【藤沢市】救急車の出動がひっ迫 市が適切利用を呼びかけ
救急車の出動件数が市内で増加している。市は13日、公式LINEアカウントで出動がひっ迫している事態を通知。こうした状況が続けば救急搬送に遅れが生じる懸念があり、市消防局は救急車の適時適切な利用を呼びかけている。
市内には現在、15台の救急車が配備されている。市消防局によると通常は通報場所から最も近い救急隊が出動するが、通報が集中すると他エリアの救急隊が駆けつける場合もあるという。
その結果、出動可能な台数が一定数を下回ったり、現場到着に時間がかかったりすることが見込まれる場合に、市から「ひっ迫のお知らせ」を通知する決まりだ。2024年度に5回、今年度は8月19日時点で3回通知している。
増加の一途
市内の救急出動件数は年々増加傾向にあり、23年には過去最多の2万8013件を記録。救急隊1隊あたりの年間出動件数は1868件に達した。市救急救命課の担当者は「市内の人口増加や高齢化が影響しているのでは」と推察する。
これに対応するため、23年度に需要の高い地域へ柔軟に出動できる機動救急隊の運用を開始した。
ただ今後も市内の人口や高齢者層の増加により救急需要の増加が続く見通しで、財政負担の面から部隊新設も容易ではない。そのため市では、救急車の適切利用の呼びかけや予防救急など根本的な救急需要を抑える取り組みを進めている。
軽症は35%
同課によると、23年度に市内で救急搬送された2万5557人のうち、35・6%にあたる9095人が軽症だった。近年では、定期的な通院のために救急車を呼ぶなど、緊急性の低い通報事例も複数あり、「重症患者は時間が経過するにつれ、救命可能性が下がっていく。緊急性が高くない出動が増えると、守れる命も守れなくなってしまう」と切実に話す。
迷った時の対応
一方で、同課は救急車の「呼び控え」も懸念する。突然の激しい頭痛や胸部の圧迫感、体のしびれ、意識がもうろうとする、けいれんが止まらない、大量の出血があるなど命にかかわる症状がある場合は、「ただちに救急車を呼んでほしい」と話している。
救急車を呼ぶべきか迷う場合、電話でアドバイスを受けられる制度もある。かながわ救急相談センター(♯7119)は県のサービスで、緊急性の判断や受診可能な医療機関の案内が受けられる。ふじさわ安心ダイヤル(【フリーダイヤル】0120・26・0070)は24時間体制で専門スタッフに心身の健康や受診相談ができ、救急車が必要と判断された場合には直接通報へつなげることも可能だ。