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【福岡で話題のうどん】営業時間は朝7〜12時。60杯限定1,200円の月見うどんに行列が!

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箱太郎月見うどん

「誰かに教えたい、連れて行きたい!」。自身が初めて訪れた飲食店の帰り道、心地よい余韻、満足度と共に強くそう思い、いてもたってもいられなくなる経験は皆にもあるでしょう。2023年も福岡グルメシーンの動きは活発でしたが、こと“麺部門”では、この店が最もブレイクしたと僕は思っていて、仮に“したり顔で教えたい福岡麺業界のニューカマー”というランキングがあったのなら、胸を張ってこの店をNo.1に選出します。
それはズバリ、箱崎の「うどん箱太郎」。超穴場的立地と、朝うどんをはじめ独自のシステム、さらに大将の人となり。うどんのうまさはもちろんのこと、プラスαのくすぐられる要素が満載なんです。僕もそうでしたが、その特殊さゆえに初訪問時は程よい緊張感を持ち、きっと肩肘張ってしまうことでしょう。でも決して“怖くない”んですよ。

「うどん箱太郎」は地下鉄箱崎九大前駅から徒歩約4分の住宅地にあります。アクセスは便利ですが場所がとにかく分かりにくいです。車1台がようやく通れるぐらいの小道沿い。マップアプリで検索すると正確な場所にポイントしてくれるのですが、いたって普通の民家の外観で看板もないため見落としがちです。現に僕は最初迷いました。今は店前に決まって順番待ちの行列ができているのでそれを目印にするといいかもしれません。

ガラガラと引き戸を開け、誰かのお宅に「おじゃまします」的な感じで入店すると唐突に現れる「脂、足りてますか?」と書かれた提灯。さらに進むと、外で並んだ後に、店内で座って待つスペースがあり、先には淡い照明に浮かび上がる7席のみの厨房を“魅せる”カウンター席が! 壁に貼られたメニュー表を見ると「月見うどん1200円」。

なんだこりゃ、尖りまくったうどん店やん。おもしろい! 
一様にこんな感想を持つのではないでしょうか。

すごく変わった店だけに、大将もやはり個性むき出し。ビシッと白い料理服を身にまとい襟元にネクタイをのぞかせた坊主頭の職人が、愛称“箱ちゃん”こと店主の酒井智浩さんです。

「うどん箱太郎」は、豚骨ラーメン店「駒や 箱崎店」での2年間の間借り営業を経て、今年3月に現在の箱崎2丁目へと移転してきました。酒井さんのこれまでの経歴は、船乗りであり、プロボクサーであり、トラック運転手であり、コーヒー店店主であり、YouTuberであり、そしてうどん店店主にと、とにかく多岐に渡るのでここでは言い尽くせませんが、なぜにうどん店、しかも、こんな店を? というところをかいつまんで紹介します。

酒井さんは1986年、北九州市出身。とにかく食べるのが大好きで、特にうどんに関しては「北九州にある店はすべて食べ尽くした」と豪語します。“食べ手”から“作り手”側になる、大きなきっかけになったのが「駒や」店主の倉田承司さんとの出会いでした。

「『駒や』の前身である居酒屋に食べに行ったことがすべての始まりです。それから店主の倉田さんと親交を深めていき『箱崎店』ができた時に、『間借りしてなんか商売してみたら?』と提案していただきました。その時ですね。漠然と思っていた“うどん店経営”への道が開けたのは。2021年のことでした」と酒井さん。

先に述べたように、酒井さんは筋金入りの“北九州うどんラバー”。自身が親しんできたソウルフードの肉うどんを、現地に根付いている“朝うどん”として福岡市内で提供することに勝機ありと確信していました。また、間借りできるのは午前中のみという条件も、潔く“朝特化”を貫く一因となり、結果、特別感が増していったとも思います。さらに「倉田さんはじめ、『六味亭』の銘田俊介さん、『きりん』の大石昌明さんなど、さまざまな料理の引き出しの多い、凄腕のラーメン店店主から“出汁”についてのアドバイスをもらうことで、最高のうどんが完成した」と、感謝を込めて酒井さんは話します。

間借り営業を始めてすぐに「箱太郎」のうどんは評判を呼び、ほどなくして念願の自身の店を開業することに。このマニアックな物件は不動産関連の仕事をしている常連客が探してきてくれ、古き良き昭和の住宅を改装したそうです。もちろん移転後も変わらず“朝うどん”スタイル。ただ、当初は朝5時からでしたが、近隣住民に気遣い今は7時からの営業に変更したようです。

非日常の空間で出される“脂うどん”と銘打つ新ジャンル。一番人気のメニュー「月見うどん」(1200円)は、ゴロゴロとした牛バラ肉、スジ肉がのり、牛の良質なケンネ脂の旨味を絞り出した、甘く濃厚な一杯。毎朝昆布でダシを引く和風スープに、1杯ずつ“追い節”をすることでコクと風味を高めています。大分のブランド卵「蘭王」の黄身を崩すと、よりまろやかな味へと変化してうまいですね。

また、もう一つの特徴なのですが、うどんは冷凍麺を使っています。これは、酒井さんが基山パーキングエリアのうどんが好きすぎて、自分のうどんにも取り入れたいと同じ業者から同じ麺を仕入れているもの。手打ちにこだわらず、冷凍うどんを堂々とアナウンスして“店の味”としているところも「箱太郎」のすごさだと思います。何より、この麺ツルシコしていてすごくおいしいですからね。

そのほか、レギュラーメニューにはのっていない「茶ニボよもぎ麺変更」(卵入り1550円)もおすすめとのことだったので試してみました。こちらの麺は「博多製麺処」謹製のヨモギを練り込んだ緑色の麺。“茶”とは、ブランド豚「薩摩茶美豚」のことで、それに牛脂で煮干しを煮詰めた熱々の脂が目の前でジュジュワっと音を立てて入ります。

肉やダシのほんのりとした甘さ、煮干し油の香ばしさが渾然一体となるパンチ、同時にヨモギの風味がフワリと鼻に抜ける上品さも感じます。いやー、おいしい! おもしろい!!

12月に値上げを行い「月見うどん」が1200円になった「箱太郎」。「日本一高い月見うどんかもですね」と酒井さんが言う通り、一般的なうどんと比べるとかなり高価です。穴場的立地、営業スタイル、そして何より箱ちゃん(酒井さん)が醸す雰囲気がうまく溶け合ってこそ成り立つ商売でしょう。とにかく連日大盛況であることが受け入れられている証。客の中には、スーツケースを引く出張者や観光客、外国人の姿も目につきます。

順番待ち覚悟で朝から訪れてみてください。

うどん箱太郎
福岡市東区箱崎2-34-8
080-8426-9298
営業時間 7:00〜12:00(売切れ次第閉店)

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