ワコールHDが東京・南青山に所有する「スパイラルビル」の売却を検討していることが明らかに
ワコールホールディングス(以下、ワコールHD)が東京・南青山に所有する複合文化施設「スパイラルビル」の売却を検討していることが明らかになった。
ワコールHDの2025年3月期の第1四半期決算は、東京の浅草橋ビルの売却益を計上したことで営業利益が前年同期を上回り、売上高にあたる売上収益は464億6200万円(前年同期比4.8%減)、営業利益は32億600万円(同17.6%増)、四半期利益は30億1700万円(同4.6%増)と減収増益だった。
一方で、売上構成比で47.9%を占める主力の「ワコール(Wacoal)」の国内事業は、売上収益は前年比6.5%減となる222億3700万、「ワコール」の海外事業は同0.5%減となる187億4200万円、ピーチ・ジョン事業は同7.4%減となる25億6500万円となり、すべての事業が前年から減収となった。
ワコールHDの前期は86億3200万円の最終赤字で、2期連続の赤字を計上しているが、今期は32億円の黒字回復を目指している。構造改革を急ぐワコールHDは、8月には福岡県の博多に所有する賃貸用不動産の売却を決定し、さらに連結子会社であるワコールマニュファクチャリングジャパンの生産拠点を長崎と福井の2工場に集約し、福岡工場は譲渡を決定、熊本工場と新潟工場は操業を停止するとしている。工場勤務者229名には希望退職者を募集を行う。
売却を検討している「スパイラルビル」は、多目的ホール「スパイラルホール」やレストラン、カフェなどで構成される複合文化施設で、建築家の槇文彦が設計を手掛けた。1985年に開業した「スパイラルビル」は、表参道エリアのランドマーク的な存在でもあり、「スパイラルホール」ではこれまでに多くの文化的なエキシビジョンやファッションショーなどが行われてきた。