【高知グルメPro】高知県の東端に位置する料亭でいただくオールキンメ丼に豪華海鮮ちらし「料亭 花月」
ここ、「料亭 花月」は高知県室戸市にある。
室戸市は高知県の東端に位置しており、高知市内から車で2時間かかるのだが、それでもわざわざ行きたい店である。
かつて室戸は、マグロ漁が盛んだったという。
今でもマグロ漁は残っているが、かなり減少している。
当時は遠洋漁業も多く、港に戻ってきた漁師は室戸で大いに食べ、飲み、どんちゃん騒ぎをして遊んだという。
豪気な人たちは、タクシーで高知市内まで飲みに行ったとも聞いた。
いまなら片道2万円を超える距離である。
漁師たちで賑わっていたから、室戸には芸者もいた。
「花月」は、そんな華やかな室戸に、大正14年に創業した料理屋である。
往時の繁栄を思わせる堂々たる店構えの2階屋で、その面影が残っている。
今は、名物の金目鯛料理を食べに、多くの人が訪れる。
室戸沖は、急激に深海へと繋がる地層なので、深海の魚である金目鯛が多く獲れるのであった。
とろりとした肉に脂が乗っているところが好まれて、今や金目鯛は高級魚である。
今回はご飯ものを中心にいただこうと思う。
まず、名物の金目鯛を使った、「オールキンメ丼」を注文した。
錦糸卵、ネギ、青紫蘇が配されたご飯の上には、14切れの金目鯛が所狭しと並んでいる。
壮観である。
薄紅色の肉体と橙色がかった赤い皮を見せつけ、「さあ早く食べろ」と誘ってくる。
手前から刺身、炙り刺身、奥が煮付けという配置になっていた。
まずは刺身といってみよう。
醤油をつければ、醤油に脂がすうっと溶けて流れていく。
それを見てほくそ笑みながら、口に運ぶ。
しなやかな身に脂が乗っていて、丼を食べているのに燗酒が飲みたくなる。
次に煮つけと行ってみよう。
しっとりと甘辛く加熱された金目鯛は、舌の上でご飯を食べよと命じてくる。
煮付けの下はタレがかかっている。
つまりこれはタレご飯で、このご飯と煮付けを一緒に食べれば、なお美味しい。
最後は炙りといってみよう。
金目鯛は、炙られたことにより芳ばしくなり、適度に脂も落ちてくどくなく、身も少し締まっている。
これがご飯を、猛烈に呼ぶんだな。
最初に見たときは、煮付けが一番ご飯とあうと思ったのだが、これは断然炙りだな。
大きく切られた身をかじって、すかさずご飯を掻き込めばたまらない。
あるいは身を崩して、ご飯とまぶして食べるのもありである。
その気持ちを察してか、炙りの刺身の下は白いご飯となっていた。
この「オールキンメ丼」、もう一つ楽しみ方がある。
あらかた食べた後に、別の茶碗にご飯をよそい、刺身や炙り刺身を載せて熱々の出汁をかけるのだ。
半生になった金目鯛が、またいい味を出す。
ご飯や出汁とともに掻き込めば、幸せが忍び寄る。
さて「オールキンメ丼」のあとは、「海鮮ちらし」を頼んでみた。
「おおっ」。
丼が運ばれて、思わず声が漏れる。
海の豊穣が、百花繚乱となっている。
ケンサキイカ、赤エビ、キハダマグロ、本マグロ、カンパチ、ヨコワ(本マグロの幼魚)の炙り、メダイという布陣であった。
下のご飯は、柚子酢がしっかりと効いた、高知らしい酢飯である。
ケンサキイカを噛めば、トロンと甘く、赤エビは身がしっかりし、濃密な甘みが流れる。
キハダマグロは、滑らかな身に淡い鉄分を秘め、しっかりと鉄分を感じさせる本マグロは、醤油を少し多めに漬けて、大至急ご飯だな。
程よく脂が乗ったカンパチを食べ、香ばしいヨコワの炙りをいただく。
シコっと弾むような食感で、身がしっかりとしたメダイは、ご飯が進む。
こうして様々な魚を交互に、メリーゴーランドのようにして食べていく楽しさは、この上ない。
あと、ちょっと変わったおすすめは、マンボウのフライだろう。
私が知る限り、この料理はここでしか出会わない。
マンボウは、加熱しても身に張りがあり、ブリッというしっかりとした食感で、ほんのりとした甘みも滲む。
こりゃあ、ご飯よりビールだと、ついつい頼んでしまった。
最高の組み合わせである。
丼食べて腹一杯でもあるにも関わらず、ペロリと食べてしまった。
なにしろここは、歴代の漁師たちを魅了してきた店なのだから。
高知県室戸市室津「料亭花月」にて
店舗情報
料亭 花月
住所:高知県室戸市室津2586(港の上)
Tel:0887-22-0115
営業時間:平日:11:00〜14:00(予約可)土日祝:10:30〜14:00(予約不可)
定休日:不定休
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。