マヤの神話に記された「双子の神」はなぜ英雄となったのか?【眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々】
マヤの創世神話と双子の英雄
最後は天に昇ったフナプー&イシバランケーの活躍
マヤの神話はグアテマラのキチェ族に伝わポポルヴフに記されています。創造神はテペウとクマッツという2神です。
ポポル・ヴフによると、世界は海と空だけで、すべてのものは水中にありました。ふたりの神は海の上を飛びながら、大地を創造し、動植物を生み出し、世界を構築していきます。
最初の人間は泥からつくられましたが、すぐに崩れてしまったうえに言葉も持たないという失敗作。2神はあらためて木から人間をつくります。人間は子孫を増やすものの神を敬うことをしなかったため、2神によって洪水で流されてしまいました。
かろうじて残った人間の子孫は、人間に似ているけれど頭脳を持たない猿に変えられてしまいます。現在、人間と猿が似ているのはこのできごとがあったからといわれています。
ポポル・ヴフには、英雄である双子の神フナプーとイシバランケーの冒険も描かれます。
ふたりは、巨人や怪物たちを倒しながら、父の敵討ちのために冥界へ行き、宿敵シバルバ人と競技で対決をします。
戦況が危うくなったシバルバ人は焼き殺そうとしますが、動じないふたり。シバルバ人を制し、最後には天に昇って太陽と月になり、世界を見守る存在になりました。
※敵の巨人:フナブーとイシバランケーから神の座を奪おうとするブクブ・カキシュ。倒された後も息子らがふたりに戦いを挑むが、双子の策略により絶命する。
兄弟の英雄フナプーとイシバランケー
父の復讐のために、ともに力を合わせる双子の神。トウモロコシを人類にもたらしたトウモロコシの神でもある。
フナプーは「猟師」、イシュバランケーは「小さなジャガー」を意味する。いじわるをする異母兄らを猿に変えて追放した。
父の復讐のため訪れた冥界では、亀やウサギといった動物が助力。数々の試練を乗り越えて不死身の身となる。
双子の英雄の退治譚
『ポポル・ヴフ』にはフナプーとイシバランケーの出自と数々の功績が語られている。素行の悪い巨人の親子を成敗したり、父を殺した冥界の王を殺したりと活躍する。冥界で殺された父と叔父は昇天し、同じように殺された400人もの若者は天で無数の星となった。
父 フン・フナプー
弟とともに冥界の王にだまされ殺された。母 イシュキック
木に吊るされたフン・フナプーが吐いたツバを手に受け、双子を身ごもる。(フナプーとイシバランケー)冥界の王 フン・カメー
フナプーとイシバランケーに殺害される
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介