沖縄移住のカメラマン 地元・名張にも還元したい 村上さん
三重県名張市梅が丘出身で、沖縄県うるま市に移住し、写真スタジオを経営する村上佑さん(39)。エメラルドグリーンの海と白いビーチが広がる南国の環境にも慣れ、今後は地元にも何か還元できることはないかと思いをはせている。
大学進学後、たまたま入部した写真部で興味を持つようになった。アルバイトで商業撮影の経験も積み、地元でウエディングフォトを撮る仕事に就いた。仕事の傍ら、趣味で立ち上げたサークルでも活動する中、26歳で退職、独立した。
「自分のことを誰も知らない土地でやってみたい」「日本の端っこに行きたい」と、沖縄県に行くことを決めた。縁もゆかりも無い中、うるま市に決めたのは「沖縄全土に飛び回れるように、真ん中が良い」という理由だ。
移住して1年は、下請けとしてウエディングフォト撮影に専念。これまでの屋内撮影とは違い、沖縄ではビーチでの撮影が主となり、「風が吹く」「汗もかく」など環境が異なることに戸惑った。
土地になじむのは早かったが、「文化の違い」を痛感。せかせかせず、のんびりしている「うちなータイム」があるため、自身の感覚で仕事をするとリズムを乱すこともあった。自身の方言も相手によっては速くてきつく感じられるようで、ニュアンスのずれや意思疎通には、今も気を使うという。
「自分が変わらないといけない」と、考えも柔軟になり、話すスピードもゆっくりになった。食事は苦労せず、楽しめた。ただ、名張に帰った時は無性に和そばとラーメンが食べたくなるそうだ。
2年前には事務所を設立。海まで歩いて5分の好立地な場所に写真スタジオ「フォトスタジオOuchi」を構え「家にいるような雰囲気で撮影できるスタジオ」を目指し起業した。ウエディングだけでなく、観光写真も撮影するようになり、三重県からの旅行者と知り合うことも多くなったという。
沖縄での生活も13年になった最近、地元で頑張っている先輩や同級生、後輩たちのSNSでの発信に刺激を受けるようになった。「人々のエネルギーがすごい沖縄」から地元を見ると「近くでは見られなかったものが見えたりする」と語り、胸の内にあった「生まれ育った町に貢献したい」との思いが大きくなってきたという。
村上さんは「沖縄の仕事も維持しながら、地元でも写真や映像など自分のできることをどんどんやっていきたい」と目を輝かせた。
2024年8月31日付874号11面から