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国内の感染拡大から5年 新型コロナ 医師会長「初心忘れず」 年末年始の患者数400人 

タウンニュース

「ピーク時ほどではないが、地域社会の偏見も課題」と語る岡野敏明会長

2020年1月に新型コロナウイルスの感染者が国内で確認されてから5年が過ぎた。2023年からは感染症法上の位置づけが「5類」に変更されたが、実は再び市内の新型コロナ感染者数は増えている。川崎市医師会の岡野敏明会長に、「アフターコロナ」の現状を聞いた。

新型コロナ感染症は、23年5月以降、感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に変更され、行政による行動規制などは行われなくなった。しかし厚生労働省の人口動態統計によると、この5年間で新型コロナウイルスが原因で亡くなった人は、24年8月までに13万人以上。「5類」変更後に限っても、約4万4千人が亡くなっている。

川崎市内でも、年末年始の休日診療体制の6日間で、診療所を受診した約7千人のうち約4千人がインフルエンザを発症し、約400人が新型コロナに感染していた。指定医療機関の患者数を定点調査している市の「感染症発生動向調査」では、今年1月27日から2月2日に304人が新型コロナに感染し、指定医療機関1施設あたりコロナ感染者が4・98人と、インフルエンザの4・84人より多かった。

川崎市医師会の岡野会長は、「コロナが消えたわけではないことを認識してほしい」と呼びかける。「今まさに感染者は増えている。初心に戻って、マスクや手洗いを徹底してほしい」

岡野会長によれば、「5類」以後は、医療機関としても、新型コロナの検査を積極的にしないケースが増えているという。さらに会長が「コロナ禍から継続する課題」と指摘するのが、新型コロナに感染している可能性がある発熱患者の対応に、消極的な医療機関があることだ。

改正感染症法では、コロナ禍では受け入れ可能な病院が限られたために治療を受けられない患者が続出した反省から、都道府県が「感染症予防計画」を策定し、あらかじめ医療機関と協定を結ぶよう制度化した。

岡野会長はコロナ禍の序盤、集団感染が起きた大型クルーズ船での対応も経験し、コロナ対応の難しさを熟知する。そのうえで「依然として高齢者への感染が怖い。ワクチン接種を呼びかけるなど、経験を生かし、感染のまん延防止にあたっていく」と話している。

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