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【米から作った代替マヨネーズ⁉︎】卵も大豆も不使用 新潟県と山崎醸造が開発、商品化目指す(再掲載)

にいがた経済新聞

県農業総合研究所食品研究センターの小林和也氏

2023年の人気記事を再掲載します(編集部)

初回掲載:2023年8月22日

新潟県と山崎醸造株式会社(新潟県小千谷市)が代替マヨネーズの開発を進めている。原材料は米酢と米油、そして米の発酵食品と、3種全てがほぼ米由来。近年、アレルギーへの対応から各社が代替マヨネーズの研究を進めているが、卵どころか大豆を使わないという点は珍しい。また、米どころ・新潟としては、米の需要拡大へも期待が持てる。

薄黄色の色味と粘性、香り、そして何よりも、そのしっかりとした酸味。事前に「米から作った」と聞いていたので、舌に残る後味に少し米っぽいコクがあるような気もするが、卵不使用であるとは信じられない品質である。そのまま食べるのはもちろん、調理のために熱を加えても本物のマヨネーズのようだから驚きだ。

「新潟県だと、やはり米が非常に重要な生産物。我々の使命として『米でマヨネーズを作れたら』という思いがあった」。県農業総合研究所食品研究センターの主任研究員で、今回の代替マヨネーズの開発者の一人である小林和也氏は語る。

米から作った代替マヨネーズ、味も見た目も従来のマヨネーズと遜色ない

研究が始まったのは2019年頃。県食品・流通課が取り組んでいた「雪国の発酵食文化発信事業」がきっかけ。米から作った味噌や醤油など、以前より大豆アレルギーに対応する商品を展開していた山崎醸造から、代替マヨネーズの共同研究について打診があった。県食品研究センターでもプラントベースフード(植物由来の原材料による代替食品)の研究開発を進める機運が高まっており、両者の思惑が合致した形だ。

アレルギーなどの健康上の理由や、信仰・思想上の理由から、マヨネーズ以外にもプラントベースフードの需要は世界的に高まりつつある。また同時に畜産業では近年コスト高が深刻化。さらに追い討ちをかけるように今冬は鳥インフルエンザウイルスが猛威を振るったことで、未だに鶏卵の値上がりはつづいている。こうした状況の中で、代替食品の選択肢を増やす意義は大きい。

今回の代替マヨネーズにの原材料には米油と米酢、そして前述の山崎醸造の「大豆を使わないおみそ調味料」を使用。同商品も大豆ではなく、米と塩で作ったものだ。代替味噌を卵代わりに代替マヨネーズを作るというユニークな発想だが、そこへ至るまでは試行錯誤があった。

「卵を使わずに油分の多いものを作るのは難しい。最初は甘酒などを利用して作れないかと思ったが難しく、別の方法を探っている中で、味噌からマヨネーズを作るという研究報告を発見して、発酵食品が乳化(水と油などを均一に混ぜること)に効果的であると分かった」(小林氏)。そこから同社の代替味噌を利用するという発想へ行き着き、食味などの検査を経て現在の試作品が完成した。

材料の一つである「大豆を使わないおみそ調味料」(写真提供 山崎醸造)

現在、マヨネーズ大手などでも代替マヨネーズの開発が行われているが、その多くが卵の代わりに大豆を用いたもの。県と山崎醸造の発明品は、ほぼ米のみで作っているため特定原材料等を含まない

高い完成度の試作品だが、商品化へ向けては課題もある。大量生産するためには、乳化処理用の設備が必要となってくる点だ。県食品研究センターも味噌と醤油が主力の山崎醸造も、マヨネーズ生産用の大型設備を用意するのは難しい。

現在、県と山崎醸造では共同で今回の代替マヨネーズの特許を出願中である。これからの展開についてはまだまだ未定だが、ビジネスパートナーを見つけて生産を委託することも視野に入れている。今後、米酢も米油も新潟県産で揃えれば、付加価値のある新たな特産品も生まれるかもしれない。

なお、県食品研究センターにとって乳化を経た代替食品を作るのは今回初めて。今回の知見から、マヨネーズ以外の研究へも繋げていきたい。小林氏は意気込む。「私も山崎醸造も、今回の代替マヨネーズの出来には自信を持っている。どうにかして今後、これを世の中へ出すことが一番の目標」。

【関連リンク】
新潟県 農林水産部 農業総合研究所食品研究センター

山崎醸造

(文・撮影 鈴木琢真)

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