私がこの5年間どれだけ苦しんできたかを一番そばで見ていてくれた義両親なのに、どうして不倫相手と笑顔で話せるのでしょうか。自分の息子が築いた家庭を、不幸のどん底に落とした女のことを許している義両親への不信感は高まるばかりでした。

義両親の裏切り!再び失意のどん底に……「今は会いたくない」

私たちの近くには、いつも義両親がいました。感謝しているのは決して嘘ではありません。 しかしそんな義両親は、マサシの不倫相手の永野エミコを許して家に招き入れていた……。それを知った今は不信感しかなく、子どもたちを会わせることもためらってしまいます。私は週末、子どもたちを連れて隣県に住んでいる兄の家に遊びにきました。私はこれまでの経緯を知る兄に相談することにしたのです。

「つまり葬儀のときには既に妊娠をしていたってことだよな?」「うん、マサシの子であれば……」「しかもマサシに似たマサキって名前までつけて……」私の話を聞いた兄は憤っています。義姉も心配するような声で気遣ってくれました。「ハルカちゃん……」「あのとき相手の親から慰謝料もらったよな? 大ごとにしたくないって言っていたのも向こうだし、金輪際関わりを持たないって話もしたはずなのに、どうして……」「分からない」

「お前、このままだとずっと義両親に騙されて……」「でも義両親も決して嫌そうに会っていた感じはなかった。多分、あの女性とあの子を受け入れることを自分たちで決めたんだと思う。私はもう義両親には二度と会いたくないけど……。子どもたちから祖父母まで奪うようなことはできないと思っていて……」「そうだね。裏では不倫相手と会っていたかもしれないけれど、この5年間ハルカちゃんたちを支えてくれていたことは事実だものね」

私はどうしていいのか分からず、兄のところに相談に行きました。当時の経緯を知っている兄からは相手女性を責めるような言葉が出ましたが、正直私は永野エミコのことはどうでも良かったのです。今さら責めたところで夫から真実を聞くことはできないし、彼女がどんな人生を歩もうが知ったことではありません。ただ義両親がいったいどういうつもりで彼女と交流を持って、その子どもを孫同然に可愛がっていたのか。それを知りたいと思いました。考えれば考えるほど辛くなってしまいますが、私の気持ちをしっかりと話してきたいと思います。

ショック!「夫の子」認めた義両親。ずっと私をダマしていた?

「マサキくん」という言葉を聞き、義母は観念したように私たちを家に招き入れました。お茶を出してくれる義母と、申し訳なさそうな表情の義父。気まずい空気が流れるなか、口を開いたのは義母でした。

話せなくなってしまった私に代わり、兄が話してくれます。「マサシくんの不倫相手だった永野エミコさんが、こちらの家から出ていくところを目撃したそうです。『マサキくん』という4〜5歳くらいの男の子も一緒だったと聞きました。しかもお二方のことを『おじいちゃん、おばあちゃん』と呼んでいたと……」

「マサキくんは……マサシの子どもなんですか?」私がやっとのことで声を絞り出すと、義父は静かにその事実を認めました。「あぁ……」すると兄はこれまでの経緯を確認するように、義両親にたたみかけます。「あのとき……。5年前、永野さんがマサシくんの葬儀に現れたとき、しっかり話し合いましたよね? 向こうのご両親からは慰謝料も受け取ったし、金輪際、ハルカを傷つけないと約束してもらいましたよね?」

兄と義両親が会ったのは、5年前に「永野エミコ」や彼女の両親と話し合いの場を設けたとき以来でした。「マサキくんのことで」と言った瞬間、義両親はとても驚いていましたが、すぐに観念したようにも感じました。マサキくんは、やはり夫の子どもだったのです。そのことを知っていながら、ずっと隠してきた義両親。夫の不倫を知ったのは葬儀のときが初めてだったとか、マサキくんのこともそのときは知らなかったとか、義両親は懸命に自分たちをかばおうとします。しかし「裏切られた」という事実がある以上、私はその言葉たちを信じられなくなっていました。

【義母の気持ち】「愛する息子に会いたい!」奇跡が……起きた!

私たち夫婦にはマサシというひとり息子がいました。大切に育ててきたマサシが大人になり、ハルカちゃんというお嫁さんを連れてきてくれたときは本当に嬉しかったです。2人の孫にも恵まれ、私たちは幸せな日々を過ごしていました。しかしマサシは持病が悪化して私たちよりも早くこの世を去ってしまったのです。しかも葬儀の場で、生前不倫をしていた事実まであらわになってしまいました。再びマサシの不倫相手「永野エミコ」が現れたのはその半年後のこと。残されたハルカちゃんと孫たちをこれから精一杯支えていこうと思っていた矢先のことでした。

半年ぶりにみる永野エミコのお腹は、大きく膨らんでいました。「お葬式のあとに……妊娠が分かったんです。いま、8か月です」「何言ってんの……!?」動揺する私に彼女ははっきり言いました。「マサシさんの子どもです……」

私はすぐさま彼女を追い返したのです。信じたくありませんでした。私にはハルカちゃんと孫たちがいる。この生活を何よりも大切にしていこうと思ったのです。そしてハルカちゃんと孫たちが近所に越してきてくれてからは、以前よりもいっそう賑やかになりました。ときおりマサシのことで気持ちが落ちてしまうハルカちゃんを支えるのも、私たちの仕事でした。

正直今でもマサシが不倫をしていただなんて信じられません。けれど永野エミコからは数々の証拠を突きつけられました。信じたくないけれどこれが事実であるのであれば、私たちができることはマサシの代わりにハルカちゃんを支え続けることだ。そう思っていました。けれど夜にマサシの子どもの頃のアルバムを眺めていると、自然に涙が溢れてきます。写真に写るマサシは、屈託のない笑顔がカワイイ男の子でした。

やっぱりどこまでいっても私にとってマサシは「息子」。ハルカちゃんに申し訳ないと思っているのに、どこかでマサシを憎むことができず、できるものならもう一度会いたいと思ってしまうのです。そんなとき、奇跡が起こるのです。永野エミコが連れてきた男の子は、マサシの幼い頃に瓜ふたつでした。マサキくんの笑顔に、幼い頃のマサシの面影が重なります。私は思わずマサキくんを抱きしめてしまったのです。

マサシが不倫をしていたなんて信じられませんでした。あの子は家族を裏切るようなことをする子ではありません。そう思いながらも意気消沈しているハルカちゃんを支えること以外に、私たち夫婦にできることはありませんでした。しかし愛するひとり息子を亡くしたショックは大きく、ときおりふとマサシに会いたくてたまらなくなるのです。そんなときに目の前に現れたのが、マサキくんでした。神様が「マサシに会いたい」という私の願いを叶えてくれたと思ったほど、マサキくんはマサシの幼い頃にソックリだったのです。

【私の気持ち】「結局、私は他人」「みじめになる」ならば……義両親との別れ

数日後、兄とともに義実家を訪れると、義両親は観念したように今までの経緯を語りはじめたのです……。

「本当に……本当に申し訳なかった……」深々と頭を下げる義両親を、兄が問い詰めます。「謝って済む問題じゃないでしょう。あなたたち、見ていましたよね? 妹が、どんなにマサシくんの不倫で苦しんできたかって……」

「も……もう、会わないから……! マサキくんにも、永野さんにも……もう会わないから、だから……」懇願するような義母の言葉に、私はこう返しました。「……もういいです」

「本当の娘って言ってもらえたことが嬉しくて。マサシの不倫が分かっても、ずっと私の味方でいてくれて……。それだけで充分だったはずなのに、どこかで『もっと』って欲が出ちゃったんだと思います」「当たり前でしょ!! ハルカちゃんは、マサシのお嫁さんだし私たちの娘……」「娘じゃ……ありません……。結局は……他人なんですよ……」

「あなたたちはハルカの気持ちよりも、マサシくんの面影をとったんでしょう。今までハルカのことを支えてくださって、本当に感謝しています。でも、あなたたちはマサシくんに裏切られたハルカを、もう一度裏切った。それは紛れもない事実なんですよ」

「マサキくんとの今後について、私にとやかくいう権利はありません。ただ……これ以上お義母さんたちと一緒にいると、自分がもっとみじめになっていく気がするんです……。タイミングを見て、この街から引っ越します」「そんな……」「ただ……子どもたちとは……これまで通りに接してもらえますでしょうか。マサキくんのことも……相手の女性のことも……本気で隠しとおしてください」

義両親は必死に頭を下げていました。「私のことを考えなかったわけではない」「マサキくんとはもう会わない」と……。けれどその言葉はもう私の心には響きませんでした。いかなる理由があろうとも、不倫をしていた相手を受け入れた事実に変わりはありません。別に義両親が永野エミコ親子を受け入れることは自由だと思います。ただそうなった以上、私はそばにいることはできません。たくさんお世話になった義両親だけれど、これでもうお別れです。気持ちの上だけではなく……役所に「姻族関係終了届」を出したことで、私と義両親との関係はなくなったのでした。

子どもを守るため!「ケリ、つけよう」不倫相手と最後の対決

「……だって、あの子はあの人たちの孫だもの」「だからって……」「話し合いのときは妊娠しているなんて分からなかったんだから、仕方ないでしょ」

「何もしていないのに。ただマサシくんを信じて結婚生活を送っていただけなのに……。マサシくんの両親とも縁を切ることになったんだよ! あんたが現れたせいで」「そんなの……」「もちろん、あんただけのせいじゃない。マサシくんの両親も同罪だ。でもな、はじめから分かっていただろ? 産めば子どもに不自由な思いや寂しい思いをさせることになるって」

「子どもに不自由で寂しい思いをさせたとしても、その埋め合わせを誰かに託すんじゃなくて、自分で与えてやれよ。それくらいの覚悟を持って産めよ。それが不倫の代償だろ? 甘えてんじゃねーよ!!」

「でも、認知はしていませんよね。もし本当にマサシの子どもだというなら、どうして死後認知の手続きをしなかったんですか?」

「だったら、私にとってはなかったと同然です。あなたの子どもに罪がないことは分かっています。けれど罪のない子どもを産んだのはあなただし、それを受け入れられるほど私も人間ができていません。だから全部なかったことにします」私はそう言って、幸せそうに笑う私たち4人の家族写真を彼女の目の前に置きました。

本当は永野エミコに会いに行くべきか最後まで迷っていました。正直なところ夫が亡くなってしまっている今となっては、不倫の有無を語ることすら不毛な気がしていたからです。ただ義両親に決別宣言をした以上、前に進むためには彼女とも決別したかった。永野エミコがどんなに騒ごうとも私は夫のれっきとした妻だったし、彼は私と家族でいることを選んだ。その事実をしっかりと伝えておきたかったのです。加えて私の大切な子どもたちに近づくことがないように、しっかりと釘を刺しておかねばという思いがありました。永野エミコと別れた私は、夫が亡くなってから5年間抱えてきた肩の荷が少し軽くなった気がしたのでした。

思い出すのは夫と過ごした幸せな日々。家族3人で頑張る決意

少し落ち着いた頃、私は子どもたちを連れて兄の家に遊びに来ていました。兄は義両親との話し合いに立ち会ってくれたし、永野エミコに会いに行くときも付き添ってくれました。あらためてそのお礼を言いにきたのです。「子どもたちは不審がっていないか?」「うーん……どうだろう……。『ママ最近、ジジババのところ行かないね?』とは言ってくるけれど、『仕事が忙しいからね~。でも連絡はとってるから』って返しているよ」

「いろいろ大変だったね……」「ほんと……。マサシが亡くなってから、怒涛の日々だったよ」「うん……」「マサシの裏切りが分かって……私たちの結婚生活って何だったんだろうって……。あったはずの結婚生活が、本当は空っぽだったのかな、って考えて苦しかったんだけれど」「………」「でも義両親と一緒にいることで……マサシのお嫁さんだったんだなって安心を得ていたところもあったんだと思う」

「私……実は今でもマサシが本当に不倫をしていたかどうか、信じられないの。永野エミコに証拠を見せられて、子どもがマサシそっくりでも……信じられないの。悲しいのに信じられないなんて、変だよね」「それくらい、幸せだったってことなんじゃないの?」「……どうなんだろう……。確かめたくてもマサシはもういないしさ。人から言われたことを信じるのも、なんか違うなーって思うから……」私は夫との幸せな日々を想い出します。

「……もう、考えなくていいんじゃないかな? ぜんぶ終わったんだから……」「お前の目で見てきたマサシくんとの想い出を、子どもたちに伝えてあげればいいんだよ」「ありがとう……」

兄夫婦にはすごく心配をかけたしお世話になりました。「近くに引っ越してこないか」という言葉は、涙が出るほど嬉しかった。けれどここで甘えてしまうと、私は義両親との関係の二の舞を演じるような気がしてしまったのです。夫が亡くなって、今までの人生で経験したことのないくらいの衝撃的な日々を過ごしてきました。辛いことの方が多かったけれど、その分私は少しだけ強くなれたような気がします。これからは子どもたちと協力しあって、家族3人で頑張っていきたい。そして子どもたちが夫の話をしたときは、「素敵な父親だった」ということだけを伝えていきたいと思います。


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