円高進行、背景に何が?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、7月25日の放送に経済評論家の佐藤治彦が登場。この日も進行した円高について解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「きょうの東京外国為替市場、円相場、また円高が進んで、いっとき152円70銭台ぐらいまで来ました。少し失速した感もありますが円高が続いているということで。なぜ円安ドル高ユーロ高が続いてきたのか、続いているのか、ひも解いていただきましょう」
長野智子「まずはその(円高進行の)背景ですよね」
佐藤治彦「一言でいうと日米の金利差が縮まるかもしれないな、という思惑が市場に広まったということです。アメリカの金利のことでいうと、6月上旬ぐらいまではアメリカのインフレは収まっていない、利下げはできないんだと。年内にできるとしても11月かどうかだ、というのが市場関係者の一般的な見方になったんですね」
鈴木「はい」
佐藤「ところがそれ以降に出てきた様々な経済指標が、インフレが落ち着いている、経済も落ち着いた、過熱感がない……。こういったデータがいっぱい出たために、9月にも利下げをするんじゃないか、といった見方が広がり始めています」
長野「大統領選挙の前に!」
佐藤「はい。もし利下げするとなったら、9月に方向転換することになるんですよ。方向転換すると選挙に影響を与えるのではないか、ということで、通常は大統領選挙のときの9月には金融政策の変更は行われなかったんですね。ところが今回、あり得るんじゃないか、という見方が市場に広がっていて」
長野「どうしてですか?」
佐藤「インフレが落ち着いている、経済が落ち着いている……。利下げのタイミングを誤ってしまう、遅すぎると、今度は経済の失速になるわけですよ。不景気になってしまう、それも考えて9月にあるんじゃないか、と。ですからいまパウエル議長がどんな発言をするかということにものすごく注目が集まっています。特に来週、7月30日から31日、FOMCミーティングがありますので、注目が集まっています」
長野「ええ」
佐藤「7月30、31日というのは日本の、日銀の金融政策決定会合というものも行われるんです。23年度は日銀が買い入れた国債の金額が87兆円、だいたい1ヶ月に7~8兆円で。日銀のサイトを見ると、国債をどれぐらい買えるか、という予定まで発表されるんです。7月30、31日に今後はどうなるか、ということを発表するであろう、と。年間の買い入れ金額が半分ぐらいになるのでは、というのがいまの市場の見方なんですね」
長野「はい」
佐藤「これ自体が円高方向への流れをつくる。市場関係者はこの国債の買い入れ金額を減らすことと利上げは同時にはしないだろう、というのがいままでの見方だった。いっぺんにやると市場に与える影響が大きいから。ただここにきて金利も上げるのではないか、と。その思惑が流れたがために、一気に152円まで来た」
長野「そういう流れだったんですね」