育成からキャリア形成支援まで 管理職に期待する役割増加で、人材マネジメントの難易度アップ?
リクルートマネジメントソリューションズ(東京都港区)は9月20日、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2024年」の調査結果を発表した。
管理職と人事担当者が共通で悩む「次世代の経営を担う人材が育っていない」
調査は、企業の人事担当者150人と管理職層150人が対象で、今回が4回目。両者が感じている企業組織課題は「次世代の経営を担う人材が育っていない」が最多だった(人事担当者67.3%、管理職層66.0%)。
人事担当者が感じている「会社の組織課題」の2位は「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(64.0%)、次に「新価値創造・イノベーションが起こせていない」(63.3%)が挙がった。
管理職層では「中堅社員が小粒化している」が2位で64.0%。また、「難しい仕事に挑戦する人が減っている」(62.7%)、「新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている」(62.7%)などの項目が上位に挙がっており、同調査では「引き続きピープルマネジメントが課題として認識されている状況がある」と分析している。
メンバーの育成だけでなくキャリア形成支援まで担う管理職層、役割認識に変化
人事担当者が「管理職に最も期待していること」では、「メンバーの育成」が最も多く42.7%だった。続く「メンバーのキャリア形成・選択の支援」(27.3%)や「業務改善」(25.3%)と比べ、15ポイント以上の大きな差がついた。
一方、管理職層が感じる「管理職として重要な役割」は、こちらも「メンバーの育成」(48.7%)がトップ。2位は「業務改善」で40.0%だった。
そして「メンバーのキャリア形成・選択の支援」(32.0%)は、今回の調査では「担当部署の目標達成・業務完遂」(28.0%)を上回る3位に。この結果について同調査は、「メンバーのキャリア支援に対する管理職層の役割認識にも変化があった」としている。
メンバーのやる気アップに骨を折る管理職、背景には離職リスクの軽減?
管理職層に、「日々のマネジメント業務で難しいと思っていること」を聞いたところ、上位5項目には以下が挙がった。
マネジメント業務で難しいと思っていることトップ5(複数選択)
・メンバーの仕事に向けたやる気を高めること(56.0%)
・メンバーの育成・能力開発をすること(55.3%)
・既存業務に取り組みつつ、新しい挑戦を行うこと(42.7%)
・メンバーの希望するキャリアや働き方を実現すること(41.3%)
・自部署の業績・目標を達成すること(38.0%)
最多の「メンバーの仕事に向けたやる気を高めること」は、日々のマネジメント業務で、最も時間を使っていることとしてもトップに挙げられている。同調査では、「慢性的な人手不足の中で、今いるメンバーに最大限力を発揮してもらわなければ、組織としての目標を達成できない」状況があると指摘。メンバーのキャリア形成支援の役割認識の高まりは、この状況において、メンバーが求めるキャリアと、会社の意図とがすれ違った際に生じる、離職リスクを最小限に抑えようとする意図の表われ、と分析している。
そこで、人事担当者に、すでに実施している管理職へのサポートを聞いたところ、4割以上の担当者が「上司や人事による個別サポート」(41.3%)、「管理職の役割を認識してもらう昇格時研修」(40.0%)を行っていた。
一方、実施率は3割未満だった「マネジメントに関する外部のコーチによる個別コーチング」(29.3%)は、これから実施を検討しているサポートのトップだったことも示された。
同調査は、企業の人事担当者、管理職層(各150人)を対象に、2024年6月、インターネット調査で実施。所属企業の従業員規模は1000人以上が最多で33.3%。調査の詳細は同社のウェブサイトで確認できる。