25年1月歌舞伎座 松竹創業百三十周年『壽 初春大歌舞伎』 古典の名作から話題作、新作が並ぶ豪華ラインナップ発表
令和7(2025)年1月2日(木)~26日(日)歌舞伎座にて、1月歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎(ことぶき はつはるおおかぶき)』を上演することが発表された。
昼の部は、新春にふさわしい祝祭劇の『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』から。江戸歌舞伎では、初春興行に曽我兄弟の仇討ちを題材とした作品を上演とするのが吉例で、歌舞伎の役柄が一堂に揃う豪華な一幕。曽我五郎を坂東巳之助、曽我十郎を中村米吉という『新春浅草歌舞伎』を卒業した花形二人が勤める。
続いては、夢枕獏の大人気シリーズ『陰陽師(おんみょうじ)』より、「大百足退治(おおむかでたいじ)」と「鉄輪(かなわ)」の二幕を上演。平成25(2013)年年9月の歌舞伎座新開場柿葺落『九月大歌舞伎』に新作歌舞伎として上演され、大好評を博した『陰陽師』。今回の上演では、前回の『陰陽師』と同じ配役で「大百足退治」と「鉄輪」を上演する。「大百足退治」では尾上松緑が藤原秀郷を勤め、「鉄輪」では松本幸四郎が安倍晴明、中村勘九郎が源博雅を勤める。また、「鉄輪」では松本白鸚が蘆屋道満で出演する。パワーアップした「陰陽師」の世界を楽しもう。
そして、中村鴈治郎家の芸である「玩辞楼十二曲」より『封印切(ふういんきり)』を上演。亀屋忠兵衛と傾城梅川の悲恋を描いた名作を、中村鴈治郎と中村扇雀の兄弟が亀屋忠兵衛と丹波屋八右衛門をWキャストで勤める。傾城梅川は片岡孝太郎が勤め、上方の名作をおくる。
夜の部は、「平家物語」の世界を大胆に脚色した、重厚な時代物の傑作『熊谷陣屋(くまがいじんや)』から。戦乱ゆえの悲劇、世の無常さ、人生の儚さが胸を打つ義太夫狂言の傑作で、今回、尾上松緑が熊谷直実を初役で勤める。
続いては、舞踊の名作『二人椀久(ににんわんきゅう)』。椀屋久兵衛(通称:椀久)が狂乱して彷徨うなかで、恋しい遊女松山の幻を見て舞い踊る幻想的な舞踊は、歌舞伎においても数々の名コンビが上演してきた。今回は、椀屋久兵衛を尾上右近、松山太夫を中村壱太郎というフレッシュなコンビで上演。令和6(2024)年1月歌舞伎座で舞踊の大曲『京鹿子娘道成寺』をWキャストで勤めた花形二人が、新たな歴史の一ページを開く。
そして、幡大介の人気小説「大富豪同心」シリーズが初めて歌舞伎として上演される、『大富豪同心(だいふごうどうしん)』。NHK時代劇で主役の八巻卯之吉と幸千代の二役を勤める中村隼人が、歌舞伎でも同役を勤める話題作。
現在までにNHKで3シーズン放送され、年末には年末時代劇「大富豪同心スペシャル」の放送が決まっている大人気シリーズだ。今回の歌舞伎としての上演では、松本幸四郎が演出する。中村隼人はじめ、中村壱太郎、坂東巳之助、坂東新悟、尾上右近、中村米吉の花形が集結し、中村鴈治郎、松本幸四郎、市川中車の出演も発表された。
古典の名作から話題作、新作が並び、松竹創業130周年の幕開きを飾る歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』は、昼夜にわたり、記念の年を寿ぐ豪華ラインナップでおくる。
明治28(1895)年、白井松次郎、大谷竹次郎兄弟により創業した松竹は、令和7(2025)年に創業130周年を迎える。歌舞伎座のチラシでは、創業130周年の節目の年を記念し、これまで松竹が歌舞伎座で興行を手掛けた歌舞伎公演の筋書から、多くの方に親しまれた表紙デザインをチラシに使用する。令和7年1月公演のチラシは、昭和7(1932)年1月の初春興行の筋書表紙が選ばれた。