「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」展が8月3日~11月10日『東京都現代美術館』で開催。コレクターがとらえた現代日本アートの変遷をたどる
これまでに3500点を超え、質・量ともに日本の現代美術において重要な蓄積として知られる高橋龍太郎コレクション。草間彌生、会田誠、奈良美智など現代美術を代表する作家から最新の若手作家まで、総勢115組の作品により日本の戦後現代美術史の全貌を表す「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」展が2024年8月3日(土)~11月10 日(日)、江東区の『東京都現代美術館』にて開催される。
高橋龍太郎コレクションから見る戦後日本アート史がここに
1946年に生まれ、精神科医として地域医療の推進に尽力し続けてきた高橋龍太郎氏は、1990年代半ばにコレクションを開始。以来、現代美術の動向を「受け手側」から観察し、表現者とは異なる形で重要な部分を担い続けてきた。
本展では、コレクターの個人的な視点「私観」で綴られた現代アートを紹介していく。鋭い批評精神を持った作家たちが生み出した作品がテーマごとに展示され、今に連なるアートの変遷が浮かび上がる構成となっている。
伝説の作家から最新作家まで! 6部に分けた変遷史
本展では、世界最大級の3500点あまりのコレクションから、選りすぐりの115組の作品を6部に分けて展示していく。
「1. 胎内記憶」では、戦後50年間の文化状況をコレクションの胎内記憶として、草間彌生氏など高橋氏が若き日に影響を受けた作家たちの作品を展示。
「2.戦後の終わりと始まり」では、村上隆氏に代表される日本の文化や社会に対する鋭い批評精神を持った作家たちの作品を展示するとともに、「3.新しい人類たち」で全体を貫く最も重要なテーマとして、奈良美智氏など、人間を描いた作品に焦点を当てていく。
日本現代美術の転機として、東日本大震災と福島第一原発の事故、それら一連の出来事から生み出された表現に迫る「4.崩壊と再生」。「5.『私』の再定義」では、東日本大震災以降、強い主張にリアリティを感じなくなったという高橋氏のコレクションに目立つようになった「私」を改めて問い直す作品や作家を紹介している。
最後の「6.路上に還る」では、ストリートから世界をまなざし制作を行う、勢いのある作家たちに肉薄。今最も高橋氏の心を動かす作家たちに着目する。
前衛芸術の記憶に始まり、再び路上に還る一連の日本現代美術の変遷を追体験でき、改めて現在地を確認できる機会となりそうだ。
開催概要
「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」
開催期間:2024年8月3日(土)~11月10日(日)
開催時間:10:00~18:00(8月の金は~21:00)※入館は閉館30分前まで。
休館日:月(月が祝・休の場合は開館、翌休)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F・B2(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般2100円、学生・65歳以上1350円、中学生・高校生840円※小学生以下無料。
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TRC/
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。