中野杉並は東多摩に戻して“四多摩”に!久住昌之さん(三鷹市出身&在住)
東京の多摩地域にお住まいの方、出身の方もそれ以外の方にも多摩を知っていただきたい!楽しんでもらいたい!という番組。
MCは土屋礼央さん(国分寺市出身)&林家つる子さん(八王子市の大学出身)。
今週の放送のゲストも、「孤独のグルメ」の原作者の「久住昌之さん」(三鷹市出身&在住)。
中野杉並は東多摩に戻して“四多摩”に!~「久住昌之さん」(三鷹市出身&在住)②
土屋:今週もゲストのご紹介です、マンガ家・ミュージシャンの「久住昌之さん」です! よろしくお願いします。
久住さん:よろしくお願いします。
土屋:つる子さん、久住さんの簡単なプロフィールのご紹介をお願いします。
つる子:はい。久住 昌之さんは「三鷹市」出身、かつ現在も「三鷹市」在住。1981年にマンガ家としてデビュー。様々なヒット作を生み出し、谷口ジローさんと組んで描いたマンガ「孤独のグルメ」はTVドラマ化もされ、大ヒット。映画も公開中です。そして去年、自伝的エッセイ『 東京都三多摩原人 』が文庫化されました。
土屋:これまでいろんなゲストの方をお招きしていて多摩は自然があるということを伺っていますが、久住さん、多摩の自然についてはいかがですか?
久住さん:「三鷹」の僕の家の周りから自然がどんどん無くなっていくという印象があって。それが「井の頭公園」とか「神代植物公園」でちゃんと守られて、整備されてちゃんと残っているという。あとは、多摩は街に木を植えようとしていますよね、街路樹とか。
土屋:そういえば、久住さんの『三多摩原人』の本を読んで、「井の頭公園」にプールがあったなんて知らなくて。
久住さん:めちゃくちゃ寒いプールでした(笑)。
つる子:(笑)。
久住さん:全員、くちびるが真っ青になって(笑)。
土屋:プールって、昔は屋外でしたね! 今は屋内になっちゃっているけど。
久住さん:すごい寒い。
土屋:「井の頭公園」のどこら辺にあったんですか?
久住さん:一番最初は公園の南側の木の影みたいなところにあったんですよ。それから今のテニスコート近くの方になって。そこは日が当たったんだけど、寒い! すごく冷たくて。
「高尾山、山なのに混雑はおかしいって!」(久住さん)
土屋:で、『三多摩原人』では、お住まいの「仙川」のあたりから歩いて。どんどん西に行ったりされて。そして「高尾山」にも登られた話もおもしろかったですね!
久住さん:僕ら三多摩人は、遠足といえば小学校から「高尾山」でしたね。
土屋:僕なんて幼稚園から行ってました! もう「高尾山」ばかりでしたね。
久住さん:そうでしょうね。僕より下の世代になると、「高尾山」も色々と整備されて。
土屋:そうですね、「ケーブルカー」もできて、ちょっとだけ登るみたいな。
久住さん:「ケーブルカー」の乗り場までが舗装されて綺麗になったんですよ。僕らの時はそこまででこぼこだったので、小学校1、2年生の時は行かなかったですね。
土屋:小学校の中学年くらいから・・・
久住さん:そう。<また「高尾山」かよー>なんて言ってたら、6年生くらいになると難しいコースで、すごく疲れて。最後の所でハアハア言って。
土屋:そうそう(笑)。
久住さん:だけど、途中でお土産で売ってる“棒”とか買っちゃうの(笑)。何するんだよ、それっていう(笑)。
つる子:(笑)。
土屋:男子は買っちゃうんですよね。
久住さん:みんな買ってた、ペナントと。
つる子:(笑)。
土屋:冷静に考えるとペナントって何で買ってたんだろう。
久住さん:ね。部屋に貼ってたけど。
土屋:僕、驚いたのが、久住さんは本の中で「高尾駅」で降りたって書かれていて。「高尾山口」まで歩いたんですか? 思った以上に遠いんですね?
久住さん:遠いんですよ。
つる子:近いと思いきや。
久住さん:そんなに歩く人がいないから。“「高尾山」、こっち”とか書いてないんで(笑)。地図を見ないと迷うんだよね。
土屋:3、40分は歩かれたとか。
つる子:それは長い。
土屋:子供の頃に登っていた「高尾山」と今の「高尾山」、いかがですか?
久住さん:ほんとに登りやすくなってて。小川の横に遊歩道がいっぱい作られていて。最後、サービスできついよっていう(笑)。
土屋:そうですね、山登りはそんなに甘くないぞという(笑)。
久住さん:わざとつけている感が(笑)。
つる子:(笑)。
土屋:多摩人としては、“ミシュラン”に紹介されて賑わうのはいいけど、なんで山まで行って混雑しているんだという。
久住さん:だって、山じゃん! 山が混雑っておかしいって!
つる子:(笑)。
土屋:僕ね、雨の日に「高尾山」に登ったことがあって。これはまったく違う景色でおもしろかったですね。雨を含んだキノコが開いていたりとか、匂いも湿度も全然違って。雨合羽を着て登りました。オススメです。
久住さん:登山用の靴を履いていけば大丈夫ですね。
土屋:「高尾山」の下にあるホテルで雨靴のレンタルなどがやっていて。
久住さん:そういうことやるから、雨の日まで「高尾山」が混んじゃうだよ~。
つる子:(笑)。
土屋:便利にし過ぎるのもね。
久住さん:けっこう足元がぐちゃぐちゃになって、泣きそうで。恥ずかしい時もあったもん。「中央線」がどろんどろんで。
「町が近代化するのはいいけど、画一化はつまんないよね」(久住さん)
土屋:で、「高尾山」からさらに西にも行きました。そして多摩の最南端、最北端にも行かれて。印象に残っている所でいうとどこですか?
久住さん:ほんとの最南端には行けない感じになっていて。そういうもんなんだなと思いながら。
土屋:「町田」ですよね。「町田」はいかがでしたか?
久住さん:「町田」は近年、すごく変わっていった町で。でもまだ昔のままのものも残っていて。そういう所がおもしろかったですね。
土屋:久住さんにとって近代化されるというのは、あまりおもしろくはない?
久住さん:近代化されるのはいいんだけど、画一化がつまんないんだよね。全部同じになっちゃうという。古いの新しいのが混じっていていいんじゃないかなとは思うんですよね。
「相模湖のモーターボートは免許がいらないだけあってノロい笑」(久住さん)
土屋:最北端は「多摩湖」周辺でしたっけ?
久住さん:そうですね。そんな所に旅館があって、誰が泊まるのって(笑)。
土屋:昔は観光で・・・
久住さん:いや、商人宿ですね。商売の人が泊まる。ラブホとかではない、真面目そうな旅館。
土屋:この番組で初めて出たラブホというワード(笑)。
つる子:(笑)。
久住さん:多摩の先ににある「相模湖」。あそこはモーテルがあるでしょ。子供の頃、お母さんに<モーテルって何?>って聞いたら<ん?自動車で行くホテルじゃない?>って。
土屋:意外と詳しい(笑)。
つる子:お母さん(笑)。
久住さん:それを言いにくそうにしてたので、実態を何か知ってるなという、子供ながらにね。
土屋:「相模湖」は1回だけ行ったことがあって。だいぶ寂れてたという・・・
久住さん:驚くほど寂れていたのが、どんどん綺麗になってきています。
土屋:あ、綺麗になってるんですか?
久住さん:「高尾山」の影響とかあるんですかね。「相模湖」は日帰りで電車で行ける場所なので。色々と綺麗になっていますよ。駅前の綺麗さなんてびっくり。
土屋:へえ、それは知らない!
久住さん:行ったらびっくりすると思いますよ。寂しいゲームセンターとかある名残はあるけど、綺麗なカフェとか、オシャレな店とかがいっぱい出来ていて。
土屋:僕はクルマで行ったから、それが実感できてなくて。
久住さん:「相模湖駅」から、どこが寂れていた場所なんだろうと思いながら歩いて行くのは楽しいですよ。
土屋:驚いたのが、久住さん、「相模湖」でボートに乗っているという。
久住さん:しかもモーターボートですよ。
土屋:モーターボート! 自分で運転するんですか?
久住さん:そうです、免許のいらない、モーターボートです。
土屋:そんな乗れる物があるんですね。
久住さん:ものすごいノロいんですよ、これが(笑)。
つる子:(笑)。
土屋:大きさはどれくらいですか?
久住さん:二人乗りですね。
土屋:普通の手漕ぎボートくらいの大きさで、後ろにモーターが付いている?
久住さん:全速力にしても、ものすごい遅い(笑)。
土屋:それはがどうやって操縦するんですか?
久住さん:ちゃんとハンドルが付いている。そういうのがあるんですよ。ハンドルの所にケータイ番号が書いてあって、“動かなくなったらココに電話してください”って(笑)。
つる子:(笑)。
久住さん:あるんだと思って(笑)。
土屋:それはどなたかと乗られたんですか?
久住さん:いや、一人で。
つる子:(笑)。
久住さん:「相模湖」で誰も乗ってない。で、<どこら辺まで行っていいんですか?>って聞いたら、<湖の全部行っていいですよ>って。
土屋:ええ!?
久住さん:釣りしている人がいるから邪魔になるかもと思ったけど、一人、二人しかいないしね。で、湖の端でカップルが手漕ぎボートに乗ってたりして。そこにモーターボートで近づいて行くのも変質者かなと思って(笑)。
土屋:それはヤですね(笑)。
久住さん:本気出せば、向こうの手漕ぎボートの方が速いからね。
つる子:え?
土屋:手漕ぎボートの方が速いんですか?
久住さん:本気出せば。オレとしては、こういうモーターボートもあっていいんだぞ!という所を見せたいんだけど、あんなのが真っ直ぐ近づいてきたらちょっとヤバい人だと思われるんじゃないかと思って(笑)。
土屋:一人だし。
久住さん:そうだよ、近くに来たら<けっこうジジイじゃん!>って(笑)。
土屋:それは乗ってみたいな。
久住さん:乗ったらおもしろいですよ。あれに彼女を連れて乗ったら、好かれるか、嫌われるか、踏み絵のようなものですよ(笑)。二人まで乗れるので。基本は二人で乗るものだから(笑)。
土屋&つる子:(笑)。
土屋:2台で競争とかもできるのかな?
久住さん:競争っていっても、バカバカしいほど遅過ぎる(笑)。だって、免許が無くても乗れるモーターボートなので、そりゃあ手漕ぎボートより遅いですよ。
土屋:それはそうか。
久住さん:それに出会えたのはおもしろかったですね。
「三多摩は変わりつつあるけど、開発できない場所におもしろさが残っている」(久住さん)
土屋:三多摩のいろんな場所を歩かれて。どれくらいの期間、歩かれたんですか?
久住さん:2年半くらいかな。毎月1回。でも楽しみでしたね。締め切りが近づいてきたからどこに行こうかって。地図を見て、こっちの方に行ってないな、とか。
土屋:2年半の間歩いてみて見えてくる、新たな三多摩はある物ですか?
久住さん:そうですね。どんどん変わりつつある三多摩という感じもしますよね。開発が隅々まで行き届いているんだけど、だけど残っている所もあるし。やっぱり三多摩は平らではないので、開発ができない場所もあるじゃないですか。そういう所におもしろい所がまだ残っていて。昔、開発される時に使った小さいトロッコとかトンネルが残ってたりね。
つる子:ああ。
久住さん:“こんな所にトンネルがある!”って、知らないで行くからすごい怖いの(笑)。
土屋:そうか、調べて行くのと知らないで行くのとでは全然違いますよね。
久住さん:そう。帰りの電車で検索すると、「◯◯トンネル 幽霊」ってあって(笑)。え、やだ、やっぱり怖いんじゃんって(笑)。
土屋:(笑)。
つる子:後で調べるのが楽しいんですね。
「杉並中野は、こっちの多摩チームだろ笑」(久住さん)
土屋:三多摩を行った後に、「東多摩」はどこなんだ?というのを探されて、そして杉並と中野だって。そしたら久住さん、<よく考えたら多摩っぽいよな!>って(笑)。
つる子:(笑)。
久住さん:おかしいと思ってたんだよ! 高円寺、阿佐ヶ谷、中野、あの辺を“中央線文化”とか言っているけど、「国分寺」「国立」「立川」のこっちチームだろうって(笑)。
つる子:(笑)。
久住さん:調べてみると、<なんだ、なんだ、元々は多摩だったんじゃん~!>って(笑)。何なら東多摩に戻して東京22区くらいにした方がいいんじゃない(笑)。「四多摩」にした方がいいんじゃないかな。
土屋:そしたら「四多摩」の中では中野と杉並のポジションはだいぶ上ですよね。
久住さん:そうね。そしたら“東東京市”って言いたくなっちゃったりして、やめろよって(笑)。
つる子:(笑)。
「実家が寒い!」(久住さん)
土屋:そして、多摩(=三鷹)にあるご実家も観察されて。ご実家はどうですか?
久住さん:寒いですね。
つる子:基本、多摩は寒いんですね(笑)。
久住さん:うちの中で、吐く息が白いんだもん。石油ストーブでね。石油を売る人が来るんですよね、♪雪やコンコン~って音楽を鳴らして。
つる子:私は群馬県出身ですけど、ありました(笑)。
土屋:勝手口に来て。
久住さん:石油を取りに行くのを子供がさせられて。石油ストーブって消すと臭いんですよね。
つる子:臭かった。
土屋:お風呂も湯沸かし器に憧れた!
久住さん:実家のお風呂はほんとに寒い! 決死の覚悟で入って。ところがお風呂のお湯が熱くて! 熱くて入れないわ、外は寒いわどうしたらいいんだって(笑)。
つる子:(笑)。
久住さん:シャワーに憧れたな。それで、電池式のシャワーを買ったもん。お風呂のお湯を吸い上げるだけだから、どんどん風呂のお湯が無くなっちゃうんだよ~。でも、今は良い少年時代を送ったと思っていますよ。
(TBSラジオ『東京042~多摩もりあげ宣言~』より抜粋)