活躍の場はキッチン以外にも! アルミホイルを超えた最強防災グッズ「ラップ」活用テクニック6選
水が使えない。ごみが捨てられない。洗剤やせっけんが足りず清潔を保てない……。災害時には、日常生活からは想像もできないような事態が起こり得ます。そして、水や食料以外にもありとあらゆる物資が不足してしまいます。そんな不測の事態でも、身近にあるもので代用する術を知っていれば、自分だけでなく周りの人たちの命を守る行動につながります。防災士がお届けしている本連載。7回目となる今回は、災害時に役立つラップ活用術をご紹介します。日常生活でも主にキッチン周りで大活躍してくれるラップは、酸素透過性が非常に低く、防水性にも優れているため、防災グッズとしても活用の幅があります。もしもに備えて、さまざまな使い方を覚えておきましょう。
ラップ活用術(1)食器類の汚れ防止
いつライフラインが復旧するかわからない災害時は、なるべく節水を心掛けたいもの。食事をする際は洗い物が出ないよう、食器にラップを敷いて使いましょう。紙皿の備蓄がある場合は、紙皿にもラップを敷けば捨てずに繰り返し使えます。
食事後は臭いが漏れ出ないよう、汚れた面を内側にしてラップを包み、ごみ箱へ
ラップ活用術(2)臭い対策
普段通りにごみ収集が行われるとは限らない災害時、ごみの保管とそれに伴う臭い対策は重要な課題の一つです。汚物や生ごみなど臭いの出やすいごみは、小さくまとめてラップにしっかりと包んでからごみ袋に捨てましょう。ラップには酸素や水蒸気などを通しにくい性質があり、臭い漏れを防ぐことができます。
ラップはごみの大きさに合わせて張り合わせ、面積を大きくすると良い
臭い対策に効果的なラップの選び方
臭い対策という観点からいえば、ラップの種類は何でもいいわけではありません。ラップの材質には主に、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンの3種類があります。このうち、酸素や水蒸気などを通しにくく、臭い対策に効果的なのは「ポリ塩化ビニリデン」です。ラップを購入する際は裏面の原材料名をよく確認し、ポリ塩化ビニリデン製の商品を選ぶのがおすすめです。
「ポリエチレン」には張り付きにくいというデメリットも
ラップ活用術(3)簡易スポンジ
ラップをくしゅくしゅと丸め、数滴の洗剤と少しの水を付けてもみ込むと、洗剤の量は少量でもしっかりと泡が立ち、汚れた食器などを洗えます。あらゆる物が不足する災害時において、スポンジの代用や洗剤の節約になり便利です。また、使ったあとのラップはごみとして捨てられるので、衛生的です。
たった数滴でもしっかりと泡立つ
ラップ活用術(4)簡易使い捨て手袋
水や石鹸が不足しがちな災害時、素手で食べものを触ったり、掃除や汚物の処理を行ったりする行為は、衛生的に見て非常にハイリスクです。身近に使い捨て手袋がない場合は、十字に重ねたラップを手に巻くことで、簡易的にビニール製の使い捨て手袋が作れます。
感染症が蔓延しやすい避難所等の生活においては、特に衛生面に気を付ける必要がある
指が分かれていないのでさすがに使い捨て手袋ほどの利便性はありませんが、拭き掃除をしたり物をつかんだりする程度なら問題なく使えます。
細かな作業はできないが、物をつかむ程度には不自由しない
ラップ活用術(5)けがの応急処置
ラップは防水性も高いので、緊急時には傷口の保護や、ばんそうこう・包帯の代わりに活用することもできます。傷口は水で洗い流すなどしてできるだけ清潔にし、ギュッときつめにラップを巻きましょう。
骨折の可能性がある場合は、段ボールなどを添え木の代わりに当て、添え木と一緒に腕にしっかりとラップを巻けば、骨折箇所を固定できます。
感染症予防のため、傷口には素手で触らないように注意する
添え木として代用する段ボールは、腕の太さに合わせて折り畳むと良い
※いずれも、あくまで応急処置です。けがを負ったときは、可能な限り速やかに医師の診察を受けましょう。
ラップ活用術(6)簡易ロープ
ラップは、くるくるとひも状にねじればロープとして代用できます。過去の災害時には、洗濯物を干すためのロープや、衣類を縛ってまとめるためのひもなどとして活用されたようです。
アルミホイルも同じようにすればロープとして代用できるのですが、強度がある分硬く使いづらいので、個人的にはラップの簡易ロープの方がおすすめです。必要に応じて三つ編みにして使用すれば、強度も申し分ありません。
三つ編みにする場合は、間を詰めれば詰めるほど丈夫なロープになる
ラップ同士は簡単に張り付くので、大きさが足りないときには張り合わせてサイズを大きくしていけばOK。小さなサイズのラップなら防災リュックに入れてもかさばらないので、ぜひ非常用のアイテムとして加えておいてください。
ラップは「酸素や水蒸気、臭いを透過させない」「防水性に優れている」ということを覚えておけば、今回ご紹介したライフハック以外にもあらゆる場面で応用が利きます。防災訓練や防災体験の一環として、キャンプなどで使ってみるのもおすすめです。