『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第12話「だから僕は…」用語解説(エンディミオン・ユニット、オーパーツ、白い悪魔、本物のガンダム、シャア専用の赤いモビルスーツ)
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の世界は、第12話「だから僕は…」で新たな局面を迎えます。本稿では、このエピソードをより深く理解するために、物語の鍵を握る要素とその背景を解説します。
本作は、単なるSFアニメに留まらず、綿密に構築された世界観と『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)との歴史的な繋がりが魅力です。過去のガンダムシリーズが持つ重厚なテーマ性を引き継ぎつつ、『GQuuuuuuX』独自の視点で描かれる人間ドラマや未来への問いについても考察を深めていきます。
ガンダムシリーズを初めてご覧になる方にも、この奥深い物語を楽しんでいただけるよう、専門用語や背景知識についても分かりやすく解説します。第12話「だから僕は…」を通じて、『GQuuuuuuX』が提示する新たなガンダムの魅力をぜひご堪能ください。
本記事はネタバレ及び考察を含みます。そのため、未視聴の方はご注意ください。
【写真】『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第12話「だから僕は…」用語解説
「そんな都合の良いものはないですよ」
イオマグヌッソ内部で発生したゼクノヴァ反応に対して、コモリが返したセリフ。突発的に発生したゼクノヴァ反応の理由が不明な中、「コモリ少尉には我々には見えないものが見えるのだろう?」と問われた場面で登場。これに対してコモリは、「そんな都合の良いものはないですよ」と返し、静かに否定する。
『ファーストガンダム』でも、ミライがアムロに「アムロには見えるの?」と問いかける場面に重ねて見える。
白い悪魔
劇中で登場する「識別不能のモビルスーツ」に対して使われた呼称。イオマグヌッソ内部で突如現れたモビルスーツに対し、コモリが「白い悪魔…?」と呟く。
『ファーストガンダム』の初代作では、「白い悪魔」という表現は用いられておらず、アムロが搭乗するガンダムは「白いヤツ」「連邦の白いモビルスーツ」などと呼ばれていた。
本物のガンダム
『ファーストガンダム』に登場するRX-78-2と同じ造形を持つ機体でありシュウジが搭乗する機体であり、シュウジが「本物のガンダム」と言っている。
シャロンの薔薇の記憶
「ララァ、奴との戯言はやめろ」から始まる、『ファーストガンダム』を想起させる場面。
しかし本作では、そこから物語は急展開し、視聴者の予想を裏切るように“別の世界線”が描かれる。この世界は、『ファーストガンダム』の再現ではなく、「すべての世界線の始まり」を意味する場所として提示される。
登場するシャアの声は池田秀一さん、ララァの声は潘恵子さんと、オリジナルキャストが担当。
ゲルググ
シャロンの薔薇の記憶の中でシャアの載るジオンのモンビルスーツ。
『ジークアクス』の4話に登場するゲルググの項目を参照。
「ゲルググ」関連ワード
ゲルググ(gMS-01)[04話解説]
絶望の波動
シャアを失ったララァの絶望が引き金となり、誕生した新たな宇宙。
本作では、ララァがシャアを喪ったことで生まれた強烈な感情が、「絶望の波動」として別の宇宙を生み出したとされる。それは、ララァ自身がシャアとの再会を求め、彷徨い続ける多次元宇宙の発端でもある。
劇中では、シュウジがこの世界の構造について説明する場面があり、その背後には数々の赤いモビルスーツが映し出される。それらは、いずれも“赤い彗星”としてのシャアを象徴する存在であり、彼を追い求めるララァの記憶と結びついているかのように演出されている。
シャア専用の赤いモビルスーツ
「絶望の波動」によって展開された多次元宇宙に現れた、シャアを想起させる赤いモビルスーツたち。 それぞれが“もしも”の歴史を想定させる機体として登場し、いずれもシャアの存在や選択が異なる形で表れた世界線を示唆している。
以下、劇中にビジュアルが登場する順に紹介。
シャア専用グフ
『ファーストガンダム』ではランバ・ラルの搭乗機として知られるが、シャア専用カラーのグフが登場。これは、ガルマ死なず、左遷されることのなかったシャアが、ラルの代わりにグフに乗り込みガンダムと対峙する世界線かもしれない。
シャア専用ヅダ
OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』に登場したヅダをベースとした機体。『ファーストガンダム』の世界では、未登場。
ヅダは実験中の事故により正式採用を逃し、ザクが量産された経緯がある。このシャア専用ヅダは、ヅダの事故が起こらず、正式採用されていた世界線の可能性を示唆していると思われる。
シャア専用ビグロ
『ファーストガンダム』ではトクワンが搭乗し、戦闘で撃破されたモビルアーマー。
元々、シャアの所属部隊に配備された機体でもあり、トクワンの存在がなければ、シャアがこの機体を用いていた世界もあり得る。
トクワン&デミトリー[08話解説]
シャア専用ビグザム
本来はドズル・ザビが搭乗した巨大モビルアーマー。シャアは元々、ドズル配下に属していた経緯もあり、ガルマへの謀略がなければドズルの下で活躍を続けていた可能性がある。
このビグザムは、ドズル悲願の「ビグザム量産の暁には」の世界で、シャア用に配備された姿とも捉えられる。
ビグザム(MA-08)[10話解説]
シャア専用ガルバルディα
ゲルググとギャンの特性を併せ持つとされる機体で、『ファーストガンダム』では未登場。
一年戦争が長期化し、ゲルググやギャンの開発計画に変化が生じた世界では、こうした機体が登場する可能性があったのかもしれない。
シャア専用機体6体目
細かいことはわからず。
この世界
シュウジが語る「この世界」とは、『ジークアクス』の世界線であり、シャアがガンダムに乗るという異例の展開が起こる世界でもある。
この世界では、シャアがニュータイプとして“世界を回す”存在となり、その影響で、ララァとめぐりあうことがなくなっている。
言い換えれば、シャアが英雄として生き残った結果、本来築かれるはずだったララァとの関係性が存在しない世界となっている。
さらに、シャアは「シャロンの薔薇」のパイロットであるララァの存在を明確に否定している。
この状況に対して、シュウジは「耐え難いこと」と言い、ララァの視点から見れば、それはまさに“絶望”とも言える出来事。そして、シュウジ自身が、目覚めたララァ(シャロンの薔薇のパイロット)自身が、この現実を知ると再度激しい世界の変化が起きるのではと感じていて、急いでララァ(シャロンの薔薇のパイロット)を殺そうとしているのではと思われる
シュウジが多次元宇宙を語る時の挿入歌
劇場版『機動戦士ガンダ III めぐりあい宇宙』のエンディング曲「ビギニング」。
多次元宇宙の構造
シュウジの語る内容から見えてくる、多次元宇宙における構造とその成り立ちを整理。
1)ララァが絶望した場合
ララァが深い絶望に陥ることで、彼女によって形作られた宇宙は崩壊する。その崩壊は、自らの世界だけにとどまらず、“向こう側の世界”まで巻き込むとされている。
2)ララァを殺した場合
ララァを殺すことでで、彼女の生み出した宇宙はやはり崩壊する。ただし、この場合は“夢の世界”となる。劇中では明言されていないものの、シュウジがララァを殺しを望んでいるため、“向こう側の世界”への影響が少ない(もしくは「ない」)のではと思われる
「子供同士が何を話している」
シャアが、マチュとシュウジのキラキラで会話するシーンに強制介入するセリフ。
『ファーストガンダム』にも『ジークアクス』にも、登場する「ララァ、奴との戯言はやめろ」のオマージュ的セリフ。
「もしこのような愛らしい子が持てるなら母親になるのも悪くない」
幼いシャアを見た若き日のキシリアが語ったセリフ。政治と権力に囲まれたザビ家の一員として育った彼女が、一瞬だけ見せた個人的な感情の揺らぎが表れている。
劇中では、ザビ家の中で将来を約束された存在であるキシリアが、幼いシャアの姿に触れた瞬間、ふと「女性としての生き方」を想像する。その発言は、政治的立場とは異なる人生への淡い憧れ、あるいは「もしも」の選択肢への羨望とも受け取れる。
しかし同時に、「このような愛らしい子」という条件付きの言い回しからは、キシリアが本質的に人を“感情ではなく価値で評価する”傾向を持っていることもうかがえる。
「なんだこの言い知れる恐怖は…」
ガンダムを目の前にしたシャリア・ブルが口にするセリフ。
この後に続けて、「私はいつかどこかで、あのモビルスーツに討たれたことがあるのか?」と語り、過去とも未来ともつかぬ因縁を感じ取っている。
実際、『ファーストガンダム』や『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』においても、彼はアムロの駆るガンダムに討たれており、それが彼自身の中に“既に刻まれている運命”として残っているかのようにも見える。
「ジオンが戦争に負けた世界だと?」
ガンダムを目にしたキシリアが放ったセリフ。その場に何の説明もないまま、機体の存在だけを手がかりに、世界の構造そのものを見抜くような鋭さを見せている。
キシリアは、“ララ音”や“キラキラ”を確認でき、ニュータイプとしての素養があるが、このセリフも、そうした能力の一端として、「見えない真実に感づく洞察力」が強く表れている場面のひとつといえる。
また、11話でシャアはニュータイプについて「私は洞察に満ちた優しさを持つ者をニュータイプと理解している」と語っており、この「洞察に満ちた=本質を見抜くこと」という観点から見れば、キシリアもまたニュータイプの可能性を秘めた存在として描かれていることがうかがえる。
「ニュータイプ」関連ワード
「できれば貴方のようなニュータイプを殺したくないのですが……」[11話解説] 「本物のニュータイプならそんなことしないよ」[11話解説] ニュータイプの未来(キシリアの思想)[11話解説] ニュータイプの未来(シャアとシャリア・ブルの思想)[11話解説] シムス・アル・バハロフ大尉[05話解説]
シャアがキシリアを殺すシーン
赤いガンダムが、ザクのバズーカーを拾って、キシリアの乗るチベに向かって砲撃するシーン。
『ファーストガンダム』の最終話でも、敬礼してからキシリアを撃ち抜くシーンがある。
「私にはわかる 貴方がジオンを率いるのは危険だ」
シャリア・ブルがシャアに対して放ったセリフ。
続けて「いつか、キシリア様のように地球に住む人類の粛清にたどりつく」と語り、その先にある未来を暗示している。
この言葉に対し、シャアは「未来でも見てきたような言い様だな」と返している。
シャリア・ブルの感じ取っている未来とは、『逆襲のシャア』で描かれる、地球に住む人類を粛清しようとするシャアの姿そのもの。
アルテイシア・ソム・ダイクン
ジオン・ズム・ダイクンの娘であり、シャア(本名:キャスバル・レム・ダイクン)の実の妹。
『ファーストガンダム』では、セイラ・マスの名で登場し、ホワイトベースのクルーとして多くの重要な場面に関わる存在となっている。
物語終盤では、ララァの生死に関わるきっかけを作るなど、単なる脇役ではなく、展開の鍵を握る人物のひとりとして描かれている。
『ジークアクス』では、シャリア・ブルがジオン公国の未来を託そうとする人物として名前がでてくる。
巨大化したガンダム
劇中にも巨大化後に質量を持っていると言及されており、実態として存在している。ファーストガンダムの視点では、『機動戦士ガンダムF91』において、高速で動く際に現れるF91の残像に質量が存在するシーンがある。
また、富野由悠季作品の視点では、『聖戦士ダンバイン』でパイロットの負の感情が暴走し、「ハイパー化(巨大化)」するシーンがある。
両作品とも、本作とは演出が異なるため、文脈としての繋がりはないと思われる。
「違うか?」
シャアが、キケロガのコックピットを狙い撃ちにしたと思ったが、どこか違和感を感じて言ったセリフ。
『ファーストガンダム』では、ジオングの胸部を撃ち抜くアムロが言ったセリフに類似している。ジオングのコックピットは頭部で、シャアは頭部だけを切り離し脱出。
『ジークアクス』でも、シャリア・ブルは本体からコックピット部分を排出し脱出。
本物のニュータイプ(シャリア・ブルの考え)
巨大なガンダムに立ち向かうニャンの姿と、彼女の今ままでの行動をみて、シャリア・ブルが悟った「ニュータイプ」の存在理由。
劇中では「自由のために傷つく者こそ、本物のニュータイプだから」と言っている。
本物のニュータイプ(マチュの考え)
シュウジとララァの関係と断ち切りたいと願うマチュは、シュウジに向かって、そしてララァにむかって、「誰かに守れなきゃ生き残れないなんて、そんなの本物のニュータイプじゃない! 私たちは毎日進化するんだ。明日の私はもっと強くなってやる! 誰かに守ってもらう必要なんてない! 強い!ニュータイプに!」と言っている。
赤いガンダムの最後
キケロガの攻撃に頭部と片腕を破壊され、残った左腕のビームサーベルを突き上げるよにして、キケロガを破壊。
『ファーストガンダム』最終話で見られるのラストシューティングと言われる場面に類似している。
オーパーツ
オーパーツとは、それが発見された時代や場所とはそぐわないと考えられる、「場違いな人工物」を指す言葉。
これらの遺物は、当時の技術水準や文化、歴史に関する現在の理解からは説明が難しいとされ、しばしば「時代を先取りしすぎている」「未知の文明や技術の存在を示唆する」といった議論の対象となっている。
エンディミオン・ユニット
「エンディミオン」とは、ギリシャ神話に登場する美しい青年のこと。彼は月の女神セレネに深く愛され、美しさを永遠に保つためセレネの願いにより、ゼウスから不老不死の永遠の眠りを与えられた人物。
『ジークアクス』では、「エンディミオン・ユニット」と呼ばれるオーパーツが登場。これはジークアクスの内部に搭載されており、意志を持っているように描かれている。シャリア・ブルの言葉によれば、「シャロンの薔薇と同じく向こう側から来たオーパーツ」であるとのこと。
物語のラストバトルにおいて、マチュとシュウジが対峙する場面で、「僕はもう見たくない。またガンダムがララァを殺す光景を」とエンディミオン・ユニットがシュウジに語りかける場面が描かれている。このユニットの声は、アムロ・レイ役で知られる古谷徹さんが担当。
『ジークアクス』では、ララァが創造する多次元宇宙の中で、シャアは繰り返し殺され、それを見続けるララァも苦悩し続ける。そして、苦悩するララァを救うためにシュウジはララァを追い求める。そんな世界の中を、アムロ視点でみると、「シャアを殺し、その都度ララァの絶望を身近で見る」ということになっている。
もし、アムロもララァと同じ特異点のような能力があり、多次元宇宙の中で起こったことすべて理解しているとすると、ララァと同じ様にアムロも「絶望」の繰り返しを生きているのではと思われる。
そんなアムロが、ララァの作るメビウスの輪(多次元の宇宙の輪廻)を止めるために、具現化したものが「エンディミオン・ユニット」という可能性も考えられる。
蛇足ですが、『セーラームーン』に登場する地場衛(タキシード仮面)は、前世で地球の王子「プリンス・エンディミオン」であり、声はアムロと同じ、古谷徹さん。また、脚本の榎戸洋司さんは、『セーラームーン』シリーズで脚本を担当している。
オメガ・サイコミュ
エンディミオン・ユニットを搭載したサイコミュが、「オメガ・サイコミュ」。赤いガンダムの代わりにゼクノヴァを起こすトリガーとして準備したが、エンディミオン・ユニットによって、設計者の意図を超える動きをする場合もあり。
「貴様に殺されずに済む人生を探してみるか」
シャリア・ブルの「大佐は…どうなさるおつもりですか?」と問いかけに、破壊されたガンダムの中で答えるシャアのセリフ。この後、シャアはコアファイターで脱出していく。どこに向かったかは、作品の最後に描かれている。
『ファーストガンダム』では、アムロが「僕には帰るところがあるんだ」と、コアファイターにのり、仲間のところへ戻っていく。
両方に共通するの「絶望の中から希望の選択」。
歓声の中で振り返るアルテイシアと側近の男性のシーン
中央にいるのが女性がアルテイシア。そしてその脇にいるには、おそらくランバ・ラル。アムロのいない『ジークアクス』の世界では、戦争を生き抜き、ザビ家のいない世界ではジオン公国でも、重要なポストについていると思われる。
『ファーストガンダム』でのセイラ(アルテイシア)との関係は、20話「死闘!ホワイト・ベース」に描かれている。
ゾック
ポメラニアンズのメンバーが、「クソ安い中古」「もともと水中用」として、新しく導入したモビルスーツ。おそらくゾックだと思われる。
『ファーストガンダム』では、29話「ジャブローに散る!」で登場。シャア率いるマッドアングラー隊のボラスキニフが搭乗し、偵察の先鋒としてジャブローの正確な位置を発見。ガンダムと交戦し、その巨体と機動性でジャブロー心臓部に迫る活躍を見せる。