タランティーノが『ジョーカー2』絶賛、「ジョーカーが撮ったような映画」「全員にファックと言っている」
映画監督クエンティン・タランティーノが、DC映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を絶賛した。
ポッドキャスト「」に登場したタランティーノは、米国では批評・興行ともに厳しい結果となった本作について、「本当に気に入った。夢中になって観た」とその完成度を称えるとともに、トッド・フィリップス監督に「彼こそがジョーカーだ」との言葉を贈っている。
もともと、本作にはあまり期待していなかったというタランティーノ。「映画づくりに感銘を受けることには期待していたけれど、知的実験のような作品で、映画としては成功していないのだろうと思っていました」というが、映画を観ながらすぐに「知的実験などではないとわかった」という。ジョーカー役のホアキン・フェニックスにも「僕が見たなかで最高の演技のひとつ」と賛辞を送った。
「ミュージカル・シーンがとてもよかったですね。曲がありふれたものであるほど、いい場面だと思いました。“For Once in My Life”の歌詞を、あんなふうに聴いたのは初めてだった。彼(フェニックス)はうまくやっていましたね。『ラ・ラ・ランド』の彼(ライアン・ゴズリング)と同じで、歌がうまいかといえばうまくないけれど、非常に彼らしい。歌詞が役の独白になっているドラマ作品として、“歌わない”やりかたで取り組んでいるにしては、十分うまく歌っていたと思います。」
クエンティン・タランティーノ © THE RIVER
タランティーノが本作に期待しなかったのは、前作『ジョーカー』(2019)をさほど気に入っていなかったからだ。「(クライマックスの)トークショーがすべての映画だと思った」というタランティーノは、この場面を「過去20年で最高のシーンのひとつ。あのシーンのために映画を観たようなもの」とコメント。しかし、『タクシー・ドライバー』(1976)を物語の下敷きにしたことと、ラストまでが「あまりに単調だと感じた」ことには好感を抱かなかったという。
「前作は『タクシー・ドライバー』の影響下にあった。それと同じで、今回は僕が書いた『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994)の影響を受けていると思う」とタランティーノは分析する。「これこそ僕が観たかった『ナチュラル・ボーン・キラーズ』だ。ミッキーとマロリーを生んだ人間として素晴らしいと思ったし、作品の方向性が好きだった。つまり映画全体が、ミッキー・ノックス(主人公)が熱にうかされて見た夢なんです」。
そしてタランティーノは、「トッド・フィリップスこそがジョーカーだ。これはジョーカーの映画なんだ」と強調する。
「ジョーカーが撮ったような映画ですよ。映画全体のコンセプトも、スタジオの金の使い方だってジョーカーみたいですよね。彼からの大きなサプライズ・プレゼントは、まさにびっくり箱。握手のために手を差し出されて、いい気分になっていたら、1万ボルトの電流がみなさんを──コミックファンを撃つんです。彼は全員に“ファック”と言っていますよね。観客に、ハリウッドに、DCやワーナー・ブラザースの株主に。」
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ちなみにタランティーノと同じく、“期待ゼロ”で本作を鑑賞し、同じように「素晴らしい」と激賞した映画監督がもうひとりいる。『わたしを離さないで』(2010)などの鬼才マーク・ロマネクだ。
「巨額を投じた作家主義的で過激な映画だ。アルゴリズムに基づいたコンテンツ(クソ)ではない。昔ながらのミュージカル・ラブストーリーを鮮やかに、とんでもない形で再発明した映画はDCファンにはつらかったのかも」と記したロマネクは、「トッド・フィリップスの大胆さと手腕は称賛を受けるべき。この映画が近々、もしくは近い未来に再考され、再評価されることは間違いないでしょう。私の知る超一流の映画人の多くも同じように感じていることを私は知っています」とも書いている。
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映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は公開中。
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