注目選手 バスケットボール女子(1) チームを背負うエースの現在地 【大分県】
初めての公式戦を経て、新チームの土台は固まりつつある。チームをつくる上で核となるエースの存在は大きい。今回はバスケットボール女子・県高校新人大会でベスト4チームのエースの現在地をチェックした。
爆発力と冷静さを兼ね備えた絶対的エース
緒方愛実(大分2年)
得点力5 アシスト力4 リバウンド力4 ディフェンス力3 経験5 ポテンシャル4 *各5点満点
1月の県高校新人大会で、1年間遠ざかっていた優勝を勝ち取った。決勝では第1クオーターだけで19得点を挙げ、試合の流れを一気に引き寄せた。その圧倒的な得点力こそ、緒方の最大の武器である。力強いドライブ、正確なシュート、多彩なフィニッシュパターンを持ち、相手ディフェンスを翻弄(ほんろう)する。井場田卓監督は「1対1に強く、体が強い。得点のバリエーションが多く、チームの絶対的エース」と高く評価する。
高校1年時から試合に出場して経験を積み重ねてきた緒方は、新チームではポイントガードとしての役割も担うようになった。コート全体を見渡しながらゲームをコントロールし、アシストを意識することで、より完成度の高いプレーヤーへと進化した。「試合の状況を読んで、自分が得点するのか、味方を生かすのか、その場の判断ができるようになった」と本人も手応えを感じている。
キャプテンになってからは、リーダーとしての意識も強まった。「練習でも試合でも気づいたことは積極的に伝える。お互いを理解し合うことで、より強いチームになる」と語るように、声をかけ合いながらチームの一体感を高めている。
「自分の仕事はチームを勝利に導くこと。勝つために最善のプレーをしたい」。緒方の視線の先には、さらなる高みがある。
得点力に磨きをかけ、クラッチプレーヤーへ
大神埜乃(藤蔭2年)
得点力5 アシスト力3 リバウンド力3 ディフェンス力4 経験4 ポテンシャル5
昨年は1年生ながらエースとしてコートに立ち、その才能を存分に発揮した。長い手足を生かしたしなやかな動きと、どこからでも得点できるアグレッシブなオフェンスで、相手ディフェンスを圧倒した。果敢にリングへ向かうその姿勢は、チームにとって頼もしい存在だ。
新チームになってからは、大神に求められる役割が大きく変わった。得点だけでなく、アシストやリバウンドなど、より幅広いプレーが求められている。西山泰加監督も「これまでチーム得点の半数は大神が取っていたが、新チームでは得点以外の仕事も増えた。しかし、常にリングに向かうアグレッシブな姿勢は忘れてほしくない」とその変化を認めつつも、大神の本来の持ち味に期待を寄せる。
試合の勝負どころで、自然とボールは大神の手に渡る。仲間も監督も、エースが決めてくれると信じているからだ。その信頼に応えるべく、大神自身も「チームが得点を必要とする場面で、確実に決められる選手になりたい」と強い意志を語る。目標とするのは1試合平均30得点。だが、それ以上に重要なのは、「点がほしい」というここ一番の場面でシュートを決めれる「クラッチプレーヤー」になることだ。
エースとしての自覚、そして新たな役割への挑戦。大神はさらなる成長を遂げ、チームを勝利へ導く存在となる。
(柚野真也)