コクがあるのにふわっと軽い…実はホテルクオリティな富山のまちのケーキ屋さん【ぽっくる】特別な日も普段使いも
富山市北部にある洋菓子店「ぽっくる」。
定番のショートケーキからかわいいキャラクターケーキまで、幅広いラインナップを揃える“まちのケーキ屋さん”です。
季節行事に合わせたスイーツもたびたび販売していて、ふらっと気軽に立ち寄れる親しみやすさがありますが、ケーキの味はハイクオリティ。ほのぼのとした店の雰囲気とのギャップに、いい意味で驚かされるケーキ屋さんです。
親しみやすい「まちのケーキ屋さん」…実はホテルクオリティ
「ぽっくる」は富山駅から岩瀬浜方面へと向かう県道沿い、国道8号の中島インターのやや北側にあります。周辺には工場や倉庫などが並び、富山港線の線路を挟んだ東側には住宅街が広がるエリアです。
車通りが多い幹線道路沿いにあるものの、控えめで落ち着いた佇まいのため、「こんなところにケーキ屋さんあったっけ…?」なんて見落としている人もいるかもしれません。
店内は白い壁に木のインテリアが映える落ち着く雰囲気。親しみやすいほのぼのとした空間です。
ショーケースには15種類以上のケーキやプリンなどが並び、そのほかにもカヌレやアップルパイなどの焼き菓子やパンも。
商品名は「しょーとけーき」や「てぃらみす」など、平仮名表記のものが多く、かわいらしくて親しみやすい印象です。
まるで何十年も前からそこにあったような居心地のよさですが、オープンしたのは2021年12月。比較的新しいお店です。
閉館したホテルのパティシエたちが開いた洋菓子店
実は、代表の富川嘉文さんは、かつて富山市内で営業していた「富山第一ホテル」に32年間勤めたシェフ。
結婚披露宴や誕生祝いをはじめ、ホテル内レストランのケーキを作り続けてきましたが、コロナ禍でホテルは閉館を余儀なくされました。それが2021年3月のこと。
それから、同僚のパティシエたちとともに始めたのがこの「ぽっくる」なんです。
というわけで、店に並ぶケーキや焼き菓子の味は、ホテルクオリティ。
新たに考えたメニューもありますが、多くのケーキは材料から作り方までホテル時代とほぼ同じものです。
ひと口食べて「あのホテルのケーキだ!」と気づいた熱心なファンもいたそう。時には「ホテルで挙げた披露宴のケーキに似せて、記念日のケーキを作ってほしい」なんてオーダーがくることも。
定番ショートにかわいいデコレーションも
上品で洗練されたショートケーキ
定番のショートケーキは四角い形。
空気をたっぷり含むという生クリームは、コクがありながらも重くない、ふわっとした口当たりです。甘すぎず、ミルクの風味を感じる上品な味わいはさすがの一言。
スポンジには発酵バターを使用しているそうで、豊かな風味が広がります。
しっとりだけど重すぎない絶妙なバランスで、甘いイチゴが加わって極上のハーモニーを奏でます。
表情がかわいい! たぬきのケーキ
こちらはレトロかわいいたぬきのケーキ。
なんとも言えないアンニュイな表情がかわいい…「30年作り続けてきた」と言われても納得しそうな懐かしい見た目ですが、ホテル時代にはなかった新しいケーキです。
チョコのロールケーキで体を、バタークリームで顔を作って、全体をチョコレートでコーティングした1品。
昭和っぽい懐かしいデザインですが、ひと口食べてみるとモダンで洗練された味。バタークリームは重さがなくさっぱりと食べられて、甘すぎないチョコレートの風味が全体を上品にまとめています。
実はたぬきち、いろんな表情のバリエーションがあるんです。
注文する時は「ウインクしている子をください」とか「一番手前の笑っているやつ」とかリクエストして、お気に入りを持ち帰ることができます。
季節の行事を楽しむスイーツ
地域密着な洋菓子店のため、季節のイベントやお土産に最適なスイーツも登場します。
1月はお正月、2月は節分、3月はひな祭り…、そして、5月は「こどもの日」と「母の日」です。
こいのぼりロール
スライスしたイチゴで鱗を表現した、こいのぼりのロールケーキ。
中にはショートケーキと同じ上品な生クリームといちごがたっぷり入っています。
若いパパ・ママに人気かと思いきや、祖父母世代からも好評なんだそう。
おじいちゃん・おばあちゃんが、GWに遊びにくる孫のために買ってあげるんでしょうか…なんだかあったかい気持ちになります。
母の日デコレーション
「母の日」にあわせて販売するのは4号サイズの小さめのデコレーションケーキ。カラフルなクリームとエディブルフラワーで見た目も華やかです。
こちらは若い夫婦に人気なんだとか。ふたつ予約して、それぞれの実家にプレゼントしに行く…なんて人もいるみたいです。
お父さんと子供たちが一緒に来店する場合は、ホールケーキよりも、カットケーキを何種類も買っていくことが多いそう。
ちなみに、「母の日」はクリスマスの次にケーキ屋さんが忙しくなるそうですよ。
ケーキとあわせていかが? 自家焙煎コーヒー
店の一角にはコーヒー豆の並ぶ棚があります。
富川さんの実家は魚津市で長く続くコーヒー豆の専門店で、実はパティシエを続けつつ、家業も継いだんだとか。シングルオリジンからオリジナルブレンドまで、魚津のお店で販売する豆の一部を「ぽっくる」でも取り扱っています。
ケーキに合う豆を買って、自宅でコーヒーと一緒に楽しむなんて、贅沢ですよね。
店頭でテイクアウトもできるので、暑い日にはアイスコーヒーでリフレッシュするのもいいかも。
アイヌの伝承で、食べ物と幸せを運ぶといわれるコロポックル。
その名にあやかった洋菓子店「ぽっくる」は、食べると幸せな気持ちになって、ほっと一息つけるような、まちのケーキ屋さんです。
【cake&coffee ぽっくる】
住所 富山県富山市上野新町6-5
営業時間 10:00~18:30(日曜は17:00まで)
定休日 水・木曜