「ツボ」って結局、どんなものなの? ゼロからはじめる薬膳・東洋医学の基本 【NHK明日から使える “新”東洋医学】
日常生活にすぐ取り入れられる東洋医学・薬膳の知恵
近年の猛暑により、今まで常識だと思っていたことだけでは、夏を健康的に乗り切ることが難しくなってきました。夏バテを引きずった「秋バテ」になってしまう方も多いようです。
そこでおすすめするのが「東洋医学」。『NHK明日から使える “新” 東洋医学』テキストでは、医師で大学教授の木村容子さんに夏対策の新しい常識を学びながら、スーパーやコンビニで買える食材を使った、料理研究家のワタナベマキさんによる手軽でおいしい薬膳レシピ、はり師・きゅう師の石垣英俊さんによるツボを刺激しながら行う簡単なエクササイズなど、日常生活にすぐ取り入れられる知恵を紹介しています。
今回は、東洋医学ならではの基本的な概念や用語解説を、テキストより特別公開。古代中国で発祥したツボ療法は、現在は世界でその効果を認められています。しかし、「よくわからないから」といって敬遠する人も、まだ多いかもしれません。まずはツボのこと、セルフケアのコツを知ってみましょう。
「ツボ」とは
「ツボ」とは、体の表面から諸器官に刺激を伝えるスポットのこと。その多くは「経絡(けいらく)」のライン上にあります。
人体の表面近くには、縦に走る経脈(けいみゃく)と、経脈をつなぐ絡脈(らくみゃく)という通路があり、合わせて「経絡」と呼ばれています。主な経絡は14本あり、頭のてっぺんから手足の先まで気と血を巡らせます。また、それぞれが五臓六腑と深い関連をもちます。その経絡に沿って点在する経穴(けいけつ/ツボ)を刺激すると、関連のある臓や腑に気が出入りし、諸器官の調子を整えることができるのです。
中国では、3000年以上前からツボへの刺激を利用した治療が行われてきました。ツボを指で押したりもんだりするほか、はりを刺したり、きゅうで温めたりすることで症状を改善する療法です。その「ツボ療法」は日本にも伝わり、長く伝承されてきました。
ツボの位置は「だいたい」でOK
本誌では、自分でツボに触れたり、体を動かしたりしてツボに刺激を与える「ツボエクササイズ」を紹介しています。セルフケアでは「ツボの位置がわからないかも」と不安になる方もいるでしょう。しかし、ツボエクササイズは指1本でツボを押すだけでなく、手のひらや両手の指先、また「手ぬぐいボール」(本誌参照)を使い、「だいたいツボのあたり」を刺激するものです。それだけでも効果が期待できるので、安心して取り組んでください。
本誌で取り上げるツボは、夏から秋にかけて増える8つの不調に対応するものです。なんらかの症状がある人は、ツボに触れると、痛みやこりや皮膚のつっぱりを感じるかもしれません。それは、関連する部分の不調にツボが反応しているのです。ツボは経絡を通じて体の不調にアクセスする「治療点」であり、不調のサインが表れる「反応点」でもあるのです。
ツボに触れることは、自分の心身の状態を知ることにつながります。何より「気持ちいい」と感じることで、こころが喜びます。ぜひ気になるエクササイズから始めてみてください。
ツボエクササイズの「ポイント」
1.ツボは左右対称に刺激する
2.ツボは正確に押さなくてもOK
3.気持ちいい程度に押す
4.食事のあとは避ける
『NHK明日から使える “新” 東洋医学』テキストでは、「気」が消耗したイライラに対応した薬膳レシピやツボエクササイズも紹介しています。
◆『NHK明日から使える “新” 東洋医学』テキストより
◆写真:邑口京一郎/スタイリング:池水陽子