「鬼滅」「クレしん」も気になるが、夏に観たい隠れた名作アニメ映画5選:おすすめ
社会現象を巻き起こした超人気作のクライマックスを描く『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』三部作の最初となる「第一章 猗窩座再来」が2025年7月18日(金)から絶賛公開中。早くもリピーターが続出するなど、大きな反響を呼んでいます。
また、8月にはSTUDIO4℃が手掛けた『ChaO』や、国民的アニメの劇場版『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』などの公開が控え、今年の夏もアニメ映画の話題作が豊富です。
夏に見たいアニメ映画の名作と言えば、『となりのトトロ』(1988年)をはじめとするジブリ作品や、『サマーウォーズ』(2009年)、『君の名は。』(2016年)、『この世界の片隅に』(2016年)など数多の傑作が存在しますが、それらに埋もれる形で意外とスルーされてしまっている名作もたくさんあります。
そこで今回は、機会があったら是非チェックしてほしい、意外と観ていないかもしれない夏の名作アニメ映画5選を紹介します。
日本の夏はアニメの夏。
『千年女優』
公開年:2001年
監督:今敏
声の出演:折笠富美子、小山茉美、荘司美代子 ほか
【あらすじ】
映像制作会社の社長・立花は、かつて一世を風靡し、今は人里離れた邸宅で一人静かに暮らす昭和の大女優・藤原千代子にインタビューする機会を得る。立花が持参した1本の鍵を見た千代子が語り始めた物語は、彼女の人生を越え、”映画”という虚構の世界を通って、遠い戦国の昔から、遥か未来の彼方まで広がって行く。錯綜した記憶の彼方に浮かび上がる千代子の秘密とは?
【おすすめポイント】
2010年に46歳という若さで、あまりにも早くこの世を去ってしまった稀代の映像作家・今敏監督の代表作のひとつ。現実と虚構の境界を自在に行き来する独特な演出も魅力的で、一人の女優の人生を通して、巧妙に日本映画の歴史を振り返り、時代劇から現代劇、SFまで様々なジャンルの映画世界が次々と登場します。観る者を幻想的な世界に引き込む今監督の映像センスが遺憾なく発揮される、唯一無二の作品と言えるでしょう。
『河童のクゥと夏休み』
公開年:2007年
監督:原恵一
声の出演:田中直樹、西田尚美、なぎら健壱 ほか
【あらすじ】
小学生の康一は、夏休みの始まりに小さな河童の子ども「クゥ」と出会う。最初は驚いた康一の家族もクゥを家族の一員として迎え入れ、世間には秘密にしようと決める。そんなある日、康一はクゥを連れて初めてのひとり旅に出かける。だが、深まる康一とクゥの友情を引き裂くように、クゥの存在が世間に知られることになってしまい……。
【おすすめポイント】
『クレヨンしんちゃん』シリーズで知られる原恵一監督が手がけた、夏休みを舞台にした心温まる作品。河童という日本の伝統的な妖怪を現代社会に登場させることで、人間と自然の関係、そして現代社会の問題点を巧みに描いています。特に、メディアスクラムやSNSでの炎上といった現代的な問題も織り込まれており、子どもだけでなく大人も考えさせられる内容となっています。
『マイマイ新子と千年の魔法』
公開年:2009年
監督:片渕須直
声の出演:福田麻由子、水沢奈子、森迫永依 ほか
【あらすじ】
昭和30年代の山口県防府市に暮らす、空想好きの少女・新子。ある日、東京から転校生・貴伊子がやってくる。田舎の生活になかなかなじめない貴伊子だが、好奇心旺盛な新子は興味を抱き、お互いの家を行き来するうちに、いつしかふたりは仲良くなっていく。ところが、ある出来事をきっかけに、せっかく深まった絆も揺らぎ始め……。
【おすすめポイント】
『この世界の片隅に』で一躍注目を浴びた片渕須直監督が、芥川賞作家・髙樹のぶ子の自伝的小説を映像化。昭和30年代の地方都市の生活が丁寧に描かれており、当時の子どもたちの遊びや学校生活がリアルに映し出されています。片渕監督の繊細な演出力がいかんなく発揮された、ノスタルジックな魅力に満ちた作品です。
『宇宙ショーへようこそ』
公開年:2010年
監督:舛成孝二
声の出演:黒沢ともよ、生月歩花、鵜澤正太郎 ほか
【あらすじ】
美しい自然に囲まれた村川村の小学生はわずか5人だけ。仲良く過ごす5人が毎年恒例の子どもだけの合宿で傷ついた犬を見つけ、手当てする。ところが、助けた犬は2100万光年の彼方からやってきた宇宙人だった!? 助けてくれたお礼にと宇宙旅行へ招待されることになったのだが――。
【おすすめポイント】
A-1 Pictures制作による、夏休みの冒険を宇宙規模で描いた壮大なファンタジー作品。子どもたちの夏休みの冒険という身近な設定から始まり、やがて宇宙規模の大冒険へと発展していく構成は、まさに夏休みの映画にふさわしいスケール感があります。上映時間が136分と少し長めですが、見応え十分な宇宙の美しい映像や異星人たちのユニークなデザインで、飽きることなく最後まで楽しめると思います。
『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』
公開年:2013年
監督:平尾隆之
声の出演:諸星すみれ、加隈亜衣、沢城みゆき ほか
【あらすじ】
魔の国で“のろい屋”を営む魔女の姉妹、ヨヨとネネ。ある日、“異形の大樹”の調査に向かったヨヨは見知らぬ異世界へと飛ばされてしまいます。そこで両親を化物に変えられてしまった少年・孝洋と出会ったヨヨは、異世界に広がるよからぬ呪いの解決に乗り出します。一方、魔の国に残されたネネも、異世界と魔の国の異変の秘密を解き明かすべく冒険を開始して……。
【おすすめポイント】
姉妹の絆を中心に、多くの人が共感できる普遍的なテーマというド直球の王道を、情熱とパワーで見事に結実させたファンタジー作品です。絵本のような色使いの背景も楽しく、幻想的な世界観が美しく描かれています。特に、クライマックスの観る者を圧倒する怒涛のパワーを感じてほしい1本です。
それぞれ異なる魅力を持ちながらも、どれも「名作」と呼ぶにふさわしい5作品になったのではないでしょうか。2025年7月現在だとなかなか観る機会がない作品もありますが、チャンスがあれば是非チェックしてみてください。